第10話


レベルアップのための栄養ドリンクを大量に購入した翌日。


俺は朝食を取った後、少し大きめのバックパックの中に、飲水や携帯食料、ロープなどとにかく必要になりそうなものを片っぱしから詰め込んでいた。


今日は本格的に異世界の探索をする予定だった。


あの小屋を拠点として、活動の範囲を広げていく。


出来れば大雑把な地図なんかも作成したいところだ。


俺は最後にバックパックに栄養ドリンクを5本詰めてから、異世界へと向かった。


いつもの階段から地下通路を経て、草原へ。


現実世界は現在真っ昼間の時刻だが、異世界でも相変わらず太陽…正確にはそれに似た恒星が燦々と輝いていた。


てっきりこっちは夜かと思って懐中電灯なども持ってきたのだが、予想が外れた。


地球とは周期が違うのかもしれない。


しかし、視界が明るいのは好都合だ。


まず例の小屋を目指した。


今日も、途中でモンスターに遭遇することはなかった。


今日も相変わらず無人の小屋にたどり着いた俺は、探索を始める前に、今日の分の栄養ドリンクを飲んで、レベルアップをしておくことにした。


持ってきた栄養ドリンクは5本。


そのうちの3本を一気に飲んでしまう。


脳内でファンファーレが三度鳴り響き、それに伴ってレベルも三つ上がった。




名前:西野壮平

種族:ヒューマン

職業:なし


レベル:19→22


攻撃:450

体力:410

防御:400

敏捷:580



レベルは着々と上がってきている。


この調子で上げていけば、そう長くかからずにレベル3桁の大台へ到達できそうだ。


レベルは上げて損はない。


異世界探索の危険度が減ることは言わずもがな、現実にも強さが反映されるからだ。


「ひょっとして俺、このままレベルを上げたらスーパーマンみたいになっちまうんじゃないか?」


そんなことすら思ってしまう。


もちろん、レベルがどこかで打ち止めになってしまう可能性も十分にあり得るのだが。


「さて、次は武器を収納するか」


俺は次に、小屋の中にある武器を片っぱしから<亜空間>スキルによって収納していった。


<亜空間>スキルにどれほどの容量があるのかわからないが、小屋内にあった10を超える武器が、難なく収められてしまったところを見ると、まだまだ収納スペースには余裕がありそうだ。


俺は荷物でパンパンになったバックパックも収納し、弓と剣だけを携帯した身軽な格好になった。


遠距離と近距離、どちらも戦えるようにと考えた結果の武器の選定だ。



「よし、行くか!」


そうして、俺は小屋を出て、いよいよ異世界探索へと乗り出して行くのだった。





「うーん、どこに進もう」


威勢よく歩き始めたはいいものの、少し小屋を離れたところで、俺は早速立ち往生してしまう。


「本当に何もないな…」


というのも、どちらへ進めばいいのか全く見当がつかないのだ。


ぐるりと180度見渡してみるが、見えるのはどこまでも続いている緑の草原。


森や街、村などがあればそちらへと進路を取ることが出来るのだが…


「まぁ、迷っててもしょうがない。適当に決めよう」


俺はひとまず運任せで進む方向を決めることにした。


地面にミスリルの剣を軽く突き刺し、風が吹くのを待つ。


倒れた方向に進もうという算段だ。


「こっちか」


やがて、吹いてきたかぜにミスリルの剣が倒れた。


俺は剣の倒れた右斜め前方の方向へ向かって歩き出す。


それは歩き出して半時間ほどが経過した頃だろうか。


『ギャギャギャッ!』

『ギィーギィー!!』

『ギャイギャイ!!』



身の毛の与奪ような気色悪い鳴き声が聞こえてきた。


間も無く、目の前に3匹のモンスターが現れる。



ノーマル・ゴブリン

種族:モンスター


レベル:7


攻撃:90

体力:70

防御:50

敏捷:100



ノーマル・ゴブリン

種族:モンスター


レベル:9


攻撃:120

体力:100

防御:60

敏捷:150



ノーマル・ゴブリン

種族:モンスター


レベル:5


攻撃:70

体力:50

防御:20

敏捷:90


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