第15話 下校しようとした結果w

 どうして人は人を攻撃するの?


 その答えを僕は知らない。


 ただ一つわかっているのは、人は人に牙を向く直前、いつも不安に襲われてるってこと。


 何かを恐れて、直視出来なくて、誰かの弱さに目を向ける。


 ひそひそ。


 弱者は不安の駆け込み寺。


 だから僕は立ち上がった。


 駆け込んでくる不安の塊を跳ね飛ばした。


 ひそひそ。


 朝の教室、無数の囁きが僕の前を通り過ぎる。


 ザラザラとした肌触りが、僕の心を少しずつ削り取っていく。


 このひそひそは僕に、いや、昨日僕がしたことに向けられている。


 怖いよね?


 ひどくない?


 誰かを糾弾する無数の言葉。それらはいつだって仲間を探してる。


 『ハロー、僕の名前は暴言! やぁ嫌味くん、僕1人でいると悪目立ちするから是非とも友達になろうよ!』


 誰かを傷つけた事実。平気なフリをしてみても、人間はそれに耐えられるようになんて出来てはいない。


 だからきっと、人は誰かといることを暖かく感じるのかな。


 よく見たら彼らだって……。


 僕は彼らの恐怖心を盗み見ようと、一際囁きの濃い場所に視線を向ける。


「……っ!」



 視線は物凄いスピードで逸らされる。


 それと同時に、僕の心に無数の恐怖心が機関銃の弾丸の様に飛んでくる。


 そしてそれは、僕の“自尊心”だとか“良心”といった割りかし大切な部分に突き刺さりダメージを与える。


 ……成る程ね。


 いじめられるよりはいっか。辛いけど。


💻


 あれ?


 放課後、自分の靴箱の蓋に書き殴ったような赤い文字。


『死ね』

『殺人鬼』

『学校辞めろ』


 ふむ、これはあれだ。


 漫画のようなテンプレのイジメ。


 弱いからいじめられるんじゃ、無かったんだ。


 僕のことが怖くてもイジメは起こるんだ。


 じゃあ、怖がられてるDQNがいじめられないのはどうして?


 DQNと僕、決定的に違うものは何?


 心の奥のもっと奥、真っ暗闇に問いかける。


『……』


 答えは返ってこなかった。

 

 次回薄汚れた豚のような僕が大好きなあの子に叩かれてみた結果w


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