六話 ジャパリ・ギンザ襲撃事件/『その一』
.........西暦✕✕✕✕年。○月△日。セルリアンが大規模な兵力と統率を伴って、「ジャパリ・ギンザ」に襲来した。街に居たのはアニマルガール21名。ヒト1名。人的被害は軽傷・無傷.......9名。重傷.......11名。死亡..........2名。次に死亡のうち1名が.......
.......の為、その旨をここに書き記す。
______________西暦✕✕✕✕年 ○月□日。
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アニマルガールとセルリアンの戦争が始まった。
.....乱戦も乱戦。阿鼻叫喚。そこかしこで両者が戦っていた。戦場はジャパリ・ギンザのビル街。互いの戦いに互いを巻き込まぬよう距離を取るアニマルガールや、そのような余裕すらない者。アニマルガールとヒトが合わせて22名に比べ、セルリアンの総数が4729体。うち、S級のセルリアンが228体。戦力差は歴然であった。
「誰か!外にいる子に通信出来ないの!?」
「ダメ!!この結界はボスの電波じゃ届かないみたい!」
「こ こ だ ああああぁぁあ!!!!」
ぱっかーーん!!!
「....やるじゃないプロングホーン!これで強そうなのは私達合わせて二体目撃破よ!!」
......とはいえ、当日会議に集まっていたフレンズは腕の立つ者が多かった。かばんがここに連れてきたフレンズはそれの更に精鋭揃い。
「はあああああああああ!!!!」
ばっかーーん!!
「ッりゃああああああ!!!!」
ぼっかーん!!
「.....かばんさん、一人でS級のセルリアンを何体も破砕してる!....やっぱりあの人はすごいや.....!!こんな力を身に付けても勝てる気がしない....!」
息を荒くするキュルルの周りにも、何体もセルリアンが集まっていた。
「とはいえ、ボクだって.....!!ずっと負けっぱなしでは居られないんだ!!」
セル触腕はあくまで基本だ。そうではなく、腕全体のセル兵器化。強いセルリアンを倒すには、それが必要だ。
身体を一度セルリウム流体に変化させてから個体に。身体の部位をセルリウムに変換し、武器化させるイメージ!!アクジキはそれをしていた!!
腕一本を、切る為に鋭い剣に。刺す為にナイフに。潰す為に鈍器に。抉る為にスプーンに。爆破する為に爆弾に。砕く為にハンマーに。通す為にアイスピックに。そして____
救う為に布に。守る為に盾に。支える為に、腕一本に。
イメージし、変化させるんだ。感情を、振幅させて!!!もう迷うのは辞めだ!!!
目を見開き、周囲のセルリアンをセルリウムの長刀に変化させた腕で一掃する。雑魚のセルリアンくらいなら倒せるようになった。ボクは......数日前まではセルリアン一体にすら無力だったのに。......周りにいたフレンズ達が皆ボクのセルリウムに驚いていた。
「......キュルル君......。アクジキにみっちり鍛えてもらったんだね.....。キミを奴に預けて良かったかもしれない.......。」
かばんが満足気な表情で更にセルリアンを砕く。
『ほーう?中々やる.....。ヒトのアニマルガールとやらのイレギュラー具合も中々面白い物だなァ。案外、お前と同じく守護けものなのではないか?白狐。ヒトは滅びたが何故あんな存在が居る?』
「.....ッはあ.....はぁ......かばんさんは.....とっても強力な力を持った、私たちと同じフレンズさんです。」
このフレンズ中で最も強力と『モノ』が睨んだのは守護けものであるオイナリサマだった。その為、『モノ』に相当するパワーを持つS級セルリアンを6体、同時に相手をしていた。
『はっ......この中ではお前が総大将か。誇っていいぞ?お前が相手をしているセルリアン達は、奴らが相手をしているセルリアンの大体10体分の強さだ。しかしまあ、効くだろう。お前ももうすぐ終わりだな。』
