十三話 殲滅の六肢/『その二』

『........ダメだ!!あそこに集まってる奴らに本物は居ない!ボクらと"同じレイヤー"に居る個体はどこか別の所に居ます!』


ヴィズルナーラを遠くから見ながら叫ぶ。セルリウムのバイザー越しに覗く視界はモノクロームで、X線を通して見たようだった。


地面はグリッドラインのような線が走っており、ボク達の住んでいた世界はこんなにも平坦だったのかと思い知った。草木など、"自分が今必要のない視覚情報"は全て取り除かれていた。


その地面に走るグリッドラインが描く、およそ4m×2m程の長方形の内の何枚かを、恐らく奴は回転させていたのだ。


視界はモノクロームだったが、セルリアンも含め生き物は、もとい"同じレイヤー"に居る"生き物"だけは多色で見えた。


.......その為が、どの個体も、持っている短剣などの"四種神器"は多色で見えた。それを不審に思い、焦点を当てて注視すると奴の中身が透けて見えた。


『_______ッッ!!!な、なッ!!!?』


「どうした!?キュルルくん!!」


かばんさんに心配される。


『........い、いや.....特に関係ないんですけど奴に、ほ、骨がありました。......あの存在に、骨があるのがびっくりして....』


人型の"エイリアン"であるヴィズルナーラの骨格は、ヒトと大部分違っていた。奴の持っている短剣、法螺貝、花、円盤の四種神器にも、手から繋がっている骨があったのだ。


あれが多色ということはもしや。アイツの弱点は___________。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『___________月光の牙!!』


タイリクオオカミが増えたタイリクオオカミと手を合わせ、手で口の形を作る。そこには凶暴に牙を剥くオオカミがプラズム具現により現れていた。口を開け、ヴィズルナーラを噛み砕かんとする。


『_________脱層だっそう反転はんてん。』


それを、"地面の長方形"を反転させる瞬間移動で躱す。


『あなたの不思議な避け方はもう攻略したわッ!!!』


躱した先にも、何体ものタイリクオオカミ達が牙を剥いていた。それらが跳び、ヴィズルナーラに襲いかかる。


『__________脱層だっそう。』


それを"反転"では避けられぬと判断したヴィズルナーラは、"別のレイヤー"に逃げ込んだ。


『くっ!またすり抜けた!!一体何なのこいつは!!』


その代わりに、"こちらのレイヤー"に現れたのは。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

奇襲待ちをしていたキュルル達のいる場所の個体だった。それがバイザーを通し、パッと多色に変化する。"同じレイヤー"に現れたのだ。


『____________________!!!』


『当たれぇえええええええッッ!!!』


_____バジュッ!!バツンッッ!!!!!


放たれた、白い鉛筆の形のセル触腕は__________





____________ヴィズルナーラの神器のうちの一つ、『法螺貝』を砕いた。




『......当たった!!法螺貝が砕けたッッ!!キングコブラさん!!煙幕を!!アクジキッッ!!回収お願いッッ!』


____バッキャーーーーン!!!!!!


ヴィズルナーラの壊れた法螺貝から謎の液体が吹き出る。空間にすら干渉するアイツもやはり"生命体"なのだ。


「任せろ。」

『アアッッ!!』



『_____________!!!』




『一回退くよ!!皆!!』


「「「「了解!!」」」」


作戦通り、奴の細胞を入手して一行は撤退する。


"表情筋"という機能すら存在しないはずのヴィズルナーラの顔にも、焦りが浮かんでいるのが見えた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

タイリクオオカミ。


ばっしゃあああああん!!!


『きゃっ!何っ!?.......奴の持ってる道具が!?』


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

アライグマ&フェネック。


ばっしゃあああああん!!!


「の、のだ!?アイツの持ってる貝がらが砕けたのだ?!」


ん~~~~~........これは~~............?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

セルリアンハンター。


ばっしゃあああああん!!!


「うおっ!?何だ!?」


「ヒグマさん!!アイツの持つ法螺貝が砕けました!!......」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ブラックバック&タスマニアデビル&オーストラリアデビル。


ばっしゃあああああん!!!


