第6話 通過儀礼

 リリアとダリスは、十歳になった。

 女の子は十歳になると、とある事を学ぶ。

 それは…夜中…。

 十歳になる女の子達だけが集められる。

 少人数の五人くらいだ。


 夜、大人達に連れて行かれて、とある家に来る。

 そして、そっとドアの隙間から…この家で致している夫婦を見る。

 夫婦が子供を作る営みのやり方を見る。

 始めから最後まで。

 この地方独特の性教育の一つだ。

 女の子は十歳になると男の人との子供の作り方を見学する。


 ドアの隙間から男と抱き合う女の艶やかな場景を見る。


 そして、その案内人になった女性が見終わった後に色々と説明する。

 その前に、両親が致している所をこっそりと見ている女の子にな珍しい事ではない。

 でも、リリアにとってはショッキングだった。

 リリアは領主の娘なので、チャンとした個室がある。

 それが当然と思っていたが、他は違う事を最近、知った。

 外に出るようになってからだ。

 隣に並んで一緒に帰るディリーナにリリアは

「ねぇ、ディリーナも、さっき見たのをやった事があるの?」


 ディリーナが夜空を見上げて

「ああ…ある」


 リリアはディリーナに

「ディリーナはその人と…結ばれたの?」


 ディリーナは悲しげな顔で

「男女とは平等ではない。男は幾つもの女とそういう事をしたいと思っている。だが、女は違う。愛している男の腕に抱かれて、その男との子を残したいと…思っているが…。世の中は残酷だ。男の愛と、女の愛は違う」


 リリアは、ディリーナの手を握り

「ディリーナ…私…」


 ディリーナは、リリアの頭を撫で

「本当に大切な人と結ばれて、その男と一緒に子供を育んでくれ」


 ディリーナには、子供がいる。

 その子供は、獣人族の村にいる。ディリーナの両親が面倒を見て、ディリーナはそこへ援助を送っている。ここの領主であるルークに仕えて、リリアの面倒を見て、その給金を…。


 リリアは、ディリーナの言っていた言葉を思い返す。

 昨日、知った子供を作る方法を知って、そして…一緒に営んで育てる人。

 その隣に誰が…?

 そう思った瞬間、ディーオの顔がよぎった。

 少しくすんだ黒い髪、どこか不器用な笑みのディーオ。

 それが大きくなって、大人になって、その隣に自分が並んで、その間に子供がいる。

 その子供は…。


 それからリリアがディーオを見る目に、不思議な感じが混じる。

 ディーオは、時々、暴れん坊ではないリリアを見て

「リリア、どこか調子が悪い?」

 

 ドッとリリアは、ディーオの頭を殴った。


 ディーオは、不条理に殴られた頭を擦って、何時も通りだ…と確認した。

 まあ、女の子だ。

 男より精神年齢の成長は早い。

 十歳にもなれば、思春期を迎える。

 物思いにふける事もあるだろう。いくら、ガサツで凶暴でも…。



 ディーオの家で、急な天気雨に襲われて、女の子と男の子と分けられ、お湯で体を温めていると、女の子組のリリアとダリスにエレナの三人が、大きな桶に三人して入ってお湯で体を温めていると、リリアが

