第32話 神の眼

 飛空艇の戦艦の会議室で、ディーオ達がこれまで見てきた話を全て、ルーデウスとオールステッドに話す。


 ルーデウスが

「そんな、過去のぼくの生まれ変わりが…」


 オールステッドは渋い顔だ。


 そして、ディーオが持って来た二つの世界と繋がる通信魔導具から、ララと魔道士アイシャの立体映像が現れて

 

 通信のララが

「まさか…父さんとまた会えるなんて」


 通信の魔道士アイシャが

「また、兄さんと会えるなんて嬉しいわ」


 別世界の二人の世界の空も、空から幾つもの世界が落ちてこようとする事態になっていた。


 通信の魔道士アイシャが

「そうかい、アキトが…消えたかい…」


 ディーオが

「もしかしたら…再生の神子リリアを解放しようとした事が…原因で…」


 通信の魔道士アイシャが

「一体、何が起こっているのかねぇ…」


 ディーオが

「それを知る為にも、ぼく達が…この世界に出現した神の眼の巨塔へ向かう必要があります。ルーデウスさん、神の眼の巨塔へは…」


 ルーデウスが

「さっき、偵察のグレイラート騎士団の飛空艇の戦艦を送ったけど、未知の力に阻まれて近づけないらしい。多分、君達しか…」


 ディーオが、リリアとダリスにエレナを見て

「行こう…それしかない。エピオンなら全てを知っているはずだ」


 リリアとダリスにエレナの三人は頷き、ルーデウスは

「君達に頼むしかないね。よろしく頼むよ」



 ーーー

 

 三人は、あの飛空艇テセウスに乗って、神の眼の巨塔へ向かう。


 神の眼の巨塔へ近づくほどに、引き寄せる力のお陰で直ぐに神の眼の巨塔へ到着して、神の眼の巨塔へ入り、そして…神の眼がある巨大ドームへ来ると、そこには、エピオンと…あのディーオを入れた赤き結晶があった。


 エピオンが飛空艇テセウスから降りたディーオ達を見つめ

「よく来た」


 ディーオが

「聞きたい事があります。喋って貰えますか?」


 エピオンが

「まず、この世界に幾つもの世界が衝突しようとしている原因は、簡単だ。ヒトガミの全てが消滅したからだ。ヒトガミの意思によって神の眼が、人族世界だけの世界を作っていた。その影響が消えたお陰で平行に存在していたヒトガミの世界達が衝突を開始した。それによって、ヒトガミの世界は消滅するだろう」

 エピオンが構える。

「だが、心配するな。ディーオ、お前を新たなヒトガミを越えた存在にする」

と、告げた瞬間、エピオンの隣にあったディーオを入れた赤き結晶が砕けて、そこから新たな存在が出現する。

 深紅のルビーの装甲をまとい、右手に赤き光で構築された剣を握り、左手に手甲と一体化した斧を握っている。

 新たに出現した存在は、自分の顔を拭って

「おはよう、我の分体よ。そうだな…我の名はルビードラゴンと言った所か…」


 エピオンが

「ルビードラゴンは、ディーオ、キサマが切り離した神人アルダ・メルキオールの全能の権能だ。それを再び一つに戻す事で、新たなホモデウス(神人)を創造する」


 ディーオが

「つまり、それが…慰謝料として残した生産戦艦達リーブラスやアクエリアスに残っていた神の眼プロジェクト」


 エピオンは頷き

「そうだ。ヘオスポロスは、かつて、神人アルダ・メルキオールと同じ神人ベルダ・バルタザールが創造したシステム。故に自分達を創造した神人を創造するは、ヘオスポロスの目的である自らの進化の為に…に必要な事だ」


 ディーオは、ホワイトレガリアの力を発動させる。

「残念だけど、ぼくは…神人になるつもりはない。ぼくは…彼女達と一緒に生きていく。人として…」


 エピオンが穏やかに微笑み

「そうか…我の複製なのに…よく出来たヤツだ」

と、言い終えた後、エピオンの全能力を解放する。

 あふれ出る赤き紫電とフレア、赤金色に輝くエピオン。

 その隣にいるディーオの分体ルビードラゴンは

「良かろう。お前は人として生きる。我は新たな存在として生きるゆえ、キサマを倒す」


 ディーオもホワイトレガリアの力を放って、衝突した。


 白い四つの光と、赤き二つの太陽が神の眼の巨塔の外まで飛び出して、衝突、爆発する。

 その一撃一撃が、大陸を吹き飛ばす程の威力を誇り、それが衝突してくる世界達の空で花開く。


 ディーオ達の戦いをルーデウス達は遠くの飛空艇の艦隊から見守る。


 別世界では、別世界のララ達と魔道士アイシャに、龍神の大賢者ルーデウスの人々が、ディーオ達の苛烈な戦いを見上げていた。


 幾つもの太陽が花開く空の戦い。

 エピオンは、世界一つを滅ぼせる程の閃光と、エピオンの鎧ロッドの尾を放つ。

 ルビードラゴンは、七色の閃光を纏わせて、更にアレキサンドライトが編み出した時間の流れを操作する力を使って絶対防御を構築して、ぶつかってくる。


 ディーオ達は、光を越えて世界の縛りを越えてエピオンとルビードラゴンにぶつかる。

 

