十四話 殲滅の六肢/『その三』
「わっせ!わっせ!.....はぁ~~~ようやく追ってこなくなったのだ......」
「大変だったね~~......アライさーん、あんなの見たら普通逃げるものだよ~それを意気揚々と戦いに行くものだから心配したよ~」
「う......あいつは紛れもなくパークの危機なのだ!誰かが倒さないと.......ってどわぁ!」
「うげへぇッ!」
急いで走っていたタスマニアデビルとアライグマが顔面でぶつかる。
「あ!大丈夫?タスマニアデビルさん......、そっちの子もごめんなさい!」
「ぶへぇ!アライさんは大丈夫なのだ!」
「こっちこそごめんよ~。君たちは?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アライグマ、フェネック、タスマニアデビル、オーストラリアデビルが偶然合流する。
「ふーん........。手が四本ある人型のセルリアンねぇ........。」
「(まずいかもだねぇ.....アレが複数居たなんていうのはちょっと.......)」
「そう!それでブラックバックさんから逃げてって言われて.....」
「オレらはそれで逃げて来たんだ!ブラックバック大丈夫かな......いつも訳わかんない事言ってるけど不安だぜ」
「ふふん、きっと大丈夫なのだ!アライさんがまとめてやっつけ........」
『____________オ______!!!!!!』
『ワアオオオオオオオ~~~~ン!!!』
その時、聞いたこともない恐ろしい声と、オオカミの遠吠えが二つ同時に聞こえた。
「どっはぁ!?今度はなんなのだ!?」
「(これは.......。)一つはタイリクオオカミ、もうひとつは.....聞いたことない鳴き声だけど、声はブラックバックそっくりだね~。」
空を見上げると、黒い龍が霧散していた。
「ブラックバックなのか!?アイツは....大丈夫なのか!?」
「(これは.....もう.....。)......行ってみないと分からないかもね~。でも、逃げろって言われたんなら逃げた方がいいだろうね~。」
少し、重い空気が流れた。
「.......フェネックさん、私達、見に行くよ。ブラックバックさんが.........心配だから。見にいってあげないと。」
そういうオーストラリアデビルの顔は、もう既に覚悟を決めていたようだった。
「.............。分かったよ。アライさん、行くよ。」
「ちょ、ちょっとフェネック!行動がいちいち早いのだぁ~!」
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『________________!!』
ビシビシビシッ。
ばっかーーーーん!!
タイリクオオカミの所で戦っていたヴィズルナーラは、『
『はぁっ......はぁっ......やっぱり.......弱点を見抜いた状態で壊さないとあの道具も壊れなかったのね.......。」
「はぁ.....でも......撃破よ......こいつは強力だった.......ニホンオオカミを.......なんとか守れたわ......。」
未だ気絶しているニホンオオカミの所に寄り添う形で木にもたれる。
「.......エネルギーを使い過ぎた......ちょっと.......休憩.........しないと...............。」
傷だらけのタイリクオオカミは目を閉じた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「居たのだ!ブラックバックなのだ!!」
「お、おい!!ブラックバック!?」
ブラックバックは仰向けに寝ていた。周囲には燃えカスのような匂いが漂っていた。
「......おお、おお.......汝らは.......?」
「うわっ!身体中穴だらけじゃんか!!お前.......!!」
血が穴からどくどくと流れ出ていた。
「......ふはは、だがな。あやつらを......7体も喰ってやった.......。ほれ、あれが......」
周囲には、7個の燃えカスがあった。弱点を見抜かれた状態だったのでヴィズルナーラは身体を再生出来なかったのだ。
「.......先程.......近くでタイリクオオカミの大きい遠吠えが聞こえた.......余裕があったら......行ってやってくれ.......。」
「な、な、はぁ!?」
「........それから......この森には他にも戦っているフレンズが居るはずだ......避難の......指示を.....ごぼッ!」
ブラックバックが血を吐く。
「お、おい!ブラックバック!!大丈夫かよ!!他のフレンズ呼んでくるから待ってろ......」
ブラックバックが行こうとするタスマニアデビルの腕を掴む。
「行かないでくれ.....タスマニアデビル.......。最期は......我が探検隊の仲間に......こうして.......。」
「お、オーストラリアデビル!!なんとか出来ないか!?か、かばんの研究所に連れていけばまだ......!!最期みたいなこと言うなよ!!」
「.........。」
タスマニアデビル以外は、ブラックバックがもう助からないだろう事を悟っていた。このような事態に遭遇するのは初めてではなかったからだ。
「.....タスマニアデビル.....オーストラリアデビル.....我はお前達を騙していた.....。本当はな......探検隊とは......もっと大きく......もっと強い群れなのだ......。隊長が単独で戦うような.....そんな真似は絶対にしない.......。」
