第3話
アルテミス計画のチームと同時進行で、僕たちは月の裏側に向かう事になっていた。そこで何をしたと思う?僕たちは自分のミッションを知らされた時、流石に笑った。計画書にはこう書かれていたんだ。
「月面の裏側にある謎のプリズム体の調査」
可笑しいだろう。だって、月の裏側に未知の物体があるなんて、あまりにも月並みな話じゃないか。だけどマシューは全然笑わずに、ただ黙々と計画書を読んでた。僕が驚かないのか?と聞くと、
「パイロット時代にバカでかいUFOを見た事があるし、何があっても不思議じゃないからな。」と言っていた。
月の裏側まで月面車で向かっている時、僕とマシューはヘッセのデミアンについて語り合った。僕はマシューに尋ねた。
「君は卵の殻を破ってここへ来たのかい?」
「ペンと参考書で破壊したよ。ピストルでは無理だった。」
月の裏側に着くと、ガッカリするほどすぐに目標の物が目に入った。ガラス張りのような三角柱。僕たちは少し離れた所に車をとめて、機材を準備して国際宇宙航行アカデミーが取りまとめた調査マニュアルに従って、約百二十ある項目の全てをチェックした。結果、この物体は生命体でなく、何らかの兵器でもないと言う事がわかった。恐らく放置しても問題ないと思われた。その後何日かに渡って調査した後、僕とマシューはこのプリズム体に直接触れてみる事にした。プリズムを挟み込む様にして立つと、向こう側にマシューの姿が透けて見える。お互いに目を合わせた後、僕たちは同時にそれに触った。
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