第5話 「障害」「差別」
自分は「性同一性障害」なのだろうか。
見た目や体の作りは女。心は男。
又はその逆。
それを母に話してみても「思春期だからよ」の
一言で簡単に片付けられる。
本当にそうなのだろうか。
自分の子供の悩み事を、そんな一言で
片付けていいものなのだろうか。
父に話せば「今忙しいから」とか
「そんなのどうでもいい」とか...。なんだよそれ。
虐待とか暴力とかが無いのはいいけど
子供に愛情を注がないってのもどうだろうか。
どんなに忙しくたって、子供は親が手塩に
かけて育てないといけないものじゃないのか。
...そんな事ないのかもしれない
『はぁ?なんそれ』
「いや...だから、
体の作りと心の性別が違うってやつ...」
『ふぅん...え、凪それなの?』
「...確定した訳じゃないけど...かもしれないって」
『...まぁ...否定は出来ないよね』
「え、なんで?」
『なんとなく。女子が嫌なんじゃないの?』
「嫌...って言うわけじゃない...
...なんていうか...違和感。」
『まぁ...あたしはそうじゃないから
分かんないけど...』
「...。」
『病院とか行かないの?』
「...どこに行けばいいんだよ...?精神科?」
『...さぁ。産婦人科とか?』
「......」
『............』
『...ってかさ、それって障害なの?』
「障害...?」
『...個性とか、そう言い換えられないの?』
「...確かに...まぁ...うん...。」
『...障害ねぇ...うーん...まぁ、調べてみる』
「まじ?...ありがと なっちゃん」
『親友の事だからね ~ 』
始業5分前のチャイム。
『あ、なっちまったw んじゃまた』
「うん......。時間が過ぎるのって早いな...。」
『はい、それじゃあ男子は青、
女子は赤のファイルを順番に...』
...それって差別にならないか...?
ふと思う。
性別とか関係なくても、赤が好きな男子も、
青が好きな女子も居るって言うのに。
好きな方を選べと言うと、どちらか片方が
直ぐに減ってしまうこともある...が。
ならせめて統一しないのか...?
女子と男子を分けないと
...難題だ。
美術の時間。美術は少し苦手だ。
なんというか、僕は少々絵が下手だから...。
今日の授業は自由なテーマで
飛び出すカードを作ってみようというものだ。
ここは大好きな黄色を分断に使ってみようか。
絵は苦手でも、考えるのは好きかもしれない。
猫の形に切ってみようとか、花を作ろうとか、
不格好な形になっても作りたくて作ったなら
一切の問題もないだろう。
『...あ、駄目ですよ、えっと...
黄色ばかり使っていては。』
...は?口を開いたかと思えば
なんてこと言うんだこの教師は...
さっき自由に作ってと言ったのはどの口だ?
「...なんででしょうか?先生。」
『もっとカラフルに仕上げてください。
でないと彩りがないです。』
また変な事を言う。なんだコイツ。
「...はい。」
ここは取り敢えず従うか。面倒い。
『嗚呼、またほら。なんですかこの...花は。』
「...
『向日葵?
そんなの駄目に決まってるじゃないですか!』
「え...」
今僕が右手に持っている
見えないんだろうか。此奴は。
『向日葵なんて...今の季節に合わないじゃない!』
なんだコイツ(2回目)
自由に作ってと言ったのはどの口だ?(2回目)
「...どうしてダメなのでしょう...?」
『今は秋ですよ?何を考えているの?』
お前が何を考えているんだ。馬鹿なのか?
「はぁ...自由に作ってと
『こら!年上と話している時に
溜息をつかない!失礼でしょうが!』
はw話そらすなよ...なんだコイツ...(3回目)
「...わかりましたよ...」
面倒臭いから...
『昼休みに職員室まで来なさい!』
「...はい。」
生徒に八つ当たりか...?
まぁ、僕は作りたいものを作る。無視。
『大体、生意気なのよ!』
「はい。以後気をつけます。」
『作り直してもらいますからね!』
「はい。以後気をつけます。」
『ちょっと、あなた人の話聞いてるの?』
「はい。聞いております。」
あぁー...今日のご飯なんだろうなぁ...
『担任の先生に、報告させて頂きますからね!』
「はい。」
『あら、もう掃除時間じゃない...急ぎなさい!』
「はい、わかりました。」
あぁ...!!やっと開放されたわ...
別に担任の先生に報告されても
僕は間違ってないし...多分。大丈夫。
僕はボクっ娘なんかじゃない 朔 @rudo0916
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