「.......お、おい!なぁ!?なんでだよ!!じゃあお前あの時なんでオレらを逃がしたんだよ!!お前言ってたじゃんか!!この探検隊をもっと大きくしようって!!歴代で一番大きな群れにしようって言ってたじゃんか!!!なあ!!!」
タスマニアデビルの目には涙が浮かんでいた。
「.........すまなかった.......。本当に......我が語った夢に........賛同してくれた汝らを......置いてけぼりにするような真似をして........。夢を......叶えてやれなくて........。」
「..........ごめんな..............。」
ブラックバックの目にも涙が浮かんでいた。
「.......ブラックバック......."ちゃん".......。」
オーストラリアデビルが大粒の涙をブラックバックの顔に落とす。
「...............オレらをここに置いていくのかよぉーーーーーーーッッッッッ!!!!!」
タスマニアデビルが泣きながら叫ぶ。
ブラックバックの体が、少しずつ虹色の光に包まれていく。
「.......すまないな.......。笑ってくれ.......最期は_______。我らは、ずっと昔から_______運命に繋がれた仲間_______.....きっと__________また会えるさ__________
ブラックバックの身体が虹色の光と共に完全に霧散した。.......それが、最期の言葉だった。
____________ブラックバック、死亡。
「うっ......!ぐっ.....!!ひぐっ......!!ブラックバックの.....ばかやろおおぉぉぉぉ!!!」
「ブラックバックちゃん........。」
「...........。」
「...........。」
アライグマとフェネックは神妙な顔をしていた。
「.......タスマニアデビル、オーストラリアデビル。.........私達は.......タイリクオオカミの所に行くよ。他の子達に逃げる指示も出してくる.......。ブラックバックが.......最期に言ってたからさ........。」
「........もし.......余裕があるなら来るのだ.......でも.......アライさん達がなんとかするから.......そこで.....ぐすっ、待っているといいのだ.......。」
アライグマとフェネックはその場に背を向けた。両者とも、タスマニアデビル達に背を向けた途端、悔しさとブラックバックの決死の覚悟による涙が止まらなくなっていた。
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「ごッッ!!?」
『ほっはっほ。』
かばんさんが吹き飛ばされる。
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『こちらセルリアンハンター!かなり重症だが私達のとこに来てた四本手の人型セルリアンは破壊した!どうする!かばん!退いていいのか!?』
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ヒグマさん達から通信が入る。
「ホント!?ナイスだよ......ッ!!退いてくれていい!!現状はどうなってる!?」
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『アライグマとフェネックが来て、私達に逃げるようにと!!どうやらあの人型は一体じゃなかったみたいだな!!2人の話によると、ブラックバックが7体撃破したそうだ!』
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「7体!?ホント!?分かった!!退いて!!ダイアウルフさんとアムールトラさん、それからキングコブラさんも何処かに居るはず!見付けたら一緒に逃げて!」
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『了解した!研究所に帰ってるぞ!かばんも無茶するなよ!』
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「ヒューゴくん!!周りにアイツの反応は!?」
「通信通りみたいだね。こいつ以外の反応は全部消えてるよ!誰かがまとめて吹っ飛ばしたみたい。」
『ぽっ。ぽぽぽっ。ひょひょひょ。』
「アクジキ!!アイツ普通に巻き戻しとか使うんだけどなんで!?神器はダメージ共有じゃないの!?」
『.....恐ラク既二合体してたから!!他の個体で神器が壊される前にここで先に合体したんだ!!」
「.......くそ......どうやって勝てば.......!!!」
『ひょッほッほッほ。』
合体したヴィズルナーラの能力は、光線は指で放つようになり更にサイコキネシスを使うようになった。短剣による攻撃は無くなったが、その分巻き戻しが強力になった。
サイコキネシスは身体や地面が吹き飛び、叩きつけられる攻撃だ。それから、ヴィズルナーラのどこを消し飛ばしてもすぐノーモーションで巻き戻し、傷が再生する。かばんさんが上から強襲してぺちゃんこにしても再生した。
無敵だ。どうやって勝てばいいんだ。
「......しかもこれで合体したの13分の4でしょ!?元はどれだけ強いのこいつは.......!」
『ふぉッふぉ。ふーー......ふーー........』
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「どはぁあああああああああ!!!あぶな~~~~~いのだぁ~~~!!!!!」
木にもたれかかって寝ているタイリクオオカミとニホンオオカミの所にエデンの残党が来ていた。
ぱっかーーーーん!!