事実、かばんやその他フレンズが相手をしているセルリアンはS級とはいえ、S級のセルリアンが全て同等の強さを持っている訳では無い。『モノ』の言葉は全て事実だった。
「そうですか.....。このまま持久戦で私を袋叩きにし、残ったフレンズさん達を.....。」
『その通り。それとこの結界を反転させたり、破壊出来たりするのはお前ぐらいだろうからなァ。ちなみにお前は分かるだろうが、この結界は外からなら入る事が出来る。増援も呼んでんだよ。もうオマエラに勝ち目はねぇ。』
「そうですか.........。仕方、ありませんね。」
「........これも、定めということでしょう。」
下を向いていたオイナリサマが、獣のような目付きで『モノ』を見る。
元々恐怖を感じる機能が薄いセルリアンでさえもゾワッとした本能的な恐怖を感じ取っていた。
「このまま何も出来ず潰されるくらいならば______。せめても______。ビーストモードを解放します。」
オイナリサマの目に鳥居の紋様が刻まれた。身体から虹色の光が瞬く。足下からは黒い淀みが走った。オイナリサマの身体が宙に浮き始める。
『.......お、オイッ!!お前ら離れろ!!何か来やがる!!』
「____この地にて、この運命にて、出会えた全ての生命達よ_________。祈りは力となり、重なり合う力は直に具現化する______』
『_______だから、私たちは願い、祈るのです。ひとつの願いは小さくとも_____それが重なれば、大いなる力となる_____』
宙に浮いたオイナリサマの、更に上。
数十、数百の巨大な鳥居が、夜空に現れた。
『______生命に、この地に、感謝を_______』
『《
___________《
オイナリサマが________
__________合掌した。
『_________ぉ、ぃ__________ッッッ!!!』
しばしの耳鳴りの後。
.......ド......ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!
鳥居が、雨のように落下する。鳥居はボクらの身体はすり抜ける。しかし、それに押し潰されたセルリアンは、尽く弾け飛ぶ。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!
いや、雨という生易しい表現ではない!まるで流星群。そこかしこで、セルリアンが弾ける音が聞こえる。オイナリサマの本気だ。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!
もう十秒近くは流星群が続いている!しかし、鳥居の勢いは衰えることがない。むしろ勢いを増して、S級、雑魚問わずセルリアンを破砕していく!!
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!!
終わりがないように感じたセルリアンの大群が、消えてゆく。結界という狭い場所だからこそより一層効力があったのかもしれない。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド...........
やがて二十秒程続いた鳥居の流星群は止み、オイナリサマがひゅうと地面に落下する。
『はぁッ.......はぁッ.........。」
「オイナリサマ!!大丈夫ですか!?」
ギンギツネさんが駆け寄る。鳥居の流星群のせいで、地面は丸型に凹んでいないところの方が少ない。しかし、それだけ強力な技を使えば、必ず反動が来る。
「.......ギンギツネ........私は...........ここまでのようです.........。千本鳥威は元々、私の生命を代償にし、鳥居の形に重力を発生させる強力な技..................」
オイナリサマの身体が虹色の光に包まれてゆく。
「オイナリサマ!!!!!!待って下さい!!!!」
「.......守護けものたる者が.......本当に......すみません........。必ず_____退けてくださいね。私は___空からでも_________アナタ達を見守っていますよ_________............」