「ねぇ、ダリスは…見た?」


 ダリスが首を傾げ

「何を?」


 リリアが恥ずかしそうに

「その…男の人と子供を作る方法…」


 ダリスとエレナは顔を見合わせ、ダリスが

「見たよ。でも、珍しい事じゃあないよ。父さんと母さんが夜にやっているのを覗いていたから…」


 エレナも頷き

「私も、父様と母様がしているのを覗いていたから…」


 リリアは言葉を失う。自分だけ、ちょっと遅れているような感じがした。


 ダリスがお湯を浴びながら

「リリアも知ったんだ」


 リリアは「うん」と頷く。


 ダリスが「そうか…」と短く告げる。


 リリアはお湯の中で膝を曲げて

「なんだろう。実感が湧かない。何時か…男の人と…ディーオと…」


 ダリスがリリアを見て

「え、ディーオと…ってどういう事?」


 リリアが

「だって、ディーオと…将来は子供を作って」


 ダリスが厳しい顔で

「なんで? リリアは領主様の娘じゃん。将来は、何処かの領地の領主様か、貴族様に嫁ぐんでしょう? ディーオは関係ないじゃん」


 リリアが困惑で

「そんな事、決まっていないし…父様はディーオの事を気に入っているから、私がお願いすれば」


「ふざけんなぁぁぁ」

とダリスがリリアに飛びかかり、リリアの赤い髪を掴み上げ

「何すんのよ!」

と、リリアもダリスの淡い栗色の髪を掴み上げる。

 大きな音をさせ、リリアとダリスはつかみ合ってお湯の大桶から転がってダリスが

「ふざけないでよ! ディーオと一緒になるのはアタシなんだ!」

 リリアは蹴り飛ばして

「何よ! 何でそうなっているのよ!」

 ダリスは転がるも体勢を直してリリアに掴みかかり

「リリアとディーオは身分が違うのよ! ディーオとアタシは、同じだから一緒になれるのよ!」


 リリアが声を荒げて

「誰がそんな事を決めたのよ!」


 ダリスがリリアを殴って

「そんなの当然でしょう!」


 リリアもダリスを殴って

「当然じゃあないわ! 私は、ディーオと」


 ダリスは泣きながら

「ふざけないでよ! 友達だと思っていたのに!」


 裸で殴り合い暴れるダリスとリリアに、エレナはどうすれば?と怯えていると

「何をやっているんだ!」

と、ディリーナがドアを開けて入り、殴り合い、つかみ合うダリスとリリアを見て

「全く、お前達は」

と、二人を引き離した。



 その数分前、別の部屋でお湯が入った桶で温まるディーオに、ディリーナが

「おい」

 背後から呼びかける。


「何です?」と、ディーオが向く。


 ディリーナが

「あの褒美の話、ウソだろう」


 ディーオが首を傾げ

「あの褒美の話ってなんです? 主語がないですよ」


 ディリーナが近づき、ドカッと前に座って

「ルーク様がお前に褒美を与えるとして、保留にしていて、その褒美は…とある家族…シーローン王国の西にある領地に暮らす、とある家族の支援。何でも誘拐された時に、バケモノが出現して、それから逃がしてくれた男がいた…と。その逃がした男の家族を助けたいと…その家族に対する支援を褒美にして欲しいと…」


 ディーオはフッと笑み

「命を助けられた恩がありますから…。ならば、同じ恩で報いる。当然でしょう」


 ディリーナが

「それは、本当か?」


 ディーオが呆れた顔で

「ぼくがウソを吐いていると?」


 ディリーナが腕を組みドアの柱にもたれ掛かって

「お前がお嬢様にダリスと共に誘拐されて、閉じ込められていたら、外でバケモノが暴れていて、誘拐犯達が襲われていて、その中の男と獣人の女の二人が…お前達を逃がしてくれた。そして、逃がした男がバケモノに捕まり、殺された。殺される今際に、家族の事を…お願いされた…と」


 ディーオは頷く

「ええ…間違いありません」


 ディリーナは鋭い顔で

「私は、獣人ゆえに鼻が利く。人族は特に…ウソを吐いている時に独特の匂いを放つ」


 ディーオが鋭い顔をする。

 なんだ? フラグか? それとも…カマしているのか?


