第10話 ターニングポイント

 出発の日、新しく建造された十五メートルのヨット型飛空艇を前にするディーオ達四人。

 ディーオとリリア、ダリス、エレナの四人が並ぶ前にルーデウスがいる。

「では、今後の…まあ、試験を始めるよ」


 ルーデウスの説明が始まる。

 このヨット型飛空艇テセウスの概要、この飛空艇テセウスは、一人でも動かせるように設計されていて、両脇にある推進器のプロペラの動力と三角の帆で風を捉えて動く。

 最新式の飛空艇であると、説明される。


 動かし方は、そんなにむずくない。

 全てが操縦席の一カ所で出来る。

 プロペラの動力から、帆を動かす力まで…。

 あと、高度は八千までが限界とか、速度の限界とか、説明される。


 ルーデウスが魔法で地図を広げて立て

「では、今後の活動の指標だ」

 南下して竜の下顎まで行き、そこにいるグレイラート騎士団の人から依頼を受けて熟す。

 その後、北上してアスラ帝国の首都へ行き同じく依頼を熟して、東のフィアット領のロアへグレイラート騎士団の本拠地がある場所へ行き、依頼を熟して帰ってくる。

 そんな一ヶ月くらいの小冒険だ。


 ルーデウスが四人を見て

「これで分かったかい?」


 ディーオ達は頷く。


 ルーデウスは何処となく静かな四人に苦悶の顔をする。

 話はディリーナから聞いている。

 数日前にあった外泊訓練の後…雰囲気が変わった。

 明からに何かを待っている彼女達三人と、苦悶している彼。

 大丈夫かなぁ…

と、ルーデウスは不安になるも

「と、とにかく、この航海は無事に終える事が目的だから、もし、何か問題があった場合は、直ぐに連絡するようにね」


「はい」と四人は頷いてくれた。


 そして、四人は飛空艇テセウスに乗り込んで、操縦方法を聞いて、空間に固定する魔法アンカーを解除して、領主の城の港から空へ昇っていった。


 ルーデウスの隣には妻で剣王のエリスが並んで

「まあ、あの四人の実力なら問題ないでしょう」

 エリスは、ディーオとリリアにダリス、エレナの四人の戦いの腕前を確かめていた。

 リリアとダリスは、剣神流の光の太刀を習得している。エレナとディーオも上位の水神流と北神流の剣術使いである。


 ルーデウスがエリスに

「いや…実力の問題じゃあなくて、四人の関係が…」


 エリスが

「ディリーナが言っていたわよ。娘達の父親達も了承しているって…」


 ルーデウスが微妙な顔で

「その…追い込まれてそんな事になって…大丈夫かなぁ…」


 エリスが

「何を心配しているの? ディーオは、ルディみたいにしっかりしているんだから、むしろ、そうならない方が心配よ」


 ルーデウスは「うん…」と歯切れが悪い。

 なんとなくディーオみたいな男がチラホラいるのが、地球の日本の男性だった。

 結婚はリスクでしかない。

 でも、この世界では違う。

 そのギャップに苦しんでいるのが目に見えていた。

 それでも自分は馴染んで…いや、こっちで幸せになった。

 彼にもそうなって欲しいと願うばかりだ。




 飛空艇テセウスは高度を上昇させ、千メートルくらいで止まり、風に乗る。

 縦に伸びる三角の帆は、ヨットのように向かい風を受けて推力を生み出し、飛空艇の両脇にあるプロペラ推力器を使わないでも十分な推力、十ノットくらいで進む。

 飛空艇テセウスの最上部にある操舵室で、ディーオはハンドルを握り、風力の方向を読んで、目的地の竜の下顎へ向かう。

 魔導コンパスが、北と南、そして…竜の下顎の針を示す。

 