それをアライグマは急いで破壊する。
「あ、ぶなかったのだ.....!!フェネック!!タイリクオオカミとニホンオオカミはどうなのだ!?」
フェネックが脈を確認する。
「大丈夫だよー。オオカミ達は生きてるみたい。かなり色んな所傷付いてるけど、なんとかなってるみたいだね~。」
「よし!運ぶのだ!!」
その時、遠くから声が聞こえた。
「「「お~~~い!!お前ら大丈夫か~!」」」
「おや!?アレはヒグマ達なのだ!」
「遠吠えを聞いて来たんだが.......!?タイリクオオカミとニホンオオカミか!?大丈夫なのか!?」
「生きてるのだ!それとここはもう撤退した方がいいのだ!!ブラックバックが四本手がある人型セルリアンを7体も撃破したのだ!」
「ちょっと待て......手が四本!?そいつは白かったか!?」
ヒグマが問い詰める。
「白かったのだ!アイツは一体じゃないのだ!ブラックバックはそのまま...........」
アライグマが顔を下に向ける。それで察したヒグマやハンター達は辛そうな顔をした。
「........分かった。かばんに通信を送る。」
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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「.......確認が取れた!私がタイリクオオカミをおぶる!この森から出るぞ!」
「待ってくださいヒグマさん!あそこにフレンズが!」
走っていると、二人のフレンズが地面に座り込んでいた。
「タスマニアデビルとオーストラリアデビルなのだ!一緒に帰るのだ!」
その後、アライグマ達はキングコブラ達にも合流し撤退の指示を出した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「....よし。この森にはもう僕達しか居ない!こいつは必ず倒そう!」
