Ending
【強襲揚陸艦アサヒ ブリッジ】
アサヒは現在スターフォースワンと合流後、スタンドにて補給とスターフォースワンの損傷部分の応急修理が行われている。
ダストとの戦闘を終わらせたパープル、ブルー、イエロー小隊も無事帰投したと先ほど連絡が入り、電子タバコのスイッチを押しひと口吸って安堵のため息と共に紫煙を吹き出した。
すると腕にある端末がバイブレーションし、ブラッティが手を捻り通信相手の名前を確認すると受信ボタンを押す。
「ムラサメ少佐スターフォースワンはどんな状況かね?」
「艦長、応援をお送りいただき助かりました、なにぶんスターフォースワンは乗員が想定の倍以上乗船しており廊下中に難民が座り込んでいる状況です。」
大統領の専用機に民間人がすし詰め状態で乗っていた事、さらにあの船体の傷は今まで行って来た戦闘の激しさを物語っており、その状況を想像して眉間を揉みほぐすとため息を吐く。
ムラサメはモニター越しに目を瞑り「大変お伝えしにくいのですが」と前置き、話を始めた。
「先ほど現政権教育長官であらせられるグレースケラー議員とお話した所……大統領の生存は絶望的だと……。」
その言葉を聞きブラッティは目を丸くしてその後奥歯を噛みしめる。
ムラサメがつい数時間前に言っていた《最悪なシナリオ》それは我々があの小惑星群から戻った時には既に恒星系エデンの何処かが侵略されている場合であったが現状はそのシナリオの数倍は悪い状況である。
エデンだけでなく銀河全てといっていい星が侵略されさらにはファースト大統領の死、状況は最悪中の最悪であることは間違いない。
「それで、他の閣僚はどちらに?」
「それが……。」
ムラサメが言いにくそうにしていると画面に割り込んできたのはグレースケラー議員だった。
30代の半ばといった所であろうが見た目には気品があり年齢の割に容姿が若く見える。
立ち居振る舞いも洗礼されており流石銀河連邦の代表に選出されるだけあると感じブラッティは挨拶を交わした。
「ブラッティ艦長、お初にお目に掛かります私はグレースケラーと申します、危ない所を助けていただきありがとうございました。」
「これはグレース議員、我々も任務から帰投中にたまたま通り掛かったまでです、本当に運が良かった。」
その言葉にグレースは首を振り「いいえ、たまたまではないのですよ」と真剣な顔で話を始める。
「どういうことですかな?」
「私たちはカーネル国務長官がエデンを脱出する前に用意していた航路の通りに進んできただけです。カーネルはこのスタンドあたりでアサヒと合流できる可能性があることも示唆しておりました。」
「なるほど、連絡が取れていないのにも関わらず我々が通る航路を予想し、補給を考えるとこのスタンドに立ち寄るだろうと考えたわけですか……まあ、あの男ならその程度やってみせるでしょうな。」
ブラッティとカーネルはダマスカス動乱以来ここまで続いてきた関係であり、カーネルの事は先任上級曹長とは別の意味で戦友だと思っていた為ここまでの航路を事前に用意していたことに関して、なんら不思議はないと考えたが、頭の中で「お前の考える事など丸わかりだ」と得意げに笑うカーネルの姿を想像し苦笑する。
「残念ですが、そのカーネル国務長官が先程息を引き取りました……。そしてエデン脱出時点で生存確認が取れている閣僚は私のみです……よって有事特例第三条二項が適用され大統領継承順位15位の私が大統領という事になります。」
ブラッティはその言葉に唖然とするがなんとかその感情を表に出さずにグレースを見つめる。
カーネルが死んだ事は衝撃だったが、生前からお互い利用し利用され合ってきた間柄であり、悲しみに暮れるような関係でもないが、あの傲慢でいて、誠実な男ともう会えないのは少しの寂しさを感じずにはいられない。
普段であったら旧知の仲である先任上級曹長を自室に招いて酒盛りでもしてやる所だが状況がそれどころではないだろう。
