その日の夜から館では不気味な現象が起こる

「ううっ……ううっ……」


 その日の夜の事でした。私はその日の夜、無性にうなされました。なんだか嫌な夢を観ていたようです。


 嫌な夢でした。なんだか、これから不吉な事が起こるのを暗示しているかのようです。


 仕方なしに私は目を覚まします。水を飲んで気分を落ちつけようとしました。


 その為、台所に向かったのです。


 その時でした。ガタガタと食器が震えました。


「きゃ! な、なにっ!? これは地震!?」


 私は慌てました。そして食器がパリン! パリン! と割れ始めるのです。


「はぁ……はぁ……はぁ……なんなのかしら。これは」


 この時はまだ地震だと思いました。しかし、部屋まで帰る時の事です。おかしな事はまだ続きます。


 廊下の窓から見える景色でした。青白い火の玉のようなものが見えるのです。


「な、なんでしょうか……あれは、幽霊でしょうか」


 恐ろしいです。見えてはいけないものが見えているようです。そして、後ろから足音が聞こえてきます。

 

 この館には多くの使用人たちが生活をしています。その方々の足音かと思いました。


私は恐る恐る後ろを振り返ります。そこに見えたのは、使用人などではなく、頭から血を流して死体のような男でした。まるでゾンビのような。


「きゃああああああああああああああああああああああああああ!」


 私は思わず叫んでしまいます。


「どうしたんだ! シャーロット!」


 灯りがつきます。ウィリアム様が私に駆け寄ってきます。


「ウィリアム様……良かった、ウィリアム様ですか」


 私は安堵の溜息を吐きます。


「どうしたんだ!? シャーロット!? 何かあったのか。とりあえず、部屋に戻って話を聞こう」


「はい……」


 私達は部屋に戻ります。


 ◇


「そうか……そんな事があったのか」


 私は館で起こった不可思議な現象について話をします。


「そういう事があったのです。なんだったんでしょうか? 心霊現象という奴なのでしょうか?」


「恐らくはそういった現象は普通、理由の説明がつかないものだ。だが、私には心当たりがある」


「心当たり?」


「恐らくは魔女の呪だ。魔女は気付いたんだ。私にかけた呪いが解けた事に。そしてその呪を解いたのがシャーロットだと気付いたんだよ。私とシャーロットが夫婦となった事も、魔女は気付いたんだ。それで私達の仲を引き裂こうとしたんだ」


「あれは魔女のかけた呪だったんですね」


 理由がわかれば少し怖くなくなりました。ですが同時にそれらの現象が気のせいでないという事になります。これからああいったことが続いていくのでしょう。


 もっと怖い事も起こるかもしれません。魔女により故意に起こされた現象だったのなら、これで終わるはずもありません。


「怖いかい? シャーロット……」


「勿論、怖いです」


「恐らくは魔女の悪だくみは今後も続いていくだろう。だけど、私達ならきっと乗り越えられるはずだ」


「ウィリアム様……」


 私はウィリアム様に抱きしめられてしまいます。


「一緒に乗り越えて行こう。シャーロット。私達の愛は永遠だ。魔女の邪魔立てなんかに屈しない」


「わかっております。ウィリアム様。私もまたウィリアム様を永遠にお慕いしております。ですが今晩は怖いのです。ウィリアム様。どうか私と一緒に眠っては頂けないでしょうか?」


 普段は寝所を別にしている私達ですが、今日は怖いのです。自分の部屋には戻りたくありません。


「わかった。シャーロット。一緒に寝ようか」


「はい。よろしくお願いします」


 こうして私とウィリアム様を一晩を過ごしました。ウィリアム様が隣にいたので、魔女の呪も怖くはなかったです。一時でしたが忘れる事ができました。


 ウィリアム様と一緒に眠ることができて、ちょっと得して気分です。この事だけは魔女に感謝していいかもしれません。


 こうして色々あった夜が過ぎ、朝を迎えるのです。

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義妹に『醜悪な野獣』と言われる『辺境伯様』への嫁入りを押し付けられました。真実の姿を知ってから代わってくれと言われても、もう遅いです! つくも @gekigannga2

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