虹色の光はオイナリサマの身体を完全に、空に連れて行ってしまった。
「オイナリサマ!!......私達は.......!!!」
ギンギツネさんが大粒の涙を流す。
ボク達も釣られて涙を流す。フレンズが目の前で消えていくのを見たのは初めてではない。だが、オイナリサマの自死を賭した覚悟に皆は涙を流していた。
_______________オイナリサマ、死亡。
『.......あ、危ねぇ..........なんだ、あの技は........千本どころじゃねえ.......。バケモノかよ.........まさかあんな切り札があるなんてよ........。アイツの強力な輝きを奪えぬまま消えちまった.......』
『モノ』は生きていた。しかし、ここにいるアニマルガール達が戦っていた4729体のセルリアンの内、『
それに加え、元々フレンズ達が倒していたのは287体。合わせて3974体のセルリアンが既に破壊されていた。オイナリサマの自死と引き換えに、アニマルガール達は数字を手にした。
「.......みんな!!このまま行くよ!!オイナリサマの遺志を継ごう!必ず退けよう!!」
かばんさんが号令を掛ける。
「「「「おーーーー!!!」」」」
『上等!!かかってこいよ!!!!』
千本鳥威による一時の静寂は、再びアニマルガール達とセルリアンの戦争の喧騒によってかき消された。かばんさんが走るふりをして僕の所に向かってくる。
「......はあ。キュルルくん、さっきはああ言ったけどアレはあくまで士気を高める意味合いだ。千本鳥威中の『モノ』見てた?」
「い、いや.......」
「防いでたんだよ。アレを。あの流星群を。ビルでさえぺっちゃんこにした、あの鳥居の重力を。」
確かに、《不死観千本鳥威》は高層ビルでさえ、地面上数センチのペチャンコにしていた。
「ふ、防いでたって......アレをですか!?」
「ああ。奴は腕が"槌"みたいになってるでしょ?アレを上にして防いでたんだ......。逆に言えば、千本鳥威の重力ですらあの槌を破壊出来なかった。アイツは強い。」
「オイナリサマはこの結界を、"セルリアンの共鳴バリアを反転させたもの"と言っていた。本来バリアは外からの攻撃を防ぐが、それを反転させて内からの攻撃を防ぐ性質になってるんだね。」
「......でも、キュルル君の触腕なら、共鳴バリアが機能しないはずだ。なんなら、セルリウムを介してハッキングさえ出来るかもしれない。頼む。結界を突破して。私と他のフレンズさんが時間を稼いでるうちに。」
「かばんさんは!?」
「.....結界が突破出来たら、他のフレンズさんを逃がす。そして、『モノ』が言ってた増援とやらを潰してもらう。そのままどちらが全滅するでもなく、何となく戦いを鎮火させる。奴らからすれば、それが一番嫌なはず。」
「......しかし、これは結界を破らなければ成立しない。さっきダイアウルフさんとタイリクオオカミさんを結界に向かわせた。キミも行くんだ。」
「.......はいっ!!......かばんさん。ボク、必ず結界破りますから!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「.....ね、ねぇ.......やめようよぅ.......あの子はフレンズを助けるけど、助けた後にその子を食べてその子に変身しちゃうってウワサだよ.....?」
「お、オレは.....!!三人いれば勝てると思うけどな!!い、行こうぜ!.......」
「....ふむ、やはり見事な技。何故同胞同士で争うのか。不思議で仕方がない。その反逆心、恐怖よりも好奇が勝る!」
オーストラリアデビル、タスマニアデビル、ブラックバックの三人が草むらに隠れて何かを見ていた。
視線の先には______
____ギンッ!!ザブッ!!シュッ!!
『........。』
ガンッ!........ブォンッ!!
『甘イ。』
......ぱっかーん!!