 広い空を真っ直ぐと進み、眼下には平原と森を過ぎて、左手に領域境の巨大な山脈が見えた。このまま山脈沿いに海まで進み、ヴィシル領を過ぎて竜の下顎まで行く。

 この十ノットが続くと考えて、四日くらいで竜の下顎に到達する。

 竜の下顎には、そこからアスラ帝国内へ入るヴィシル領の街がある。

 城塞都市らしい。

 むちゃくちゃ、この世界には城塞都市が多いが、まあいい。

 数十年前、クリスタルヴァイドの災厄が来る前は、山脈の隔たりがあり、アスラ帝国は今の領土より小さかったらしい。

 だが、クリスタルヴァイドが北と東を塞いでいた山脈の交点部分を破壊して、アスラ帝国はそこから北と東に出る平原を手にした。

 そこは、今…竜の中腹と呼ばれていて、そこから東へ出てアスラ帝国は領土を拡大させて、現在のように西と東の海を持つ大きな帝国になったらしい。

 北へは厳しい環境の為に拡大せず、この形で落ち着いている。

 アスラ帝国の女帝アリエルもそれ以上の拡大を望んでおらず。

 というか、拡大した領土の維持の為に日夜奮闘している。

 土地が広くなると、管理するのは難しくなる。

 この中世文化の魔法世界では、この規模の国家が限界だ。

 これ以上は、機械といったSFのようなナノテクノロジーを持つ文明でなければ、惑星一つを統一体にするのは難しいのだ。


 政治には限界がある。精々、100万人都市が国としての限界だ。

 技術には限界がないと思われていたが…ナノテクノロジーが限界で、ナノテクノロジーがあれば、100億人の体制が限界。

 それ以上はヘオスポロスといった高次元解釈を扱える存在でしか統治できない。

 統治不全は必ず破綻を生み出して多くの犠牲を生む。

 世の中が悪い原因は、国でも民でもない、己の限界を知らない愚かな統治者が原因である。

 地球では、民主主義で政治家が選ばれるから、選んだ国民の責任なんて言うが。

 結局、人間は権力を得れば腐っていく。独裁を生み、やがて、社会不全を起こす。

 これはどうしようもない絶対の法則なのだ。

 人は人を管理できないし、支配できない。

 自分を管理するのは自分で、自分を支配できるのは自分。

 それを手伝うしかできないのが様々な制度と技術だ。

 

 そのアスラ帝国のアリエル女帝は、それを分かっているという事だ。




 ディーオが操縦していると、リリアが

「どう? 調子は…」


 ディーオが

「リリアも運転してみるか?」


 リリアは頷き

「ええ…やらせて」


 飛空艇テセウスは四人が管理する船だ。四人が操縦できなければ意味が無い。

 その後、ダリスとエレナも来て、一日の日がある時間は、操縦に慣れるで終わる。

 そして、夜。

 魔法アンカーで、とある森の上に静止する飛空艇テセウス。

 飛空艇は、高度千から二千の間を航行するので、二百くらいの高度で停泊する。

 飛空艇のルールにも停泊する場合は、高度二百にする事とある。

 余程の事が無い限り、停留している飛空艇へぶつかる事は無い。


 飛空艇テセウスには、簡易的なシャワーがある。

 水は魔道具で発生させる装置か、海水の脱塩殺菌する魔道具から提供されるので困る事は無い。

 温水も魔道具を通して作れる。

 排水は、拡散して霧にする魔道具によって、一応は民家や建物がない場所で排出される事になっている。


 飛空艇テセウスの内部は三段段構造だ。

 下部には、飛空艇を浮かせるクリスタルと諸々の魔道具が収まっていて、その上に住居の二段がある。

 ちょっとした家の規模で、中央にキッチンやリビング、後部に食料庫やベッドがある部屋が二つ、前方に保管庫が二つとその上に操舵室、トイレとシャワー室、小さな書斎まで。

 これ、暮らしていけるぞというレベルだ。


 そんでリビングは大きなベッドになるので、そこでリリアとダリスにエレナの三人が寝る事に…なるはずだ。


 シャワー室から出て来たリリアとダリスにエレナの三人がベッドにしたリビングで、ダリスが

「ディーオも入ってくれば」


「ああ…」とディーオは最後にシャワー室へ行き浴びるが、もの凄く緊張している。

 その理由は…分かっている。

 結論を言わなければ…ならない。

 今後の四人に関してだ。

 なんで、こんなに緊張するんだろう。

 どんな過酷な時空戦争を経験しても、こんなに頭を抱える程に緊張なんてした事がない。

 前世も合わせて一番に緊張している。


 シャワー室から出てディーオがリビングへ来ると、静かに俯いているリリアとダリスにエレナの三人がいた。三人はベッドに腰掛けている。

 その前にディーオが座り、無言の時間が流れた後。

「あのさぁ…」とディーオが口を開く。

「今まで本当にありがとう」

 