 幾つもの太陽が爆発して、空が白に染まる。


 ディーオは戦いながら

 こんな戦いに意味は無い。戦っても世界達の衝突は防げない。

 でも、じゃあ、神人になれば…

「ディーオ!」とリリアが呼ぶ。

 リリアと共にエレナにダリスがディーオを見る。


 ディーオは

「そうだ。ぼくは、決めたんだ。彼女達と生きるって!」

 あの超越する存在の力を更に引き出す。


 そして、世界を領域を、次元を越えた。


 そこに、全ての次元の頂天である超次元の世界の境が現れ、そこにいる、超次元の極がディーオ達に問う。


 ディーオは、その答えに

「ぼくは、一緒にいる人達の願いと共にある!」


 その答えに、超次元の極が頷き、ディーオをハイパーグレート(超越存在)へ導いた。

 ディーオ達が四人で一つのハイパーグレートとなる。


 光の巨人が出現する。

 それは世界を遙かに凌駕する程に巨大だ。

 幾つもの光の翼を持つ光の巨人。

 その核はディーオ達四人だ。

 ディーオ達は、願う光の路の王、願光路王となった。


 その力が衝突しようとする世界達を押して離していく。

 世界達の衝突が、願光路王となったディーオ達によって防がれて、世界達はそれぞれの時空へ帰って行った。


 それを神の眼の巨塔の頂天で見届けたエピオンとルビードラゴン。


 エピオンが

「ふん。なんとまあ…出来の良い者達だ」


 ルビードラゴンも

「これで良かったのか? エピオン…」


 エピオンが頷き

「神人にする必要はない。それに匹敵する何かのデータさえ取れれば十分だ」


 ルビードラゴンも

「正直…自分は自分なのだから…戻る気もなかったから丁度良い」


 二人が去ろうとする、後ろに光の巨人から戻ったディーオ達が着地して

「待ってください」


 エピオンが振り向き

「世界達の崩壊を防げたな。これで…終わりを迎えられる。後は…導きがある。新たなこの世界の生命となった君に最後の仕事が君に残っている。その時に…再び迎えを寄越す」


 ルビードラゴンが

「では、さらばだ。我が分体よ。これで永劫に出会う事はないだろう」


 ディーオが少し悲しげに

「ありがとうございます。父さん、ああ、兄弟」

 ディーオには、分かっていた。

 こういう事を自分達にさせる為に、ワザと敵になってくれた。


 エピオンが驚きを向けるも微笑み

「父親…と呼んでくれるのか…」


 ルビードラゴンも微笑み

「兄弟とは、なかなかに良い響きだ」


 二人が告げ終わる事に、エピオンもルビードラゴンも姿が透明になっていく。

 それは現れた神の眼の巨塔も同じだ。


 そして、消える神の眼の巨塔から神の眼が飛び出して、フィアット領にあるクリスタルヴァイドを発生させる時空の穴の中へ消えた。


 ディーオ達は、消えたその場の空に佇んでいた。




 ーーー


 それから一ヶ月後、ディーオ達の新たな新居である家の掃除をディーオがしていた。

 リリアが

「ごはんだよ」

と、家の中で呼びかけると、ディーオにエレナとダリスが、リリアのいる食堂へ集まる。

 四人の家族が一緒に食事を取る。


 この一ヶ月、色々と混乱はあったが…何とか収まり。

 ディーオが別の平行世界から持って来た二つの通信魔導具は、使用不能となった。

 どうやら、他の二つの世界は、遠くへ離れていくようで、通信魔導具が届く領域ではなくなる。

 最後の通信は、半月前。

 二つの世界は、無事に続いていくようだ。



 そして、ディーオがナナホシに篠原 秋人の事を説明した。

 空を飛ぶカオスブレイク城でそれを聞くナナホシは

「そう…秋人が…」


 ディーオがナナホシに

「多分、ナナホシさんは、帰れますよ。四十年後に…。だって、エピオンが地球に帰還したナナホシさんに会っているんですから」


 ナナホシは天井を見上げて

「年を取らない四十年を…大事に過ごすかな。その時には、秋人も…」


 ディーオは頷き

「多分、現れて…でも、ループしているって言ってますから…」


 ナナホシが苦笑いで

「不安だなぁ…会う時に、何時も秋人と違っているかもしれないなんて…」


 ディーオが

「大丈夫でしょう。その…多分、最後が再生の神子の…事だと思いますから」


 ナナホシが

「分かった。でも、嬉しいわ。帰れるって未来が確定しているし…今、この世界は凄く進歩しているから、帰りたくなくなるかも」

と、笑顔を向ける。


 ディーオが微笑み

「こっちには色んな道具や、それを生産する施設があるんです。きっと、地球の時より快適になるかもしれませんよ」


 ナナホシが嬉しそうに

「そうかぁ…帰るの迷うなぁ…」

と、楽しそうに話しているとルーデウスが来て

「なんだい? 楽しそうな声が聞こえてきたけど…」

と、入ってきた。




 そして、その印が訪れた。

 フィアット領の上空に光の筋が現れる。

 あの時空の穴があった場所の空の下へ、空から光の筋が降りる。


 それを知らされたディーオ達は、準備して向かった。


 ディーオ達は、現れた光の道標を前に、ルーデウスやオールステッド、ナナホシ、ララとルーデウスの妻達シルフィとロキシーにエリスの三人と、大勢を背にして


「行ってきます」

と、ディーオは告げて、道標の光へ入った。


 最後の仕事であろう…再生の神子リリアの事について…。

 

 エンディング・ゼロへ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る