 ディリーナが鋭い顔で

「お前は、お嬢様のリリアのお気に入りだ。だからこそ、疑う。お前はウソを吐く。僅かに真実もあるが…ウソが多い」


 ディーオは慌てる事なく冷静に微笑み

「そんな、ショックですよ。信じられていないなんて…」


 ディリーナが

「ヴァギャは話したぞ」


 ディーオの顔が一瞬、鋭くなるが、直ぐに笑みに変え

「ええ…何をですか?」


 ディリーナが剣の柄を握り

「あの夜に現れたバケモノが、お前だと…」


 ディーオは鋭い顔をする。

 あの女…地獄が生ぬるいと思う程の所業を味合わせてやる。


 これはディリーナの噛ませだった。

 当たりか…。


 ディーオとディリーナに鋭い空気が流れる。

 まずい、剣神流の剣速では、この位置は間合い。自分が対処できる範囲ではない。


 ディリーナが

「本当の事を喋るんだ。ウソを吐いていると見なしたら…斬る」

 リリアはディーオに惚れている。 

 リリアの将来の為にも、ディーオの正体を見極めなければ…。


 だが、二階から

「ふざけるな!」とダリスの声と、「何すんのよ!」とリリアの声が響き、ディリーナは立ち上がると、

「ララ!」

と、ララを呼び。


「なんです?」とララが狼犬レオと一緒に姿を見せ


 ディリーナが

「コイツを見張っていろ」


 ララがディーオに

「ええ…ディーオをですか?」


 ディリーナが離れながら

「コイツは、ウソを吐きすぎた」

と、暴れるリリアとダリスがいる二階へ向かった。



 数時間後、殴り合ったダリスとリリアの顔にヒーリングの治癒魔法を掛けるララと、テーブルに座らされているディーオと、それを背後で睨むディリーナ。

 エレナが空気が鋭いのに怯えている。


 治癒魔法で殴られた腫れが引いた顔で泣くリリアとダリス。

 それにララが

「ケンカの原因は何ですか?」


 ダリスが

「リリアが悪いんだもん。ディーオと一緒になるって言うんだもん」


 リリアが

「ダリスが悪いのよ。私とディーオは結ばれないって言ったんだから」


 ララは呆れる。つまり、二人はディーオが好きで…何と言うか…呆れてしまう。


 ダリスとリリアが、ディーオに駆け付けて、ダリスが

「ディーオ、リリアに言ってあげて、領主様の娘は貴族や他の領主様の所へ嫁ぐから、ディーオはムリだって」


 リリアが

「ディーオ、そんな事ないよね。ダリスの方がムリだって!」


 ディーオは頭を抱える。

 この状況は何だ? 全く遭遇したくない状況じゃないか! どっちを選んでも自爆ルートだろう。 

 だったら、どちらも選ぶなんてしない! 面倒くせぇ!!!!!

「ダリスもリリアも選ばない。どっちも、ぼくは選ばないよ」


 リリアとダリスが泣き出して

「ああああああああ」

 大泣きする二人、そして。

 二人して

「ディーオのバカ!」

 感情が止まらないダリスとリリアが喋る。

 ダリスが

「ディーオは、使命があるからムリだって事」


 ディーオは顔面を蒼白にさせ「おい…」


 リリアが

「ラプラスから力を貰ったから、封印を解く為に」


「おい、待て!」とディーオがその二人の口を塞いだ。

 

 それを聞いたララとディリーナがディーオに近づき

「今、ラプラスから力を貰ったって…」

と、ララが詰め寄る。

 ディリーナが鬼のような顔で

「どういう事だ?」


 ディーオは頭を抱えてテーブルに伏した。

 終わった…。


 それから泣き叫ぶリリアとダリスから、暴露された。

 あの時、誘拐犯達を全滅させたのは、自分達の力を借りて力を発動させたディーオで、そのディーオは、夢の中でラプラスから力を貰った代わりに、将来、何かの封印を解く事を約束していると…。


 それは直ぐに、領主ルークに伝わり、ルークはとある人物達を呼び寄せる。


 ディーオの脳裏に、終わった…完全に詰んだ…と。

 祖父ゼロスと祖母のレリスに母レディス、そして、ララの四人全員がディーオの家で、ディーオ一人に視線を集中させる。


 項垂れるディーオ。

 祖父ゼロスが

「ディーオ、本当の事を話しなさい」


 ディーオは黙秘を続ける。


 ララが静かに

「ラプラスって魔神ラプラスの事ですか?」


 黙秘するディーオ。


 ずっとディーオが黙って数時間。

 誰も一言も話さない時間が続く。

 ディーオは、どうしよう…と悩んでいる。

 ウソを重ねるか? いや、子供の戯言だと、とぼけるか?