「.......!?貝が砕けたよ!?ブラックバックさん、タスマニアデビルさん!」


ブラックバックはヴィズルナーラを注視していた。


「....................二人とも、走れるな?今すぐ.......逃げるのだ」


ブラックバックが汗を流しながら言う。彼女の本能に刻まれた警戒心が警鐘を鳴らしていた。


「なんでだよ!あいつの攻撃、すり抜けるじゃんか!」


「そ、そうだよ、....私達の攻撃もすり抜けるけど.....」


「.......私は元になった動物のせいか、危険を探知する事に長けているようだ。そのせいで永く生きた。」


ヴィズルナーラが砕けた法螺貝を見つめる。


「........法螺貝が砕けた奴から、さっきまでは無かったものを感じるのだ。の距離が近くなったような_____」


タスマニアデビルが言う。


「.........分かったよ!俺らはもう行くぜ!お前もすぐ逃げろよな!」


「あ、ちょっと!タスマニアデビルさん!.....待ってー!」



「.......よし...........。お前達は唯一、我の仲間になってくれた何よりも大切な存在..........。何があっても守りたいのだ。分かってくれ.......」


『______________幻誤楼げんごろう。』


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「...................。色々と、分かったことがある。入ってきた情報が多過ぎて、奴を全部把握出来た訳じゃないけど。」


ヴィズルナーラの細胞を口にし、数秒フリーズしていたアクジキが口を開く。皆がそちらを向く。


「......一つずつ説明していく。アイツの技『鵜像霧像うぞうむぞう』アレは分身してるんじゃなくて、自分を"他のレイヤー"に複製してるんだ。"レイヤー"を増やしてコピーしてるって言うべきかな.......。」


「それから、良い報告。奴はもう"レイヤー"機能を司る『脱層だっそう』が使えなくなった。さっきの奇襲で砕いた『法螺貝』が"レイヤー"という支配していたみたい。」


口を挟む。


「.....やっぱり、アイツの弱点は。」


「うん。"奴本体"はいくらでも複製出来るそうだが手に持つ"四種神器"は全ての個体でダメージが共有されるみたい。他の個体の法螺貝も全て破壊された。奴に最も効く攻撃は神器への攻撃みたい。」


「.........それから。アムールトラ、キングコブラ、ダイアウルフ。奴が弱体化したとはいえ、アイツに大人数で挑むのはやはり危険。まだ居るエデンの残党を掃討するのに回って欲しい。」


アクジキがフレンズに向き直る。


「分かった。周りのセルリアンもアイツほどではないとはいえ強力だものね。」


「それが民の願いならば。任せろ。退路は必ず確保する。」


「......悔しいが、そのようだな。アイツに関して私に出来ることは少ないようだ。坊主、アイツは任せたぞ。」


ダイアウルフさんが寂しそうに笑いながらぐりぐりとボクの頭を撫でる。.......こうは言っているが、内心心配なのかもしれない。


「.....それと、アイツの持つ短剣。アレは隠された能力があった。それは....」


「みんな危ないッ!!離れてッッ!!」


遠くから、聞き覚えのある声が聞こえた。


______バジュインッッッッ!!!!



......おおよそヒトの目には追えない速度の一際太い光線が、先程まで会話していた場所に軌跡を描いていた。ボクも皆も何者かによって優しく吹き飛ばされたようだ。


「.....ヒューゴ!!!」


その正体はヒューゴだった。キャサリンも駆使しここにいる皆をはじき飛ばしたようだった。


「皆。来るよ。アイツが。」


「.....ではお前達!任せるぞ!!必ず生きて戻れ!!」


ダイアウルフさん、アムールトラさん、キングコブラさんが周囲に散る。このメンバーならばエデンの残党達も問題ないだろう。


程なく、わらわらとヴィズルナーラが現れる。数えてみると四体現れていた。.....他の九体は、何処へ.......。


『____________幻誤楼。』


ヴィズルナーラの内の一体が鏡を出した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「のだあああああああああああ~~~~~!!!へねっく~~~!!待つのだぁ~~~~~~~!!!!」


アライグマはすたこら逃げるフェネックを追っていた。それをのそのそと追うヴィズルナーラ。レイヤーの反転が使えないヴィズルナーラの移動速度は並のセルリアンよりも劣っていた。


『________乱光華らんこうげ。』


「のだっ!!髪の先が焼けたのだぁ~~~!!!どわわわぁ~~~~~!!!」


「ほらほら置いてくよアライさ~ん急いで急いで急いで~~。」


「(多分あのセルリアンは触れちゃいけない存在だね~....きっとこれが正解さ。....うん。)」


.......ヴィズルナーラは、やがて夜と森の影に消えた二人から興味を無くしたように追うのをやめた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『はああああああああああああ!!!』


『________夢惨劇むざんげき。』


ヴィズルナーラの剣撃を頭を低くして躱し、顔面に拳を叩き込む。ミシミシと音を立て"二人の"タイリクオオカミの拳がヴィズルナーラの顔面に入り込んでいく。分身体と共に攻撃したのだ。


『あんまり人型の顔を叩くのは好きじゃないんだけどッ!!これで終わりよッ!!』


『____________。』


......ぐぐぐ.....ばああああんッッ!!!


