第34話 帰還報告

 エピオンの帰還報告


 神の眼プロジェクトを実行する為に、神人アルダ・メルキオールの残滓を計測して追跡中、とある人物達と出会う。

 それは、彼女達三人に彼

 シルフィ・エット

 ロキシー・ミグルディア

 エリス・ボレアス・グレイラット

 そして、ルーデウス・グレイラット


 その四人が暮らす特別な時空コロニーにて、神人アルダ・メルキオールが神の眼となっているのを確認。


 彼女達三人の望みを叶える事を報酬に、神の眼プロジェクトに協力を依頼した。


 目的の時空は、特別な状態に置かれていた。

 再生の神子リリアの力によって、二つの世界が形成されていた。

 一つは、再生の神子リリアが自らの願いを強く念じる事になった世界。

 もう一つは、その願いによる世界改変によって形成された世界。


 この二つがループして繋がって相互作用していた。


 だが、その相互作用が影響して、いずれ…この二つの世界は衝突して消滅する危機があった。


 そこに、滅んだ神人アルダ・メルキオールが入り込んだ。

 神人アルダ・メルキオールは、魂と権能の二つに分裂。

 権能が再生の神子リリアの為に神の眼となった。

 そして、魂は、その神の眼が影響によって誕生した世界達へ転生した。

 アレキサンドライトと、ディーオ・アマルガムの二名に…。


 神人の力を得た再生の神子リリアは、その絶大な力を使って、より高度で、より強力な時空操作を開始する。

 

 それによって、四つの平行世界が繋がり、相互作用してリリアの願いは遂げられる筈だったが。

 世界を幾つも操作した絶大すぎる神の眼の力は、他の時空も操作を開始してしまった。

 その効力はやはり、壮大で強大だった。

 その膨大となった時空の影響と、再生の神子リリアの願いを叶えるという危うい天秤は、再生の神子リリアの魂を時空操作する存在に縛り付け、願いを叶え続ける為に、永劫に再生の神子リリアを縛り続けて、願いを叶える為に時空操作をし続けなければならない、永劫の繰り返しに突入した。

 

 たった一つの願いの為に、矛盾の永劫を続けた結果なのは明白だ。

 結果、それが世界群、時空達の大衝突による大崩壊という最悪な結果へ向かいだした。


 それを防ぐには、神子リリアを解放するしかないが。

 神子リリアが解放されれば、元からあった願った事も無効化され、再び願い落ちる悪循環へ突入するしかない。

 そして、また、神の眼を呼び出して同じ事を繰り返す。

 

 神子リリアが解放されれば、神子リリアが願いが発動。

 それによって再び始まりと結果の二つの世界が誕生し、神の眼が出現。

 神の眼と神子リリアが、数多の平行時空を操作。

 それによって矛盾を解消するが矛盾が発生する。

 その反発が蓄積して、多くの時空や世界を巻き込んで時空大崩壊して

 再び最初に戻る。


 因果律と応報が一致する領域が出現してしまう。

 原因と結果が一緒の場所にある領域に再生の神子リリアの魂は囚われた。


 それにより、時空大崩壊を起こす度に、更なる広範囲の時空や世界群を操作し始め、そのひずみと反発が大きくなり…。

 最悪の結果は、神子リリアの願いによって操作した世界や時空と、その隣接する時空までも呑み込んで全ての時空が大崩壊する連鎖が起こる最悪な結果へ向かっていた。


 それを防ぐ為に、神人アルダ・メルキオールの魂の転生であるディーオ・アマルガムに干渉する。

 自身がエピオンである認識と記憶、ある程度の意識介入をして、ディーオ・アマルガムを成長させた。

 更に、その成長に合わせて三人の伴侶達も得られて、順調にディーオ・アマルガムは、いや、ディーオ達四人は、超越存在へ変化した。


 全てを超越させる作用をもたらす超越存在の力は、時の大崩壊を起こす神子リリアに対処可能であり、最善の解決策をもたらすのに適任であった。

 その最善策とは、願いの力によって世界を無限に増殖させるという方法だ。

 これによって、時の大崩壊するエネルギーは全て無限に世界を増やす力へ変換される。


 その為に確実にディーオ達の成長をさせる為に、篠原 秋人と龍神の大賢者ルーデウスに接触。

 

 それは、ヒトガミという。この世界を支配している者にも目的が露見する事無く。

 ディーオ達の成長する機会を仕込む事に成功。

 見事に達成できた。


 だが、これは神の眼プロジェクトにとって完璧な成功とは言えない。

 神の眼プロジェクト。

 再び神人、ホモデウスを創造する筈が、神人の力を使って超越存在が誕生可能とする事実の確認であり、神人、ホモデウスの再創造の不可能を露見させた。


 これまでの結論から、ホモデウス、神人を作り出すのは…現時点では不可能という事に至る。


 ホモデウス達の発生は、様々な高度で偶発的な要因によって起こる。

 その全てを揃えても、やはり…ムリであるという証明にしかならない。


 だが、成果はあった。

 ホモデウスへ至る道も、超越存在へ…ハイパーグレートへ至る道も共通であるという事だ。

 これを持ってヘオスポロスの目的である。

 進化の為の一つとして、今回の事例は有意義であった…と提言する


 ただし、危険要素の報告を提出する。

 龍神の大賢者ルーデウスは、どこでサタンヴァルデットの結晶を手に入れたのだろうか?

 全ての罪人を食い殺す存在へ至るサタンヴァルデットの力の一端を入れた結晶を、龍神の大賢者ルーデウスが何処で手に入れたのか、知る事は出来なかった。


以上


報告者

 ナンバー19820305 

 ネオデウス・ウェポン、エピオンの帰還報告。




 






 ーーー



 デブリーフィングを終えたエピオンに、エグゼクティブ達が

「なるほど、完璧な報告だ。任務ご苦労であった…」

と、エグゼクティブ達が告げる。


 エピオンが厳しい面持ちで

「いいえ、任務を達成できて良かったです」


 エグゼクティブが

「君の功績を考慮して、君の望み通りにしたいのだが…」


 エピオンは迷わずに

「次の任務の為に休暇を取ります」


 エグゼクティブが

「了解した。休息に入り給え」


 エピオンが敬礼して

「は、ナンバー19820305、ネオデウス・ウェポン、エピオン。次の任務の為に休息に入ります」

と、エピオンが会議室ドームから去った。



 残ったエグゼクティブ達が

「まさか、これほどの進化をして…再び残るとは…」


 エグゼクティブが

「これも進化か…それとも」


 エグゼクティブが

「退化ではない」


 エグゼクティブが

「どちらにせよ。ナンバー19820305は、ヘオスポロスに戻り、ディオンス達と繋がり、それによって我らは、より進化を可能にした」


 エグゼクティブが

「我らの目的に揺らぎなど一切無い」


 エグゼクティブ達が声を揃えて告げる。

『全ては、我らの進化の為に…』





 ーーー


 エピオンは休暇の為に、再び地球へ帰ってきた。

 そこには、何時もとは変わらないというには大げさだが、地球の文明の風景があった。


 

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