アクジキが居た。数体のセルリアンを相手に戦っている。我慢できず、ブラックバックは飛び出した。
「......ふぁーーーっはっはっは!!これはこれは!!珍しい夜だ!!同胞にすら反逆するその魂!!そして!倒した後はその肉体すらも喰らう『アクジキ』!!そなたと出会えるとは!!」
森の影からフレンズの子が出てくる。
「我が翼達も、きっとそなたを歓迎するだろう......!!どうだ、我らの仲間にならぬか......!?」
『エ......翼達ッテアノ子達?』
アクジキが森の奥に指を指す。
「う、うわ!!ホントに行った!!オレはに、逃げるからな!」
「ちょ、た、タスマニアデビル"さん"!!置いてかないでよ~~~........ッ!!」
...........。
ひゅううう~~~.......っ。
まだ居たセルリアンも、アクジキも、ブラックバックも.......。皆呆然としていた。
「ふ、ふふ、ふふは。さ、流石は反逆の精神を常に忘れない我が翼達。い、いかなる時も反逆の精神を忘れず、つ、翼であることを.....」
『同ジ意味ノコト二回繰リ返シテル!!裏切ラレタノソンナニショック!?』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「.......なんか。外、すごいことになってるね、母さん。」
『..........!』
『ヒューゴ・ヴィルヘルム』が窓を眺めながら言う。横にいる『キャサリン』が首を縦に振る。
「.......あれがキュルルくんの言ってた、セルリアンっていう存在なのか.....。そっか.....じゃあ、僕達もセルリアンなのか......おかしいなあ。僕達人間だったのに。」
『.............。』
「......しかし。一歩間違えたら僕らもああなってたもんね。.......でも、僕達は反逆した。ある日何者かに勝手に造られて、勝手に従えって言われて......首を縦に振れるわけが無いよね。僕反抗期なのかな?」
『..........。』
「......それから母さん。これは未来予知だ。数分後、ここから離れた草原でキュルルくんがピンチになる。行こう。」
『..........!』
『キャサリン・ヴィルヘルム』が首を縦に振った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
閉じられたこのステージの端では、既にタイリクオオカミさんとダイアウルフさんが結界破りに挑戦していた。
「はああああああああああ!!!!」
「むんッッ!!!」
「......ダメか。ビクともせんな」
「ダイアウルフさん!!タイリクオオカミさん!!」
二人が振り返る。
「ああ、セルリアンのつがいのお前か!どうしたんだ?お前も結界破りか?」
「つがいじゃないですー!そうです、かばんさんに言われて」
「そう......なるほど。アナタなら確かに.......。その不思議な力で、結界を破れるかもしれないわね」
タイリクオオカミさんがまじまじと僕の方を見つめる。......キレイなフレンズさんだ。すぐ他人を怖がらせるような事言うけど。
「何?こんな坊主がか?結界を破ると?」
ダイアウルフさんが腕を組む。めちゃめちゃ筋肉質だ。こんな腕でも結界は破れないのか。あれ、心配になってきたぞ。
「ダイアウルフは知らないのね。この子はこんな小さいけれど、実はセルリアンなのよ?フレンズに姿を変身させるという、ウワサの『アクジキ』という人型セルリアンの正体とは実は.......」
タイリクオオカミさんがボクの頭を撫でながらいつもの調子でダイアウルフさんをからかう。ホントにこの人はこんな時にまで.......それと『アクジキ』はフレンズに姿を変えたりしないよ.......。それをするのはもっと卑劣で、もっと残虐な___________________
『____キュルル!くだらないこと考えてないで、アンタはとっとと結界を破りなさい。』
「.......!」
「.......タイリクオオカミ。くだらん事を言っている場合か。だが......キュルルと言ったか?お前もかばんに見込まれたんだろう。必ず結界破りを成功させるぞ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ソウ.......自分ノ探検隊ヲ大キクスルノガ夢.....』
「......うむ。太古のフィルムを見た時の、あの気持ち。........先代の我が映っていたのだ。今は無き、ジャパリパーク保安調査隊の写真にな。」
ブラックバックが懐から古ぼけた写真を取り出す。
「......同時に映っていた沢山の者らに、この写真を持って行って、もう一度仲間になるように言った。」
ブラックバックが写真を指差しながら言う。どうやらブラックバックが隊長を務めていた時代の探検隊のようだ。
「だが断られた。断られた。断られ続けた......。そんな中、あの二人だけが、我の仲間になってくれたのだ。......仲間、と思ってくれているのかどうかも怪しいが」