「あの…」

と、ディーオが顔を上げると、祖父ゼロスが

「ディーオ、私に誓ってウソは止めて欲しい、本当の事を言って欲しい」


 ディーオは項垂れる。

 ヤバい、ウソを上塗りしても、矛盾を突かれて、終わりだ。


 そこへ、ディリーナが入って来て

「ディーオをこっちで預かる」


 こうして、ディーオは夜中にも関わらず、お縄にされてディリーナに運ばれる。


 その途中にディーオが

「あの…トイレを」

と告げると、ディリーナがディーオのズボンを下ろして、ディーオの小さなペニスを持ち

「ほれ、しろ」


 ディーオは屈辱だった。

 両手を縛られているので使えない。だから、解かないと出来ないと…だが、ディリーナがずらしてペニスを援助するとは…信じられない程の屈辱だが、出る事は本当だ。

 野原で、ディーオはディリーナに介助されながらオシッコをした。

 ズボンを上げるディリーナが

「なぁ…頼む。本当の事を喋ってくれ。お前を傷つけたくない。リリアはお前の事を本当に気に入っている。だから」


 それにディーオは無言だ。


 そして、その夜、領主の城の牢獄に閉じ込められた。

 

 ディーオは暗く小さな石畳の牢獄で、何もナシの状態で寝転ぶ。

「冷たい」

と、ディーオは角に蹲って眠る。


 その夢の中でフェイトが出現して

「いや…予想外だね」


 ディーオであるエピオンが鋭い目で

「何が、力を下見させてやるだ…殺すぞ」


 フェイトは引き攣り笑みで

「とにかく、銀髪で金眼の男に出会ったら…ぼくの事は言わない方がいい」


 エピオンは額を抱え

「殺されるのか?」


 フェイトは頷き

「そう。とにかく…何とかやってみるよ」


 エピオンは額を抱え

「お前には期待しない」


 ディーオは眼が覚めると、カチリと牢獄の鉄ドアが開いた。

「ええ…」

と、ディーオが驚く。

 まさか、フェイトが上手くやったのか?


 そこには、リリアとダリスにエレナの三人がいた。

 リリアとダリスにエレナの武装した姿だった。

 まあ、馬子にも衣装だ。

「なんで…三人が?」


 リリアとダリスが来て、二人が「ごめんなさい。約束を破って」と謝る。

 エレナが

「私達もここに来させられて、話を聞かれたわ」


 リリアが

「全部、喋ってしまったの」


 ダリスが

「そのお陰で…アタシ達に警戒がないの」


 エレナが

「ララ先生達が話しているのを影で聞いたんだ。もし魔神ラプラスに関係するなら…殺す事も、そうでなくとも、もしかしたら人神に関係しているなら…って」


 ディーオが額を抱えて

「子供が四人で何が出来る?」

 少なくとも、自分さえ逃げられれば…。

 三人の女の子が共にでは…マズい。


 リリアとダリスがディーオに抱きついて、リリアが

「ディーオがいなくなるなんて、嫌…」

 ダリスが

「ディーオが一緒なら、何処でも生きて行ける。だから…」


 ディーオは項垂れる。

 下らない、子供じみた幻想だ。ムリだ。死ぬだけだ。

 だが…自分だけが逃げて三人が残れば…。

「どうやって、逃げるんだ?」

と、ディーオの問いに、リリアが


「お城の裏、ウチで管理している飛空艇があるの。それを…」


 ディーオは、抱きつくリリアとダリスの背中をなでて

「分かったよ」

と、従うフリをして三人を残して自分だけ、飛空艇で逃げる算段をする。


 ディーオは、リリアから剣を受け取って腰に携えて四人は走る。

 城内を隠れて進み、飛空艇の城内の港へ通じる長い通路を走る。

 目の前に飛空艇の港が見えた通路の出口に一人の男が立ち塞がる。

 銀髪で金眼の鋭い顔の男だ。


 リリアとダリスにエレナが立ち止まる。

 ディーオは剣を抜いて

「三人とも」


 リリアとダリスにエレナは恐怖に震えて動けない。

 ディーオは戸惑う。それ程、恐怖を感じるような相手か?