ヴィズルナーラの顔面は音を立てて吹き飛ぶ。頭全体が凄まじい威力の拳により粉砕されていた。首に当たる部分から謎の液体が吹き出る。


『______________。』


しかし。それでもヴィズルナーラは膝を着かなかった。


『.....倒れない!?なんで!?かばんが言ってたけど、人型は頭が弱点なんじゃないの!?』


『______________祭政剣さいせいけん。』


ヴィズルナーラが短剣を上に上げそれを唱えると、吹き飛ばして粉々にした頭がみるみるうちに戻っていく。


『戻り始める!なんで!?ズルいわよ!』


タイリクオオカミの身体が大きく跳躍する。分身体も共だ。


『_________ムーンライトハント!!』


分身体が宙からヴィズルナーラに突撃していく。


『__________夢惨劇。』


ヴィズルナーラが短剣を振る。


『があっ!』

『ううっ!』

『あああッ!』


するとたった一振りで実に三体の分身体が真っ二つに斬られた。分身体も本体と同様のスペックだったが、三人纏めて斬られたのだ。


『はああああああああ!!!!』


短剣を振り終わった後に本体が宙から突撃していく。満月の夜に、牙を向いたオオカミのプラズム具現が現れていた。


『_____________!』


......ぐじゃああああああんッッッ!!!!


そのままタイリクオオカミは横から見ると斜め上からヴィズルナーラの上半身を全て叩き潰した。もちろん、。残っていたのは下半身だけだった。


『......。なん、で...........。』


だが。


『______________祭政剣。』


ヴィズルナーラの粉々に潰れた上半身が先程と同様に再生していく。


『.....嘘よ!!なんで倒れないの?!!』


プラズムのエネルギーは尽き初め、タイリクオオカミの頬に汗が滲み始めていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「......はぁ.......はぁ.......やはりな。さきほど法螺貝が砕けてから、一気にお前の匂いが近付いた。攻撃が当たらなかったのは、からだろう。」


ブラックバックはヴィズルナーラに向けて疾走する。


『_______夢惨劇。』


「ぐぅッ!」


ブンと振られる短剣を身を翻して躱した。マントの先が少し切れた。


『________乱光華。』


『________幻誤楼。』


続いて光線が放たれ、それが鏡に二度反射してブラックバックの右頬に掠り、傷を付けた。


『_________夢惨劇。』


光線が終わると、続いて横切りに短剣が振られた。


しかし、それに動じずブラックバックは上体を低くして躱した。......だが、頭から生えた立派な角は左角のみスパッと斬られてしまった。


「......ッ!!!!.......むんッッッ!!!!」


距離はたったの2メートル。


そのままヴィズルナーラの持つ神器の一つ、『花』に目掛けてブラックバックは槍を向けた。



『___________!!!』



_____________________バッキャアン!!!



四種神器の内の一つ、増殖を司る『花』が砕けた。ヴィズルナーラは花弁による増殖、自身の複製が出来なくなった。他の場所に居る個体も同様に花が砕けていた。


「......再生出来ないのだろう。お前の持つ、四種の神器だけは。短剣により法螺貝を再生させればまた逃げられるだろうに、お前は再生しない。」


ブラックバックは既に答えを見つけていた。攻撃は全て短剣により再生され、法螺貝や花などの四種神器は不思議な効果を持っていた事に気付いていた。そして、同時に


「...........次に狙うは短剣。だがアレは万物を斬る。.....少々リスクが高いか......」


『________乱光華。』


「ッ.....!!」


光線をギリギリの所で躱す。光線自体もおよそヒトの動体視力では追えない程の速度だったので、露出した左肩に焼き切れた傷跡が着いた。そこから血が垂れる。


「.......ッ!!ふぅ.......私のどんな攻撃も再生される。だが、あの神器は.....!!」


........すると、新たにヴィズルナーラがわらわらと六体、森の中からブラックバックを囲むように現れた。元々居た個体も含めて合計七体。弱点に気付かれたのをヴィズルナーラは本能的に悟り、戦力の強化を図ったのだ。


「な!?こ、これは流石に想定外ッ......!!」


『______幻誤楼。』

『______乱光華。』


光線が七体から同時に放たれる。そして、七体全員が鏡を出し、ブラックバックを取り囲んだ。光線はブラックバックの周りにある鏡により合計二十回以上反射し、それぞれ別方向から襲いかかっていた。