 それを聞いた三人が俯く。


 ディーオは額をこすりながら

「オレは…いや、ぼくは…この世界に来た。とある目的を達成する為に。その中でダリスやエレナ、リリアと知り合えた事に感謝している」


 グッと三人は唇を噛みしめる。

 思いがとげられなかった…と


 ディーオが

「その、ぼくで良いのか? こんなヤツだけど…」


 え?と三人は顔を上げてリリアが

「ディーオはどうしたいの?」


 ディーオは難しい顔をして

「ぼくは…三人の、リリアとダレスにエレナの隣に…いたい。でも、誰か一人を選べって言われたら…選ばない。そうなったら友人で終わりたい。頭が悪い事を言っている自覚はある」

と、告げて三人を真っ直ぐと見詰めて

「リリアとダリスにエレナの三人が欲しいって、変な思いを抱いている。誰かを選べなんて出来ない。三人が欲しい」


 リリアはフンっと息を荒げて腕組む、ダリスは苦笑して、エレナは仕方ないなぁ…って顔だ。


 リリアは、座るディーオに近づきデコピンして

「全く、本当に…バカよ。欲張りで、私達全員が欲しいって、変態」


 ディーオは落ち込み

「やっぱりダメですよね」


 リリアと共にダリスにエレナも来て、ディーオをベッドに引き込み

「どうしようもないなぁ…」

と、ダリスが微笑み。


 エレナが「仕方ないなぁ…」と朗らかに笑う。


 ディーオは受け入れてくれた事に安心して

「リリア、愛している。ダリス、愛してる。エレナ、愛し合いたい」

と、欲求を告げて、三人と肌を重ねるのであった。


 ディーオの欲求は凄まじく、若い十四という事もあって、何度もリリアやエレナにダリスを抱いた。

 今までにないくらいの満足感と気持ちよさに耽溺していた。


 前世では、風俗で童貞を捨てたが、どうにも満足しなかった。

 性欲自体が変な事になっていたのか?

 それとも元からの性格なのか? 三十代を過ぎて、結婚する欲求も、彼女を作ろうとする事も止めたら、人生が変わった。

 地獄のような日々が人生だと、ヘオスポロスに行き超兵器となって、ヘオスポロスの時空戦争や戦略活動に勤しんだ。

 ヘオスポロスの日々は充実していた。

 人ではない別の存在になった事で、人であった頃の欲求が全て、どこかの動物園で暴れる下等な動物のようだった。

 だが、そんな日々に、ヘオスポロスから戻そうとするヤツがいた。

 あの、ヘオスポロスが来た雨の日に、となりにいた幼馴染みの女だった。


「お願い、こんな事に意味は無いわ。人に戻って幸せになろう」


 それに、ヘオスポロスへ送られて超兵器となって者達は嘲笑いを向けた。

 その幼馴染みの女は、立派な人生を歩んだ成功者だ。

 人が作った社会に適応した者だ。

 人が作った社会に適応できなった、引きこもりや、不能者ではない。

 人が作る社会は、不完全で脆弱だ。

 偶々、運が良く維持されているだけ。

 なのに、それが全てと人々は勘違いして、その後始末をヘオスポロスは、何時もしている。

 恨まれる筋合いはないのに、ヘオスポロスへ向かう人員の抑制を地球は行ったが…結局は、多くの社会不適応者達が、地球を見限って自主的にヘオスポロスへ向かった。

 心配する事はない。

 百億近い人口の中で、1%にも満たない、社会不適応者達が消えるだけだ。

 男女の人口比だって丁度良く半分にもなって、良い感じだ。

 人類は男性が多く生まれる。

 結婚だって出産だって問題ない。したいヤツがすれば、十分に人口は維持されるし、その為の制度だって整備される。

 ヘオスポロスに向かうのは、男性が大半で、女性は極少数。


 ヘオスポロスに向かうのを抑制しても個人の意思で行くとされて、毎年の流入は変わらない、いや、着実に増えていた。


 それでも問題ない。男性が少ない方が、社会は維持しやすいのだから。

 

 そんなある日、エピオンである彼の前で、その幼馴染みの女は泣いていた。

 他に道があった。どうして、こうなってしまったの?

