第13話 除霊しちゃう?
「私。原田省吾は女神アストラーゼ様の使徒として、法に基づき秩序ある世界を守る事に尽力します」
「原田先生は風の加護。魔力Dを授かりました」
「おお、凄い私にも魔力は芽生えるんだね」
「元々誰しもが持っているんだと思います。洗礼を受ける事で回路が開くと認識する事が正しいのではないでしょうか?」
「魔力のDと言うのはどの程度の物なの?」
「魔力は最高Sランクでこれは私のような聖女や賢者と呼ばれる様な方が授かる魔力です、低い方ですとGランクでほぼ魔法を使う事は困難ですが、魔導具の魔法陣に魔力を流して起動させる程度の事は出来ます。先生のDランクはランクでは真ん中程度ですが、分布で言うと上位20%に入る魔力量ですね」
「そうなんですか、意外に才能が有ったのかな。ありがとう」
「先生もこの水晶のタリスマンを常に身につける様にして置いてくださいね。女神様の加護のこもった水晶とミスリルのチェーンです」
「ミスリルですか…… 存在するのですね。もしかして信者になれば皆さんにこのチェーンと祝福を受けた水晶が頂けるのですか?」
「まぁそういう事になりますけど、別に布教活動をする予定はありませんから」
「勿体ない話だな」
「さぁ先生。美鈴さんと交代してください」
◇◆◇◆
「私。金子美鈴は女神アストラーゼ様の使徒として、悪意に立ち向かう力を身につけ弱き人を助けたいと願います」
「美鈴さん…… 火の加護と魔力Bを授かりました」
「きゃあ凄い。もしかして私超強い?」
「確かに…… 向こうの世界の基準でもその祝福を受けた方は、王宮の騎士であるとか名のある冒険者として成功できるレベルの方です。でも……意外過ぎますよ。まさか美鈴さんがそんな誓いを立てるなんて」
「そうかな? でも全然本心だよ。力を身につけて、ソフィアちゃんの手助けが出来れば、いいな? って思ったから」
「でも他の二人にも伝えましたが、その潜在能力は日々の鍛錬を怠らない様にしなければ、折角の力も発揮されません。日々この水晶に祈りを捧げ、自身の能力を磨いてくださいね」
「ねぇソフィアちゃん? でもこの世界にはモンスターとか居ないから、経験値的なものを稼いで火の加護で身につける能力を伸ばす事とか出来ないんじゃ無いの?」
「そうでもないですよ? この世界にも悪霊や幽霊と呼ばれる物は存在します。そのタリスマンを身につける事で、邪悪な存在であれば感じる事が出来ますから倒せば経験値になります」
「でもさ? 火の加護で身につけるような魔法を使えたとして、そんな魔法を使うと火事とか起きないのかな?」
「火だから当然燃えますよ? だから街中では制御が出来るようになるまでは使っちゃだめです。山とかも……」
「火の魔法って実は使い勝手悪いの?」
「レベルが上がって来ると武器に纏ったり、ピンポイントで狙ったりできる様になりますから、慣れるしか無いですね。他にも火の加護を受けると力が上がったりしますから、やはり戦闘面では最強ですよ」
「そうなんだ! じゃぁ頑張るね」
◇◆◇◆
三人の洗礼も終わってみんなでイチゴを食べながら話をした。
「って事は、悪霊退治が当面の目標って事かな?」
「綾瀬さん達の能力を高めるためには、それが一番簡単なのは確かです。今は皆さんの能力だけで悪霊と戦うのは大変ですから、私が聖水を用意しますので、悪霊や幽霊を見つけたらそれで退治してください」
「えーと瓶から振りかける感じ?」
「それでもいいですけど、水鉄砲とか使った方が飛距離とか命中率を考えたらいいかもしれませんね」
「それなら私達でも出来そうだね」
「聖水は人間に当たっても、被害が出ないですからね。魔法攻撃だと人に当たると死んじゃいますから」
「コワッ。この世界では魔法はあまり必要とされないのかな?」
「加護は攻撃だけではありませんから。火の加護ならフレイムヒールと言う火傷に効果の高い治療魔法と力の上昇があります。水の加護だとアクアヒールと言う病気治療に効果の高い魔法を使えて、精神力が上昇します。風の加護だとウインドヒールと言う傷に効果の高い治療魔法と、敏捷性が高まります」
「凄いね。早く使える様になりたいな」
「女神様に祈りを捧げて、悪霊退治頑張ってください」
「「「うん」」」
「そう言えば、綾瀬さんの言ってた0課の案件はどうなんですか?」
「一番この国でそう言うのが集まってるのは何処だか知ってる?」
「さぁ?」
「それは国会図書館なんだよね。そこの地下4階に古くからの国宝クラスの品物で呪われている物が集められてるの」
「そうなんですね。でも皆さんの今の力ではそんな所に行くと簡単に帰りうちに遭いますよ。もっと手ごろな案件でお願いします。一応他の宗教と揉めたくないですから、教会やお寺関係もパスの方向で」
「でしょうね…… そうなると、不動産関係の案件がいいかな? 場所も便利なのに、明らかに入居率の低いような物件は大体それ絡みなんだよ。除霊できればお礼も望めるしね」
「私は0課の課長に案件を紹介して貰うわ。きっと原田先生も商売上の繋がりで何件かそう言う物件に目星がつくんじゃないかしら?」
「確かにね。オーナーさんに連絡を取って、依頼を受けて見ましょう。因みにそう言う除霊に相場などあるのですか?」
「それは……どうなんですか? 除霊って商売としてやっていいんですか? 日本の法律的には」
「そうですね、日本では少なくとも商売として悪霊退治は認められませんから、お布施という形になりますね」
「難しい案件は当面取り組まないし、最低限相談料として交通費を負担して頂くよりも多ければいいんじゃないですか? それで経験も積めますし。当面は私も必ず付き添いますから、危険であれば理由を伝えてお断りすればいいだけです」
「そっか。じゃぁ早速手ごろな案件を探してみるね」
こうして私達は、活動を開始した。
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