葵ちゃんの悩み

翌日。

今日も学校に登校してすぐに、葵が来た。

「ねえ、槐。仮入会したい、って言う人が来てるんだけど。」

ふむ。大分特異なやつだなそいつは。

「ふーん。別に誰が入ってもいいんだけどさ。それとも、嫌なのか?お前は」

葵は、僕への質問には答えなかった。

「…。じゃあ、こっちで決めとくよ」

僕がそう言うと、スタスタと戻っていった。

一体何だったんだ。

そう思いながら、教室へ入り一限の支度をした。


僕は朝の葵の態度が気になり、昼休みに隣の教室へ向かった。

教室に着いて葵を呼び出し僕は話しかけた。

「おい、あの朝の聞き方は何だったんだ。朝にも聞いたが嫌なのか?

 別に嫌なら無理しなくてもいいんだぞ。」

僕にそう言われ、葵は、重い口をゆっくり開いた。

「…。嫌なのはね、嫌なのは私の大好きな詔先生がみんなのものになっちゃうことなんだよ!」

「なめんな!なんか色々誤解しちゃったじゃないか!」

葵は、僕の言葉を聞いて首を傾げている。

「何か、誤解するようなことって言った?」

 そう言われたら返す言葉がない。僕はてっきり同好会長の葵が、まじめに人員調整とかそんな感じのことで悩んでるのかと思った。

もしくは女の子の日とか。

「勝手に僕が早とちりして誤解してたのは謝るけど、先に一つはっきりさせておきたいことがある」

「な、なに…?」

僕の言葉にただならぬものを感じたのか、葵が、一歩後ろへ下がる。

「…それはな。あの人が好きなのは僕も同じだからな!」

僕はそう叫んだ。

葵は僕に向かって親指を立てる。

「お互い頑張りましょうや」

「おう」

僕たちが周りの人から白い目で見られている気がするが気のせいだろう。

僕は晴れ晴れした気分で教室へ戻った。


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