 そう叫んで訴えている。

 

 エピオンである彼は冷徹に

「これが現実だ。それを受け入れて進むしかない。それが生きるという事だ」

と、背を向けた。

 それをナナホシ博士が見ていた。


 だから、ナナホシ博士達は、ヘオスポロスから脱却する方法を模索して、セブン理論を組み上げるも、それは…。


 ああ…ここは夢の中だ。

 ディーオは、夢の中でかつて、人だったエピオン、ナンバー19820305を見ていた。

 雨の中、何時だろう。

 土砂降りの雨の下で、目の前でヘオスポロスに行こうとする彼を、前世の自分を止めているリア充の幼馴染みの彼女がいた。

 いい加減に誰かと結婚すれば良いのに。

 そうすれば、その男との家族が大事になって、私を…ぼくを忘れられる。

 なのに、あの日、出会ってから何度も何度も顔を見せては来るが…。

 世界はヘオスポロスに傘下というには奇妙だが、ヘオスポロスを受け入れて地球統一連合を形成しつつ、自分のような社会不適応者達を回収して、超兵器にする事を始めた。

 それに、誰も今は文句を言わないが、後々になって止めるべきだと言って抑制するも、一度出来上がった流れを止める事は出来ない。

 人は無力だ。


 彼女は泣いている。彼の胸の袖を掴んで説得をする。

 それを彼は冷徹な目で見下ろす。

 何かを言っていた。何かを叫んでいた。

 彼女は必死に訴えていた。

 だが、どうでもいい。

 彼は優しく手を解き「さようなら」と告げて、その宇宙船のゲートを潜った。

 いや、彼以外の多くの男性達がそこへ消えた。

 

 これは夢だ。昔の夢。

 だって、今の自分は…ディーオなのだから。


「ディーオ、ディーオ」とエレナの呼び声が聞こえて目を覚ますと、目の前にエレナがいた。

 夜明け前、四人は致したので裸だ。

 傍にいたエレナが、涙しているディーオを見つけて起こした。


 ディーオは顔を触ると泣いていた。


 ディーオが起き上がり、エレナが心配そうに

「大丈夫?」


 ディーオは、エレナに抱きついて口づけをして

「ごめん、悲しい事を…思い出した。慰めてもらっていいか?」


 エレナはディーオを抱き締めて「ん…」と頷き、ディーオはエレナを抱いた。


 凄く悲しい夢を見た。

 でも、愛しているエレナを抱く事で、その悲しさが薄れていった。

 それで、ディーオはより自覚する。

 自分は、もう…ナンバー19820305ではないのだ…と。


 その後、エレナを抱いていた事に気付いたリリアとダリスも、同じように求めて抱いた。

 

