第11話 歩いてみた結果w
「うーん、かろやかだね!」
背筋を思い切り伸ばして弾むように歩く。
適当な脳の書き換えにより死にかけた僕は、あれから微調整に微調整を重ねた。
セロトニン121%、ドーパミン98%、アドレナリン107%が僕の脳における現状の黄金比。
思考は軽やかに回り、行き過ぎていない意欲で建設的に動く事ができる。
さて、次はどうしよう。
並木路を早足でズンズンと歩きながら考える。
耳に突っ込んだカナル型イヤホンからはナンジャマンの『放っとけ』
冷たいほどに淡々としたリズムと落ち着いた歌声に乗せられた熱い言葉がまるでそれがこの世の真理であるかのように語りかけてくる。
丸くしてたら舐められる♪
やたら尖っていてたら避けられる♪
なら、僕はどうすりゃいい?
欲しいのは勇気?
ビビってるからイジメられてたし、
ビビっていたから僕はキモいと言われて自分が嫌いになったのか?
だから僕は、梶尾さんが泣いていても何も出来なかったのか?
もしも勇気があったなら?
けれども僕が、なんの躊躇いもなく、「どうして泣いているの?」なんて梶尾さんに訊いたら彼女は喜ぶのだろうか?
違う。
欲しいのは知性。
僕は知りたい、彼女がどうして泣いていたのかを。
僕は知りたい、どうすれば彼女が笑ってくれるのかを。
知性を司る器(脳)は仕上がった。
ならば次にできることは?
……知識の吸収。
呆れ返る程にバカな僕にも思いつくことなんてそれくらい。
ならばそれをやればいい。
そうすれば、違う何かが見えてくる。
僕は足取り軽く図書館に向かう。
増幅させた幸福を司る脳内物質に後押しされながら。
次回💻勇気を出して電話してみた結果w💻
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