第7話

藤島は林ユーコを前にして寝返った。


「マヒロちゃん!俺、君の大ファンなんだよ!!握手してよ、それと、俺と付き合ってよ!こんなモブ男のシンジと恋人同士なんて

おかしいよ!」


「ちょ、藤島くん!何言ってんの...!?」


ユーコはご立腹だった。

当たり前だけど。


義弟のマヒロが、女になって現れたんだが、

先にも描いた通り、日本一の女子高生であり

アイドルだから、オーラが半端なかった。


それにしても、不思議だ。


何故、モブ男の俺と今の今まで、

ベタベタしてくれたんだか、理解に苦しむ。


「だめですよぉ。私、

お兄ちゃんと付き合っているんですから」


「なんで??どうしてこんなやつと!?」


「それはですねぇ、私が人生を諦めようとデパートの屋上から飛び降りようとしたのを止めてくれたんですよ...」


俺は2年くらい前の記憶を辿った。


そう言えば、そんなことあった。


たまたま、フェンスによじ登って、

泣いていた女の子を、説得したことがあった。


「ちょっと待って!

なんで飛び降りようとしてんのさ!?」


「オーディション落ちまくったのよっ!審査員に太っててかわいくないって言われたのよっ!!どーせ私は可愛くないわ!見た目も悪いわよ!!」


「いやいやいや、ちょっと人生をやめる元気があったら、だ、ダイエットとかの、自分磨きしたらいいよ!!

そしたら絶対可愛いよ!」


「日本一可愛くなれると思うよ!」



俺は勢いで。


口から出まかせみたいなことを言っていた。


だが、結果的に。


女の子は思い止まり、


「ダイエット、頑張ってみる。

ありがとう....」


と言って俺の前から姿を消したのだった。



どうやら、マヒロは。


あのときの女の子だったみたいで。



普段は追っかけや、世間のバッシングから

逃れるために、男のフリしてたのだという。



林ユーコは怒って藤島を引きずるように連れて帰り、

俺は、マヒロと遊園地デートをした。


観覧車の中で。


観覧車がてっぺんに来たとき。


マヒロにキスを催促されたから

したけど。


俺はとんでもない、義弟、あ、いや、

義妹ができちまったと思ったんだな。




iPhoneから送信

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

無能でモテない陰キャの 俺にできたイケメン弟は実は日本一可愛い女子高生だった→「一緒にお風呂入ろ?」 雲川はるさめ @yukibounokeitai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