グレース以外の閣僚は全て亡くなっており大統領継承権を下から読んで行った方が早い教育長官が繰り上がりで大統領になると言う銀河連邦の長い歴史上初めての事態であった。
ブラッティは深いため息の後、通信では埒が開かない為、現状の整理をする席を設けようと提案しグレースは二つ返事で了承する。
本来であればブラッティがスターフォースワンに出向くべきであるが、現状スターフォースワンには民間人が大勢いてゆっくり話せる状態ではない為、グレースには一先ずアサヒでその席を用意する旨伝えるとグレースはすぐさま頷き、通信が切れる。
「カーネルのヤツが死にましたか……憎まれっ子世に憚るとは嘘だった様ですな。」
ブラッティの隣でそんな憎まれ口を叩く先任曹長は、どこか寂しげに遠くを見つめていた。
カーネルとはお互い数十年来の付き合いであり、内心複雑なのはブラッティも同じである為、先任曹長が先程呟き虚空に消えた憎まれ口にもあえて言葉はいらないと考え、ブラッティは紫煙を吐き出す。
「先任、君に大統領のお迎えを頼みたい。」
「アイアイ艦長。」
先任上級曹長は厳しい顔で肯くとその場を立ち去る。
「艦長、先程は出過ぎた真似をしてすみませんでした。」
先任上級曹長を見送ったのちブラッティの目の前に立っていたのはマジメンだった。
艦長帽を被り直しつつ「なんのことかね?」と尋ねると先程のスターフォースワン救出作戦について話出す。
「スターフォースワンの損傷を見る限りアサヒがそのまま出撃していたらアサヒも損傷するリスクがあり、二隻同時で修理に入って居たら人員も時間も倍以上かかってしまいます。BT隊も無傷とは行かなかったものの全機帰還しましたし、流石は艦長です。」
マジメンは反省した表情をしながらブラッティを賞賛するが、ブラッティはその言葉に含み笑いを返した。
「そんなもの結果論でしかないぞマジメン。正直、アサヒが通常航行で該当宙域に向かったとしても遅過ぎてスターフォースワンを助けることはできなかっただろう、その時点で我々にできる事は限られていた。今回に関しては私も爪が甘かったよ……最悪パープル小隊に関してはロストする可能性も考慮していたしな、こうなる事を想定して先行偵察はイーサンに行かせるべきだった。」
指揮官とは最悪な場合を想定して行動するべきであるとブラッティは考えている。
宇宙船とBTのような機動兵器で速度を比べるとどうしても宇宙船の方が質量が大きい分加速が遅くなってしまう為、あの状況では加速力に勝るBTを出撃させるのが最善であったが、先発したパープル小隊に関してはスターフォースワンを逃す為の時間稼ぎが目的であり、パープル小隊が全滅したとしてもイーサン率いるイエロー・ブルー小隊がうまく立ち回ってくれればスターフォースワンを逃す事は出来ると考えていた。
今回の作戦は見方を変えれば、イーサンを含めたBT隊クルーと政府要人の命を天秤に掛けてブラッティは対して恩もない大統領の安否を取ったわけであり、ロスト覚悟の出撃を敢行した時点で誰かに褒められる采配ではないだろう。
何故ブラッティが、スターフォースワンの安否を優先させたのかというとそれはブラッティが軍人だからである。
軍隊は政府があってこそ、その真価を発揮する機関であり、政府のない軍隊などそこいらの宇宙海賊や反連邦勢力、カルト組織と変わらなくなってしまう。
どんな状況であろうと軍人は政府の暴力装置止まりで居なくてはただの暴力集団と大差なくなってしまうのだ。
だから最愛の
「そこまで考えていらっしゃるとは、やっぱり艦長はすごいです!」
根っからのブラッティフリークであるマジメンに目を輝かせて称賛されてしまい、ブラッティは居心地悪そうに苦笑して、ここにきた本来の目的であろう報告を聞くべくマジメンに話を振った。
「マジメン、BT隊の戦果はどうだった?」
「はい、これが今回の戦闘データです。」