 地平線から昇る朝日を飛空艇テセウスの甲板から見ているディーオ。

 そこへ

「ディーオ、朝食が出来たよ」

と、ダリスが呼びかけて、ディーオは下のキッチンへ行き四人で喋りながら食事を取る。


 何時も以上に居心地の良さをディーオは感じている。

 心が温かくなるような安心感に満たされる。

 転生した家族の元でも食事は普通にあったのに、この四人での食事は特別に温かい。


 エレナが何気なく

「どうして、泣いていたの?」

 他人だったら自分の事を根掘り葉掘り聞いてくる事に不愉快を感じたろう。

 だが、違う。

 彼女達は、リリアとエレナにダリスは、共に生きて愛し合い結ばれた特別だ。

 だから

「昔の、前世の事を夢で見た」

と、ディーオは嘘偽り無く言葉にした。

 どんな夢だったか、その時の場景とか、その時の気持ちとか、夢で見た過去の話を包み隠さず彼女達に話す。

 彼女達は頷いて聞いてくれる。


 ダリスがディーオの手を握り

「ツラかったら、何時でも甘えてくれていいよ」


 それを聞いたディーオは涙した。

 リリアもエレナも頷いてくれた。


 涙が止まらなかった。嬉しかった。誰かと心を通わせるのがこんなにも…。

 もう、ディーオとして人生を歩もう。

 彼女達と一緒に、どんな事があっても…。

 そんな決意が芽生えた。



《ダリスの視点》

 ディーオやリリアとエレナの三人と一緒に飛空艇テセウスでの冒険に出た。

 ディーオと…まあ、三人して結ばれたが…後悔はない。

 竜の下顎の街まで行く間に、ディーオは色んな事を話してくれた。

 自分の前世の生まれた世界、地球という世界の日本という場所。

 分からない言葉もあったけど、尋ねると分かり易い感じで教えてくれた。


 私が、ディーオの前世を聞いて思った事は、なんて冷たい世界なんだろう…と。

 凄く優れた世界だったのは分かる。

 でも、結局は、その優れた世界に見合うだけの存在ではなかったから、歪な部分も出て来た。

 ディーオの前世は、そんな歪になってしまった世界で、更に変貌して、結局は人ではなくなった。

 何が良くて何が悪かったのか…分からないけど…。

 でも、やっぱり苦しんでいた事だけは分かった。

 だから、ここに生まれ変わったら…そんな苦しみから解放される事が、今のディーオの使命なんだと思った。




《リリアの視点》

 飛空艇テセウスで出ての告白。

 まさか、三人も欲しいってビックリしたけど

 でも、選択しないで全てを捨てるなんて嫌だった。

 まあ、エレナもダリスも気心がお互いに知れてるし。

 ディーオは浮気しないって誓ってくれた。

 その前に、ディーオの性格を思えば、浮気なんてしないでしょう。

 私が尊敬するエリス小母様も、ルーデウスおじさんと一緒になって、他にもシルフィー小母様や、ロキシー小母様の二人も妻としているから浮気しないで満足しているらしいから、奥方が三人いる夫は浮気しない…というのは良く聞く話だ。


 でも、考えれば相当な事だったと思う。

 三人が欲しいを受け入れなかった場合、ディーオは全ての選択肢を捨てるつもりだった。

 きっとディーオの事だから、拒絶されれば、一生、独身だったかもしれないわ。

 その後、どんなにコナを掛けても振り向かなかった筈。

 それでも、後で私達以外から誰かと結ばれたら…。

 いけない、こんな未来、やっぱり認められないわ。


 とにかく、この四人が一緒っていう結果に満足はしているし、まあ、良いんじゃないかしら。

 後は、ディーオが言う通り、四人で暮らす家を買おうという提案をどうするだけど…。

 ディーオのとんでもない案にビックリしつつ、まあ、やってみる事にしたわ。


 早く、目的の街に着かないかなぁ…。




《エレナの視点》


 ディーオと結ばれた。リリアもダリスも一緒にね。

 ビックリしたけど、仕方ない。

 まあ、何とかなるでしょう。

 それにディーオが一切、ウソを吐かないようになったのは嬉しかった。

 時々、感じる魔力の違いによってウソを言っていると分かっていた。

 それが悲しかった。

 でも、もう、そんな事はない。

 これからずっと一緒にいてくれるし、ダリスやリリスと共に暮らしていくだろう。


 だからこそ、ディーオの考えに賛成だった。

 この冒険が終わったら、治安が良い場所、まあ、多分、ミルボッツ領の何処かだけど四人で暮らす家を買って、そこを拠点に暮らして行こうって約束した。

 多分、帰ったら…結婚式とか色々とあるんだろうなぁ…。

 父さんが反対…はしないでしょう。

 なんか、ディーオの事を気にしていたし気に入っていたから。

 ダメだったとしても、四人で駆け落ちすれば問題ない!



 

  

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