かばんさんが号令をかける。
『ふーーー.......ふーーー........。』
ヴィズルナーラが片腕を持ち上げる。するとその方向にサイコキネシスが現れる。
_____ボコンッ!!!
「ぐああああああああぁぁぁっ!!」
ボクの右腕が弾け飛んだ。肘から先が全て。爆散したように。
『ほっほっほ。うむ。』
『みんな光線が来る!!避けて!!』
_____バジュッッ!!!
ヒトの動体視力ではほぼ認識出来ない光線をなんとか避ける。右腕からポタポタと垂れる血を、セルリウムで一時的に塞ぐ。
「はぁああああああああ!!!いい加減吹き飛べぇえええええ!!!」
かばんさんが懐に入り込み、ヴィズルナーラの動物のライオンの見た目をしている頭を拳で吹き飛ばす。
ただの拳で頭を砕くのも相当だ。首にあたる部分から謎の液体が吹き出る。
『うむ。よいぞ。』
しかし何度砕いても、ヴィズルナーラはしゅるしゅると巻き戻る。
「っ.....何か手立ては無いのか......このまま続けられてもジリ貧だけどこいつを放置する訳には.......!!」
ヒューゴが口を開く。
「.....かばんさん、皆。一瞬でいい!相手の身体の全体を吹き飛ばせる攻撃はありますか!」
アクジキも口を開ける。
『分カッタ!!カバン!!合わせて!!」
「了解!!ビーストモード行くよ!!》
かばんさんとアクジキが同時に飛び出す。いがみ合ってるように見えて案外この二人は相性がいいのかもしれない。
《頼むよっ!!》
『アアッ!!』
かばんさんが空中に跳び、アクジキのセルリウムが踏み台となりかばんを加速させる。そしてアクジキがヴィズルナーラの後ろにセルリウムの壁のようなものを張る。
『ほっ?ほっ。ほっ?』
《でっりゃあああああああああ!!!!消し飛べぇえええええええええ!!!!》
斜め上から加速したかばんさんがヴィズルナーラに強襲する。壁に挟まれ、ヴィズルナーラは後ろに引けない。
『ほっ。』
________ぐじゃああああんッッ!!!
ビーストモードを解放したかばんさんの拳はヴィズルナーラの上半身を文字通り消し飛ばした。
『ほっほっほっ。うむ。よいぞ。』
しゅるしゅると再びヴィズルナーラが傷を巻き戻しはじめる。
『クッ!マタ巻戻リ始メル.....!』
「『母さん』!!『行って』!!」
するとヒューゴが『キャサリン』を使役する。巻き戻りかけのヴィズルナーラの______
中に入った。
『ほっ?』
ヴィズルナーラの青白い体の中に薄くキャサリンの黒い体が浮き上がる。
「!?ヒューゴ!?あれは!?」
「母さんを中に入れてしまえばジャック出来るんじゃないかと思ってね.....!!ぐッ.....!!」
『こッ.....!こーー!!!』
『.......ひょーー!!こーーーーー!!こかーーー!!!こッこッコケーーー!!!!』
ヴィズルナーラが暴れる。なんとも薄気味悪い声だ。
「こっ....これは想像以上だね.....!ぐッ.....!!」
ヒューゴの紫色の目がギンと見開かれる。
「ヒューゴ!!もうやめ.......はっッ!!!」
奴は傷は巻き戻る。だが。
「ヒューゴ!!そのまま暫くアイツを拘束してて欲しい!!僕が決める!!」
「わか、分かった......!!ぐッ!!気を抜くと母さんが取り込まれそうだ.....!!」
『キュルル!!』
「うっぐッ!アクジキも協力してッ!!かばんさんはアイツを近距離で気を引いて!!」
《了解!!ヒューゴくんの母さんを取り込ませやしないよ!!》
『こかーーーー!!!こけーーーー!!!』
『私ハ何をスればいい!?キュルル!!」
アクジキが近くに寄ってくる。
「奴は"終わった"傷は巻き戻す。だけど"終わっていない"状態は巻き戻せないはず。」
「つまり?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「これだけ減らせば上々だろう。ヒグマ達に言われた通り帰るぞ、キングコブラ、アムールトラ!」
「ああ。そうだな。」
「分かったよ。かばんさん達の無事を祈ろう。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
《りゃああああああああああ!!こっち向けえええええええ!!!》
『こかっ!!こけーーーーーーーーー!!ひょーーー!!ひょーーーーーーーー!!』
ヴィズルナーラは、内から来る『キャサリン』と外から来るかばんさんの対応に追われていた。
時々不完全なサイコキネシスや光線を出していたが、かばんさんにダメージを入れる程ではなかった。かばんさんに気を取られすぎると内からハッキングされるので無理もない。
『ひょーーーー!!!ひょーーーー!!!』
ヴィズルナーラが一際大きく腕を上げる。その場に大きいサイコキネシスが発生した。
《ぐッ.....!!!》
かばんさんの身体が上方向へ吹き飛ばされた。だが。
「放つよッ!!アクジキ!!」
『ウン!!!』
ボク達が放ったのは、セルリウムで再現した鋭い木の枝だった。
凄まじい速度で無限に伸び続ける木の枝。それを熟練のセルリロイドであるアクジキと協力し、イメージして作り出したのだ。
『ひょっ!?ひょーーーーーーーー!!』
ドズッッッッッ!!!!!!
