詔先生は天使である

 放課後、僕は昨日と同じく美術室へと足を運んだ。

「こんちはー」

僕が教室へ入ると詔先生が笑顔で迎えてくれた。

わぁ天使。

「今日は槐君が一番ですよ。それと、席全員分席用意しておきました」

そう言いながら先生は教卓の前へ移動した。

「えっと、槐君の席は…ここですね」

そう言って先生が指示したのは教卓の真ん前の席だった。

昨日とは異なり、教室には全部で六つの席があった。配置的には3×2の形だ。

「あ、ちなみに前の左から蓬ちゃん、蕨君、菖蒲さん、百合さん、葵ちゃんね」

 僕は先生が指示した席に座り、僕は本を読み始めた。

先生は僕と同じタイミングで船を漕ぎ始めたかと思うと、すぐに夢の世界へ旅立ったようだった。

お仕事お疲れ様です。

 

「失礼しまーす。」

 僕が本を読み始めてから十分ほどして、葵を除く四人が教室へと入ってきた。

「みんな葵とは一緒じゃなかったのか?」

「ううん、行く前に教室に寄ったんだけど見当たらなかったで」

 僕の質問に三人を代弁して答えたのは菖蒲さんだった。

「あ、そういえば槐。詔先生は?」

 僕は無言で教卓を指差した。

「ねえ、槐。先生寝てるの?」

 蓬さんに聞かれた僕は静かに頷き、指を口の前で立てた。

「席は前から蓬、僕、蕨、菖蒲、百合、葵な」

 僕から席の場所を聞くと全員自分の場所へと移動した。

その時、ひときわ大きな音を立ててドアを開け教室へ葵が入ってきた。

「こんにちは〜!」

 こいつタイミング悪すぎだろ。

そう思いながら詔先生を見ると、案の定辺りを見渡してキョロキョロしていた。

可愛い。

「…えっと。全員席についてください!」

 軽くやけになりながら先生がみんなに指示を出すと、座っていなかった葵だけが返事をして席に着いたことで、ここでようやく全員が揃った。

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