マジメンは手に持っていたタブレットを操作するとブラッティに手渡す。
その報告書には各小隊の戦果が分かりやすく纏まっておりマジメンの能力の高さが際立っていた。
「アルベルト少尉の戦闘データだがこれは間違い無いのか?」
「はい、私も異常な数値だったので調べ直しましたが、間違い無いようです。」
ブラッティは手元にあるデータをもう一度スワイプして再度確認するがアルベルトの戦闘データだけ群を抜いて凄まじい戦果だった。
しかも後半は銃器ではなくバトルナイフのみで戦っており、ダストの撃破数、BTの行動範囲どれをとってもトップの戦果である。
「彼は、ファーストトリガーなのかもしれんな。」
「ファーストトリガー?」
ファーストトリガーとはエデンが連邦になる前からある“特別な兵士”がそう呼ばれ、一人で戦局を変えてしまう程の英雄に与えられた称号である。
プロパガンダで作り上げられた偶像の可能性もあるが、どんなに撃たれても死なない者や奇跡のような戦果を上げた者がいた事は事実であり “戦争を終わらせる引き金”という意味を持っていた。
「要は“持っている人”ってやつですね」
「そうだな、戦争にはそう言った持っている者が現れるものだ。」
「では、艦長もファーストトリガーなんですね!」
そう言われたブラッティは一瞬呆けてしまうが我に帰り一頻り笑った。
「そうであってほしいと願うよ。」
ブラッティはそう呟き少しの談笑ののちマジメンが思い出したかのようにブラッティの元に来たもう一つの理由を話し始める。
「艦長、後2時間で補給とスターフォースワンの応急修理が完了しますが、行き先はエデンで変更ないでしょうか?」
データを読みながらブラッティの前に立つマジメンを一瞥するとブラッティは数秒考えてマジメンに向かって首を横に振る。
「ふむ、マジメン現状の星系マップを開いてくれるか?」
マジメンは片手にモニターを操作して星系マップを出現させる。
アサヒの現在位置は恒星系エデンの外縁部と内惑星帯の狭間におり、エデン近郊の宇宙空間には人工物が多くドライブ航行が使えない為、ここから通常航行で行くしかない。
詳しくは聞いていないが、スターフォースワンの状況を鑑みるに今からエデンに向かう必要性があるのか疑問であった。
「現状を考えるとエデンに向かうのは愚策であろう、行き先はグレース大統領の話を聞いてから決める。いつでも出港出来る様に準備だけはしておいてくれ。」
「アイアイサー!」
マジメンの敬礼に返礼し「ここを任せる」と伝え、ブラッティはブリッジから応接室へと歩みを進めた。
応接室に続く道すがら、すれ違うクルーたちに敬礼を返しつつ進むと応接室の前で先任上級曹長が待っており難しい顔をしている。
軽く敬礼をして応接室に入ると中ではグレースとムラサメが立ち上がりそれぞれ礼をして、ブラッティはグレースに握手を求めるとグレースは優しい笑みでブラッティの手を取り「お会いできて光栄です」と一言吐きブラッティは「こちらこそ大統領閣下」と伝え席に座るようにジェスチャーした。
席に座るとグレースは表情を固くし、視線をブラッティに向けて語り始める。
「艦長、単刀直入にお聞きします、あなた方はどこまで知っているのですか?」
その言葉を聞きブラッティは艦長帽子を被り直し言葉を吐いた。
「我々はちょうど十日前、とあるアステロイドベルトに発生した特異時空変動の調査を命じられておりましたがそのアステロイドベルトでダストと思われる個体に遭遇、我々のBT部隊4名が奴らにやられました。その報告を聞き司令部に至急報告をしようとしましたが繋がらず、私の判断で調査任務を放棄。エデンを目指しているところにスターフォースワンからエマージェンシーコール、あとは大統領のご存知の通りです。一時はどうなる事かと冷や汗をかきましたがなんとかここまでたどり着いたといった感じです。」
