SNS上の不可思議案件

アーカーシャチャンネル

本編

 SNS上には、必ずと言っていいほどに後付け設定が付いたようなつぶやきなどが拡散することがある。


 中には真偽不明の内容をあたかも真実かのように拡散するようなつぶやきも存在していた。


 その中の一つが予想外の『バズ』を生み出し、想定外のミステリーを起こしてしまったのが、今回の始まりである。


【有名〇〇、実は……】


 拡散していた内容は実在する有名人に関する物だが、週刊誌で報道されていたりするようなものではない。


 情報のソースはWEBサイトと記載されている一方、何か引っかかるようなものを感じざるを得なかった。


 週刊誌報道であれば、どこかの有名なニュースサイトやテレビ番組でも取り上げられるはずなのだが、それが全くないのである。


 真偽不明のフェイクニュースをテレビ番組が流せば、それこそテレビ局が炎上しかねないのは事実だ。


 そういう事情でSNS上で限定拡散していると考えるにしても、引っかかる個所はあったのである。



 自分には無縁なつぶやきに首を突っ込もうと考える人物は、相当なもの好きと言えるだろう。


 今回のニュースにも同じように首を突っ込む人物はいるのだが、大抵は更なる後付け設定を追加して拡散、悪意ある『バズ』を生み出すような存在だった。


 彼らの目的は、悪意ある『バズ』によってSNSを炎上させること、それによって金儲けをしようという闇の商人と言える物である。


 そうした裏バイトに関しても確認されており、悪意の連鎖は繰り返されていた。



 そうした案件に関して、許しておけないと思う人物もいるだろう。しかし、何の知識もないような人物が拡散しても、それを悪用されて裏バイトと同類として炎上するのは目に見えていた。


 だからこそ、今回のカラクリを何となく把握していたプロゲーマーの一人がカラクリの詳細を暴いたのである。


 単純に言えば『WEB小説サイトの人物名を実在人物に差し替えた』文章を『あたかもノンフィクションであるかのように』拡散……。


 これが全ての真相だった。テレビ局がノータッチだった段階で、なんとなくカラクリを把握している人物はいただろう。


 それでもこのカラクリを放置したのは、テレビ局がこれを報道すれば取引先を失うと思っていたからに違いない。



 こうして、プロゲーマーの活躍でSNS上に存在する不可思議案件の一つは解決した。


 しかし、こうした案件は無尽蔵に生み出され、繰り返されていくことを知っていたのである。


これはあくまでもフィクションであり、ノンフィクションではないからだ。


(全てのSNS炎上を根絶するのは不可能かもしれないが……)


 プロゲーマーの彼は思っても、結局は人は過ちを繰り返すだろう。様々な不祥事なども謝罪会見を行い、そこで『二度と繰り返さない』と言っても……同じ会社などが繰り返すこともあれば、他社が同じ行為を行う事もある。


 SNS炎上も同じことの繰り返しなのだ。SNSを過去のものにしようというような技術でも生まれない限り。



「また同じような都市伝説で炎上させている……」


 ある女性ゲーマーは、まとめサイトに書かれた文章を見て思う。一体、人は何度同じようなことを繰り返すのか、と。 


 コンビニでつぶやきサイトをチェックし、そこからまとめサイトの内容を見ていたのだが、その中身はにわか知識を振り回すだけのエア二次創作と言っていい内容である。


「これなら、まだ異世界転移や異世界転生の方が取り上げると思わないのかな」


 若干不満そうな顔をするのだが、このサイト管理人が彼女の一言を聞いているとは思えない。


 全ては利益を上げられるような記事を捏造し、一獲千金を狙う……それがまとめサイトの裏バイトの正体とも知らずに。

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