ミコトノリせんせ

 そんなこんなで話を進めていると、教室に見たことのない先生が入ってきた。

「みんなー、仲良く初日から何してるの?」

 入ってきた先生は、上だけメイド服で下がジャージという、ファッションセンスも、見たことない人だった。

背は、推測で152センチくらいだろう。

いわば、結構小柄な人だった。

それに若い。

誰かのお姉ちゃんと言われても違和感はない。

ルックスも悪くない。

誰目線やねん。

だが、メイド服なんかを学校内で着ている時点でこの人は、がっかり美人と位置付けられた。

別に僕は嫌いじゃないけど。

むしろ歓迎。


「あ!ミコトノリ先生。来てくれたんだ」

 一番に先生に話しかけたのは、葵だった。

「えっと、先生。恐縮なんですが、一つ気になるのでお尋ねしたいんですが。ミコトノリって、どんな字をお書きになるんですか?今まで聞いたことがなかったのでわからなくて」

無知蒙昧な僕がそう聞くと先生は丁寧に教えてくれた。

「えっとね、大化の改新とかで一回は耳にしたことあると思うんだけど、『改新の詔』の詔ていうか。えっと、音読みではショウだね。

言偏の、右側の上に、刀、下に口で、詔」

先生はそう言うとにっこり笑った。

「詔桜って言います。みんなこれからよろしくね!

 あと、そんなかしこまって話さなくても、もっとゆるい感じでいいよ〜」

先生の教え方はとても親切でわかりやすかった。教え子に好かれるような、教え上手な先生なのだろう。

ただし、メイド服など着ていなければの話だけれど。

まあ僕は嫌いじゃ(以下略)

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