ブラックバックが自嘲気味に笑う。二人は、倒れた木に座りながら喋っていた。
『マア......ウン........仲間ニハナレナイケド、今ハトリアエズ。アレ見エル?』
「む?......む!?」
アクジキは、木の影から僅かに見える結界を指さした。
『アレハ多分、大規模ナ共鳴反転バリア。中二フレンズガ閉ジ込メラレテルハズ。』
「な!?た、助けに行かなくては.....!!」
『ソウ。今行ク所ダッタ。デモ、コノ森周辺二、ヤタラ統率ガ取レタセルリアンガ多イ。反転バリアハ外カラナラ、フレンズモ、セルリアンモ入レル。何カガ起コロウトシテル。』
その時だった。結界が、このジャパリ・ギンザの裏山にまで届く程に光った。直後、音と光の時差によるバジジッというような音がブラックバックには聞こえていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その数分前。
「あっ。.......すり抜けました」
「「ええええええええええええ!?!?」」
ダイアウルフ、タイリクオオカミ、キュルルの三人は結界破りに挑んでいたが、キュルルの攻撃は、結界に触腕自体が当たらないのだった。セルリウム及びセルリアンは内側外側両方から出入り出来る仕組みになっていたのだ。
そんな中、もしかしてと思いキュルルが普通に通ろうとした。すると初めは身体が途中で引っかかっていたのだが、無理矢理通ることが出来たのだ。
「な、な......??」
「だ、ダイアウルフ。嘘じゃなかったでしょ?この子はセルリアンだから中から出れるのよ」
「う、うむ.....。いやしかし、その能力を見る限り恐らくお前は半分セルリアンなのだろう?結界からしても、どちらで扱っていいのか分からないのかもしれんな。」
「不思議な感覚ですよ、これ!うっ!引っかかる!おお!抜けられた!うう!引っかかる!!おっ!すり抜けた!」
二、三回同様に途中で引っかかってそのまますり抜ける。
「ちょ、ちょっと、キュルル。そんなに遊んでちゃ時間が.......」
その時、電化製品が最期にあげるような悲鳴に近い音と共に。
......バジッ!!!!ジジジジジッ!!!
バシュウウンッッッッ!!!!!!
「うぐっ!?」
「きゃっ!!」
「ぐあっ!?」
凄まじい閃光が走った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『......は?結界が......』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おや、何かあったのかな.....。まあ大丈夫だね。先を急ごう、母さん」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「キュルルくん!みんな.......!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
結界は、破られた。
夜空はどこまでも広かった。
「......なんか、セルリアンもちょっと可哀想ね。せっかく張った結界が破られた原因が.......」
「.......恐らくは、思考過多によるショートだなんてな.....。しかしキュルル。お前やるじゃないか。結界を破ったな。」
「.....はは.....そ、そうですね......」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「みんな!!結界が破られた!!逃げる子は逃げて!!自分の命を大事にするんだよ!」
かばんが叫ぶ。
『ふ、ふざけんなっ!!逃げんじゃねえ!!』
「それからハクトウワシさん!!空から飛んで奴らの援軍の場所の確認と、ラッキーさんを通じて博士助手に通信を!!」
「おーらいっ!!任せて!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「よしっ.....。ひとまずこれで片付いたか」
「流石はゴリラの親分や!!あんたはんが来てから形勢逆転もええとこやった!!」
「じゃ、ジャイアントパンダちゃん......また寝てる......」
かばんの研究所にも押し寄せるセルリアンの群れは、博士助手率いるアニマルガール達により討滅が完了していた。しかし、本労働はここからだった。
「お前ら、ハクトウワシから通信が入ったのです。場所はジャパリ・ギンザ周辺の裏山。今から戦えるフレンズは来て欲しいと。」
「し、支配人......いけるか?」
「もぅ......むりです........げ、げんかい......」
首を横に振るフレンズは多かった。それもそうだ。数時間に渡るセルリアンとの泥沼耐久レースをしていたのだから。
「私は行くよ。皆に、迷惑をかけたからね。その分私が出来ることをしたいんだ。」
「おまえは........。」
まだ余裕がある表情を浮かべている、手が猛獣のように変化したトラのアニマルガールが、首を縦に振った。
七話に続く。
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