 銀髪で金眼の男が

「お前…呪いが効かないな…」


 ディーオは

「三人とも撤退を」

と後ろを向いたら、淡い金髪の優男が立っていた。ルーデウスである。


 ルーデウスが

「どこへ行くんだい?」


 挟まれた。


 ディーオは銀髪で金眼の男を睨む。

 銀髪で金眼の男はニヤリと怖い笑みをして

「いいぞ。中々、気骨がある」

と告げてゆっくりと近づく。


 ディーオはエピオンだった時の経験が警鐘を鳴らす。

 ヤバい、コイツは…相当に強い。

 ディーオがドラゴンファングで剣を強化する寸前に剣の刃が砕けた。

 そして、銀髪で金眼の男が知らない間に右手を上げている。


 ディーオは察した。コイツが壊したんだ。

 この世界の反則、見えない剣速で壊したのだ。


 リリアとダリスにエレナが恐怖でその場に座り込む。


 ルーデウスが

「オールステッド様」

と、銀髪で金眼の男に呼びかける。


 オールステッドである銀髪で金眼の男は、ディーオの近くまで来て

「分かっている」

と、告げてディーオに

「おい、人神を知っているか?」


 ディーオに余裕がない。だからこそ、表情に出ているだろう。

 焦っている様子が…。


 オールステッドは、ディーオの前に立ち

「お前、もし…人神の手下なら、そこにいる子供諸共、殺すぞ。だが、全てを暴露するなら…生かしてやろう」


 ディーオは、リリアとダリスにエレナの三人を見る。

 彼女達を死なせる訳にはいかない。

 詰んだ。完全に完璧に詰んだ。

 ディーオは正座して

「はい。分かりました」

と、話す事を約束した。


 オールステッドに連れられて、領主のルークや母親レディスに、祖父ゼロスと、多くの人達がいる部屋で魂が抜けてしまったようなディーオは喋る。

「ぼくには、この体に生まれ変わる前に前世があります。

 ぼくの前世は、地球という星で生まれた人間で、そこの西暦2103年にとある時空の戦争で起こった強大な時空爆弾の爆発に巻き込まれて消えました」


 それにルーデウスが

「待って、西暦2103年? 本当なのか?」


 ディーオは頷き

「はい。西暦2012年に別時空からの…存在によって地球は…制圧され…その制圧した組織ヘオスポロスの超兵器に改造された兵士として、その西暦2103年まで色んな時空で戦っていました」


 とんでもない独白だった。

 2012年の地球で、とある時空から襲来したヘオスポロスという超システム組織が、地球をあっという間に侵攻して、支配した。

 そのヘオスポロスのやった事は、地球を更なる文明へと押し上げつつ、人類が形成する社会で弾かれてしまった者達、犯罪者を除く引きこもり達を、自分達のシステムに組み込んだ超兵器にして、様々な時空の戦争へ傭兵として送り込んでいた。


 その超兵器が前世のディーオで、とある時空との戦争中に、敵勢力が空間転移爆弾、時空爆弾を使った。

 その爆発に巻き込まれてディーオは、時空の彼方へ吹き飛び大損壊して、そこで流れ着いたのが…人神がいる無の世界で、人神は自分をこの世界に転生させて、再びその超兵器に戻す事を約束して、人神の手伝いをする事にした…と。


 そう、間違っていない。

 その通りの工程を経てこの世界に転生したのは間違いないのだ。


 誘拐事件の事も、包み隠さず話した。

 人神が、一応の力が戻っている下見の材料として誘拐犯達を操って呼び寄せて、ディーオの力に殺させた事。

 その時に超兵器の力の一部が復活しつつある…と。


 それを聞いたオールステッドが…

「あのクソ人神が…」

と、苛立ち気味に答えた。


 ディーオが冒険者として世界を回りたいという望みの理由も分かった。

 普通に冒険者として憧れではなく、人神の使徒として、ラプラスの因子を集めて魔神ラプラスの復活と、恐らくだが…超兵器である自分の技術も混ぜて、何かを企んでいるのでは…と。

 とにかく、元の超兵器に戻りたいので、人神に協力しようとしたが…この有様である。


 ディーオの話で、ディーオの肉親達は納得した。

 子供とは思えない程の発言と考え方。

 前世があると思えば納得した。


 ディーオは落ち込み、ちょっと引きこもりなんて出来るほどの世界ではない。

 そもそも、プライバシーなんて存在しない世界なのだ。


 病気でない限り、起こされリリアとダリスにエレナが遊びに来る。

 もう、放って置いて欲しい。

 いや、時間が欲しかった。


 ディーオの話を聞いたルーデウス達は、ディーオに関して今後の話し合いを始めた。

 

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