「くっ!ぐっ!!ぐぅっ!!」


それをなんとか躱す。マントに幾つも穴が空く。服や頬に擦過傷が数え切れないほど付く。心拍数が上がっていく。


『___________乱光華。』


光線の渦の中で踊るブラックバックをヴィズルナーラ達は注視していた。


「ぐあああああッ!!!うっぐああああああッッッ!!!!」


........直に上がる心拍数に足が取られ、光線が身体の各部位を貫く。


腕、手のひら、左胸、肩、右腰、右太もも、左ふくらはぎに直径6cm程の風穴が空いていた。そのままブラックバックの身体は力なく地面に倒れ伏した。


『_____________。』


「........。タスマニアデビルと......オーストラリアデビルは.........逃げ切れただろうか........」


「........もうこれで.......いい.......神器も一つ、破壊出来た.......我は少々......永く生き過ぎたな.......。」


七体のヴィズルナーラは、目を閉じようとしているブラックバックを見つめた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「今この辺にはこの四体しか居ないよ!!他多数はこことは別の所にいる!!」


後方でヒューゴが索敵していた。


『________乱光華。』


「ぐっ!!.....」


かばんさんが間一髪光線を避ける。


「そういえばッ!さっき短剣の隠された能力が云々って言ってたけど!!アレは何!?」


『ソウッ!!短剣ハ奴ノ"状態"ヲ巻キ戻ス!!何度アイツを壊シテモ再生スル!!ダカラアレカラ狙ッテ.......』


『貰ったぁあああああああ!!!!』


四体居る内一体のヴィズルナーラの短剣を持つ腕を叩き落とす。そのまま短剣を狙う。が。


『_______。』


『___________ひょっ。』


『___________ひょひょっ。』


「ッ.......何だ、何だ。何か、何か変だ。」


急に、無表情で半目のように見えた四体のヴィズルナーラ全てがカッと目を見開いた。その不気味さに、皆が後ずさった。


『________ひょひょひょひょっ。』


「.........コイツ!?何だ!?技以外をしゃ、喋っ.....!?」


四体のヴィズルナーラは、お互いに短剣を刺しあった。血?のような液体が吹き出る。その異様な光景に目を奪われていた。起こっている事自体はメリットのはずなのに、汗が吹き出て止まらなかった。


急に思い出す。コイツは基本的に行動が単一化されたセルリアンではない____________別の星からのだ。


『『ひょっ。ひょひょひょひょッ。』』


「......なんだ!?こいつは何だ!?」


『カバン、コイツハ......!』


すると、四体のヴィズルナーラの身体がお互いに"混じり合い始めた"。そうか、合体を____________。


『ほっほっほ。』


『.....をんぜるもまめたをくあすぼろほめたをぎいせつりくかめたるす』


......何だ、何を言っている。


混じり合ったヴィズルナーラの身体が、様々な物にシルエットを変え、瞬間的に変わっていく。その魑魅魍魎のような姿から声が盛れる。


『.....はしたわらかいだじへいだじんげつゅしるす』


_____混じりあったものが微生物の姿に、魚の姿に、猪の姿に、亀の姿に、横笛を持つ人型に、そして___________。


『ほっほっほ』


最終的に身体はヒト、しかし頭はライオンの姿に変身した。腕は相変わらず四本あるが、神器を持っていない。それに先程まで四体だったヴィズルナーラは合体して一体になった。


『かるはのいらみくこんあにいだじんげつゅしたしはしたわ.......』


「.......合体......出来るのか.......」


かばんさんが汗を垂らす。


『.....るすこっばにうゅちうあらゆるしぼろほをくあぜんをうちたて』


アクジキが聞こえやすいように仮面を解く。同様に焦りが顔に浮かんでいた。


『......カバン、コイツハ....今マデ戦っていたアレは.....13分の1だった。あれは.....ただの末端........。それと、こうなるともう......他の個体とダメージが共有するはずの神器が意味を為さなくなる.....。」


『あらたなおうごんじだいのとうらいをもたらすきゅうせいしゅなり』


一体になったのに、先程までとは比べ物にならない威圧感を放っていた。なぜ、神器を_________。しかも、ぼくらの言葉を。


『ほっほっほ』


ヴィズルナーラは構えた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『...もしかして、あの手に持つ道具が...?』