そこまで話すとグレースは二度三度と頷き「と言うことは現状をほぼ知ることなく現在に至ると言うことですね。」と呟き、グレースは我々がいなくなった後の話をし始めた。
「あなた方が調査任務で無線封鎖をしている頃、恒星系ビルドに何者からか侵攻を受けていると報告が入ってきました、最初は連邦軍も反政府組織の小規模侵攻だとタカを括っていたのです。元々あの辺の地域は反政府寄りの人間が多いですから……あ、申し訳ありませんブラッティ艦長はビルド出身でしたね。」
「いえ、構いませんよ、元々私は根無草ですし、母親が他界して以来あの星には足を踏み入れていませんので。」
ブラッティが恒星系ビルド出身だった事を思い出しグレースは謝罪するが、ブラッティにとってビルドにいい思い出はなく、故郷と言える程の愛着はなかった為気にせず話を続けるように促す。
「ビルド方面軍が動き出した頃には惑星ビルドに侵攻を許してしまいました。」
グレースはため息混じりで話を続ける。
惑星ビルド陥落の報告を受けたビルド方面軍は事態を重く観て2個師団をビルドに派遣するがなんとビルドに着く前に師団の半数が壊滅的被害を受けて撤退、周辺惑星も占領されてしまっていた。
しかもあろうことか、連邦軍はビルド陥落と2個師団を消耗するまでダストからの侵攻を政府に報告していなかった為この報告を受けた政府は当然軍の幹部を更迭政府主導で事態を鎮静化しようとするが時すでに遅くこの恒星系エデンまで攻め込まれていたそうだ。
「今思うと政府閣僚も軍のことを強く言えない部分があります、何せ一部の議員はこれを機に派閥の勢力を伸ばそうと躍起になっていました。……我々は総じてダストを甘く見ていた。」
「しかしグレース大統領、腑に落ちないことが。」
そう口を挟むムラサメに対してその先を促すように全員目線を向ける。
「完全な奇襲攻撃を受けたと言うことは理解しましたが、今の大統領の話を聞く限りビルドとその周辺星系が奪われたことすらも政府は感知していなかったと聞こえるのですが、その間に情報が一切流れてこないと言うことはあり得るのですか?」
「奴らは我々が普段使う粒子通信にジャミングをかけているそうです。」
「やはり広域粒子通信が使用出来なかったのはダストの仕業というわけですか。ですが、先程のダストからジャミングされているデータは確認できませんでしたが?」
「私も詳しくはわかりませんが、先ほどのダストは“ビートル型”と呼ばれる個体でありジャミング能力はありません。あとでカーネルが持っていたダストのデータをお送りしますので詳しくはそちらを見てください。」
グレースはその後の銀河連邦について話し始めるが聞くに耐えない内容でありその場にいる全員が息を呑みブラッティは気が遠くなる感覚に襲われた。
「政府の人間として言い訳をさせてもらうなら、ヤツらの進行が早すきたのです。たった数日で銀河連邦の半分以上を攻め落とされてしまうなんて……連邦軍はアトランティスを最終防衛ラインとしてヤツらを待ち構えましたが全滅。アトランティスが攻め落とされた後はすでに人類に対抗する力など残っておりませんでした。」
恒星系エデン第五惑星アトランティスには惑星守備隊を除き総兵力の大半を割き、さらには難民船団を護衛してきた艦も引き抜き防衛戦を行ったらしい。
最初の1日は何とか守り抜いたが次の日には倍の数で攻めてきたダストによって防衛ラインは崩壊、連邦軍は8500万人の死者を出し潰走した。
驚くのはこれを10日でやってしまう数のダストがこの銀河に押し寄せてきたということであり、ヤツらはこの広大な銀河を高速で移動する能力とここまで戦略を考えて人類を殲滅するだけの知恵があると言うことだ。
「で、ではエデンの人々はどうなったのですか?」
ムラサメは声を震わせグレースに尋ねるがグレースは目を細め首を振る。
ムラサメは利口な女性であるが故にその仕草で何かを察したのだろう、座っていたソファーにへたりこみ掌で顔を覆ってしまう。
