あるいは、甘々ラブラブな日常ミステリ
四時限目の漢文は、時間通りぴったりに終わった。
昼休みを挟んで一つ目の授業はあまり身に入らなかった。故事成語は嫌いではないし、短時間でも昼寝をしたから眠気は遠のいている。にも拘らずつい上の空になってしまったのは、昼に体験したあの奇妙な出来事のせいだろう。
「行くか」
わざわざ声に出してそう言うと、俺は名探偵を訪ねるために、隣の教室へと向かうことにする。
幸い2年2組も定刻通りに授業が終わっていたらしい。俺はだから、休憩時間のざわめきに紛れて教室を横断し、自席で窓の外をぼうっと眺めているポニーテールの少女に声を掛けた。
「
「ひゃっ、
ぶるっと馬の尻尾を震わせながら、少女はこちらを振り返った。
「め、珍しいね。七瀬ちゃんからこっちに来るなんて」
ちなみに俺の名前は
「奇妙な事件が起きてな。相談に来たんだ。殺人事件とか密室トリックとか、お前好みのやつではないんだが」
「別に好きじゃないよっ。むしろ甘々ラブラブな日常ミステリが好きだよっ」
「だったらお前好みの事件かもしれないな」
甘々ラブラブかどうかはさておき。心の中でだけそう呟いてから、俺は探偵少女の目を見つめて、言った。
「藍子――お前は真昼に流れる星を見たことがあるか?」
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