タイリクオオカミは気付いた。再生する時は必ず短剣を上に上げる事に。


『.....その他にも、アイツに攻撃が当たらなくなる時、必ず法螺貝から音が鳴っていた。そうなると匂いが急激に薄まっていたわ。』


『.........。』


『.....分かったわ.......あの道具が.......そうなのね.......。』


分身体を再び出す。


『_______《群れの王!!》』


『_______夢惨劇。』


ヴィズルナーラは向かってくる分身に短剣を振る。


『........みんな!!時間を稼いで!!壊すべき所は見えた!!私が仕留める!!一人はこっちに来て!!技を使うわ!』


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『探検隊の隊長になるのが夢なの?ああ~、探検隊ってかばんさんが言ってたアレね~』


『うむ。そこで我が隊長となり、強力な群れを築くのだ。どうだ!?興味はないか!?汝もこの写真に映っている!もう一度我の仲間になる気は無いか!?』


『うーん......ごめんだけど、ちょっとめんどくさいかなぁ~.....私は気楽に生きたいし........』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『探検隊?ああ!ずっと昔のパークにあった.......』


『そうだ!聞いて驚くがよい!先代の我が隊長を務めていた時代があったのだ!ほら、この写真がこれだ!そこで、この写真に映っている当時のメンバーに声を掛けているのだ!どうだ?汝も一番槍として再び我の仲間に!』


『すまない。私には力不足だ。スピアーの鍛錬も足りていない。他の子達はきっと仲間になってくれるさ』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『ジャパリパーク探検隊.......とは?』


『ジャパリパークの保安を守る為の団体だ。セルリアンを群れの力でやっつけたり、その結果をかばんに送ったり、フレンズ達の強化を図るのだ。どうだ?先代の汝も加入していたぞ?この写真がそれだ。』


『.....そうですね、申し訳ないんですが、今の私には到底......ごめんなさい!』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「.......本当に、情けないな......。」


ブラックバックは目を閉じた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『キミの技は、多分もっと昇華出来るはずだ。ここには過去の幾つもの探検隊の映像が遺ってる。先代のキミが使っていた技は伊達じゃなかったみたいだよ。見ていく?』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『........か、かばん、これは........!!』


『暗黒ブラスト、っていうみたいだね。ブラックバックさんはなかなか特異だよね。どの時代のキミもこの黒炎みたいなのを使ってる。』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『ほ.....ほ......!!』


『"黒焔槍邪龍憑依"、ダークネスフレイムスピアーイビルドラゴンドミネーションだって!かっこいいね!しかもかなり強力な技だ!』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『.........!!か、かばん!!これは.....!!』


『.......すっ....ごいや.....これは.....。この技は........。この技はなんていう技だろうね?私達フレンズにとって技の名前を唱える事でプラズムのイメージを創る事は本当に大切だからね。』


『これは................!』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「げほッ........!そうだ........我には......探検隊の仲間を集め.....この時代に大きな群れを築くという......夢があッた......!!」


ヴィズルナーラは再び立ち上がろうとする"獣"を見つめた。


!!お前達を!!必ず倒す!!パークにあるのは!!」


血は各所から吹き出し、口からも流れ出ている。マントも穴だらけで服もボロボロだ。


!!このパークは必ず守る!!!これが!!我という獣の最後の最期のビーストモードだ_________!!しかと目に焼き付けよ!!』


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『みんな_______ありがとう_______。イメージは終わったわ。』


『散っていった私の大事な仲間達__________必ず、仇は討つわ。弱点は、理解した。』


『_____パークの中でこの私だけが、唯一出せる技_______物理法則を無視するビーストモードだからこそ、出せる技_______________。』


『____________その狼は、音を超え、光を超える。そして、やがて________神となる。』


ヴィズルナーラは金色の閃光を瞬かせるタイリクオオカミを見ていた。





『《"奥義"》____________________』







『_______________《"神狼しんろう"》。』






タイリクオオカミともう一人の分身体は手を合わせ、口の形を作った。そのまま身体が金色の閃光を伴って、光の速度よりも速くヴィズルナーラに向かって突進した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『_______いでよ!!邪龍よ!!』




『____________。』




傷だらけの草食獣が、あるはずのない牙を剥いた。ただし、其れは龍となって。




『______私は生きた。生きすぎた。しかし、たった三人の小さな探検隊の隊長という、生きる意味があった________。』





『______だが、もう、悔いはない_______。せめて、ここで全力を_____』





『______幾人もの、先代の我達が紡いできた中で、最強の技を_____________。』







牙を剥いた龍は、空高く吼えた。






『《""》_________________』







『_____________《邪龍虚黒章アポカリプス》!!!!!』





ブラックバックがイメージを最大まで引き出した邪龍は、空から黒炎を吐いた。そしての身体を包み込んだ。




十四話に続く。
























































































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