第10話 脳内麻薬で本当にトリップしてしまった結果w
僕のダメなところってなんだろう?
昨日、憧れの梶尾さんとマックに行くなんていう奇跡のような時間を過ごした。
そこで梶尾さんは泣いていた。
どうして?
どうして僕は憧れの梶尾さんが泣いていた理由がわからないのだろう。
僕の頭が悪すぎるから?
前頭葉も大脳新皮質もチートで強化したのに。
未だ僕は馬鹿なまま。
未だ僕は不幸なまま。
ならばもっと書き換えてしまえばいい。
性格も、幸福度も、脳の発達特性に強く依存する。
そう何かの本で読んだ。
つまり、僕の欠点なんて、全ては脳のスペック不足。
デスクトップに浮かぶ【WOC】をカチカチとダブルクリック。
クヨクヨ悩んだりしませんように。
【セロトニン放出量=150%】
ピコン!
【承認しました】
やる気が出ますように。
【ドーパミン放出量=150%】
ピコン!
【承認しました】
うん、世界が開ける。
見慣れた、薄汚れた部屋がなんだか酷く腹立たしい。
よし、掃除だ。
僕は片付ける。
本を全て本棚に入れる。
気持ちがいい。
ゴミを袋に入れてゴミ捨て場へ。
気持ちがいい。
焼けた絨毯は捨ててしまおう。
気持ちがいい。
雑巾で机や床を磨く。
もっと綺麗に、もっと……。
💻
「…………あれ?」
目を覚ますと真っ暗闇。
僕は電気をつける。
僕の部屋だ。
僕は思い出す。
あれからずっと、水も飲まずに掃除してたんだ。
どうしてだっけ?
「ああ、そうか」
僕はまた【WOC】で書き換えたんだ。
脳内物質の数値を書き換えて、掃除がしたくなって、……それできっと倒れるまでやり続けたのだろう。
「……これは、危ないな」
急いでpcを立ち上げ、セロトニンとドーパミンの値を元に戻す。
なるほど、何でも数値を上げりゃいいってもんじゃないんだな。
バカバカしいほどにRPG脳な自分が恨めしい。
この世界はゲームのように単純ではない。
そんなことを今更実感するなんて。
ま、コツコツやってこう。
次回💻歩いてみた結果w💻
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