それは地面に根を生やし、ヴィズルナーラの腹を貫いた。
《......これは!?》
「無限に伸び続ける、木の枝。奴の体を絡めとって、宇宙にまで追放する.......。」
『ひょーーーー!!ひょーーーー!!!』
ヴィズルナーラの声が遠くなっていく。既に上空20m付近の所まで行っている。
「ヒューゴの母さんが動きを止めてるせいで、光線も撃てない。.......ボク達の勝ちだよ、皆。」
「キュルルくん.....!!よし!!アイツが見えなくなるまでは心配だけど....枝も空にどんどん伸びてる!このまま順調に行けば本当に追放出来る!!」
________そこから10分後、完全にヴィズルナーラは見えなくなり、凄まじい速度で成長する木の枝は宇宙にまでヴィズルナーラを追放した。
皆が顔を見合わせる。
「......!!」
「やったああああああ!!!勝ったよ!!ボク達!!」
『本当二!本当に良かった!!奴を地球から追い出した!!」
四人が抱き合う。普段感情をあまり表に出さないアクジキすらも喜びが隠せていなかった。
「キュルルくん!本当に隊長さんみたいだったよ!!指示が的確だった!」
「ほんと!!さすがは僕の見込んだキュルル君だ!」
「えへへ.....両腕がこんな刀になっちゃいましたけど......嬉しいです!」
ヴィズルナーラが"地球外"に出た為、"物体の反転"は元に戻った。しかしキュルルは左腕をどこかに置いてきてしまった。
その上、サイコキネシスによって弾け飛んだ右腕は原型が残っていない為再現出来なかったのだ。
「あ、そう言えばヒューゴ......母さんのこと.....ごめんね。助けられなくて」
「え?ああ、母さんはいくらでも創れるよ?言っても僕が本体だからね。」
するとヒューゴは傍に『キャサリン』を出した。そうだったのか。
「え?すると今ヴィズルナーラの中と、ここに二人お母さんが居るってこと?」
「.....いや、二人は出せない。多分、ヴィズルナーラの中の母さんは宇宙の環境に耐えきれず死んだはず。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
研究所。
「えっ!?なんやアレ!?あの光は!?」
「な、なんだ!?支配人、アレなんだ!?」
「わ、私に分かるわけないでしょう!」
「みゃーー!!キュルルちゃん達のいる森に降ってきてるよ!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とある洞窟。
「な、なによぉ!?あの光はぁ!?キングコブラぁ、アレなんなのぉ!?」
「.....!?!?あ、アレはッ!!?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
へいげん。
「へ、ヘラジカ!!ここは危ないよ!逃げよう!あの空から降ってきてる光はなんかまずいって!!」
「う、しかし......私の部下たちが.....!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さばく。
「....な、なんだぁ!?あの光は!?あそこは森だったか!?」
「もぅ~~....つちのこぉ....うるさいですよ.....しずかにしてくださぃ.....ぐ~....」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
イエイヌのおうち。
「な、ななななんですかあの空の光は!?まっ、マズイです!!怪我は治ってませんが行かないと!!!」
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「......。」
ヒューゴが明後日の方向を見つめる。
「.........皆、悪い知らせだ。三分後、高確率でこの周辺一帯は消滅する。研究所まで含めて消えるようだ。」
かばんさんが口を開く。
「え!?な、なんで!?ヴィズルナーラ!?研究所までっていったらここから20km近く離れてるよ!?」
「......うん。予知ではヴィズルナーラが超巨大な光線をこの地に放っていた........。およそ逃げられはしないみたいだ.......。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ひょっ。ふー......ふーー.......。』
ヴィズルナーラは伸び続ける枝から相変わらず抜け出せずにいたが、太陽をバックにして不敵に笑っていた。
『のちのこをうこんきめたるもまはしたわたれわらあ。がだがうこんきるれずく。のこのしほをくあしぼろほをんぜるてたちう』
その手を合わせ、パーク丸ごとを破壊する程の巨大な光線を準備しながら。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「.....そうか.....奴の光線は微弱な太陽光を集めて増幅させて撃っている。だから太陽により近い宇宙という場所では......」
アクジキがぽとぽとと話す。
.......!!!
「くっ!!みんな!!来るよ!!!」
程なくして、空から巨大な光が降りて来ていた。ヴィズルナーラの、最期の攻撃だ。
深夜の暗い星空が、真昼のようになった。
ヒト、けもの、人造物、自然物。無差別に全てを焼き尽くす光線は、森に、研究所に、付近一帯全てを____________。
バジュッッッ!!!!!!!!!!!
________覆った。
十五話に続く。
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