「残念ですが現在の我々人類にヤツらと張り合うだけの力は無く、守るべき故郷も失ってしまいました、エデン星系は完全に占領され民間人は宇宙船で逃げ延びようとチリジリになってまだ侵略されていない可能性がある惑星フレアを目指しております。」
グレースの言葉にブラッティは徐に電子タバコを取り出しスイッチを入れ大きく吸い込む。
吐き出す紫煙は無味のはずだが、そこはかとなく苦く感じてしまう。
こんな時ほど本物のタバコを吸いたいと内心で思ってしまうがグレースの話を聞く限りすでにブラッティの愛好していた銘柄はもう手に入らないだろう。
ダストのおかげで禁煙が成功しそうだと皮肉を吐きそうになるが喉から出そうな言葉を飲み込み首を振った。
幸いにもブラッティに守るべき家族はおらず、妻は三年前に他界しており、子供も若い頃妻が流産してしまった為、産むことを諦めてしまったので居ない。
心残りなのは妻と過ごしたマイホームくらいであるが、それでも馴染みのバーや必ず食べに帰っていた定食屋がもうないと考えると何ともいえない心苦しさがある。
「状況は大体解りました、では今後の話をしましょう。」
ブラッティはグレースに対して向き直りそう言うとグレースは少し不思議そうな顔をしてブラッティの目を見つめた。
「グレース大統領、どうなさいましたか?」
「あ、いえ……。さすがは不死鳥ブラッティこのような有事になっても平然とされていると思いまして。」
ブラッティはその言葉お聞き口の端を歪めつつ言った。
「私は多くの部下を死地に送り出してきました。私の命令が部下の何人を死に追いやってきたのか数えきれません、ですが私は軍人です。過去に起きたことを考えていても何にもならない事を知っています……だから次のことを考えるのです。今まで死んでいった戦友たちの為にナニができるのかを、ナニが守れるのかをそうしなければあまりにも彼ら彼女らの命は安すぎるだから最大限、次に繋がる消耗でなくてはならないと私は考えます。我々は立ち止まれない、だから次です。私達には踏み越えてきた命の対価に見合うだけの次がなくてはならない。」
ブラッティは猛禽類を思い出させる眼をグレースに向けて「大統領閣下次の命令を」と伝えるとグレースは頷き命令を伝える。
「……ではブラッティ艦長。二隻の船で状況を打開できるほど簡単ではありません、残存している勢力と合流するべく針路を惑星フレアに向けてください。」
「
その場にいた二人は直立して敬礼しブラッティは敬礼を返す。
大統領は立ち上がり「ではよろしくお願いします」と一礼するとムラサメとグレースはスターフォースワンに向かうべくその場を出て行った。
先任上級曹長とブラッティはブリッジに向かいながら端末でマジメンを呼び出し針路をフレアに変更するよう伝え、マジメンは「針路の計算に入ります」と勢いよく敬礼して通信を終える。
「私が生きているうちにこうなろうとはな……それはそうと先任大丈夫か?」
「大丈夫とは一体なんのことでしょう?」
「いや、私は妻が他界しているが先任上級曹長には家族がいるだろ?これから先悩んでる暇もなくなる、今なら少しの時間を与えてやれるが」
ブラッティも素直じゃない分回りくどい言い方をしてしまうが、要は「心配なら時間をやるから連絡してきたらどうだ」と伝えたかった。
そんな心情を察してか、先任上級曹長は顔のシワというシワをクシャっとさせて笑う。
「そんなことを心配されているとは全くあなたは昔から優しすぎる。安心してください女房は昨年死別しておりますし、他の子供たちは一端の大人です。心配なのは長女の孫くらいですが今心配したところでどうなることもありません。今はこの
「そうか」と帽子をかぶり直しすこしニヤけるとブリッジに向けて真っ直ぐに伸びる道を歩いた。
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