第14話 赤いうんこランド

県内にいくつも延びる山道のどこかに、時たま『赤いうんこランド』という建物が現れる。

そんな話を、頭の刈り上げをケアしてもらう為に訪れた美容院にてオーナーである細木君から聞かせてもらった。


うんこランドとは細木君いわく「むかし観光地や県道沿いに点在していた、黄色い外壁にソフトクリーム状の屋根が2つ乗った軽食屋台」のことだそう。


通常うんこランドではソフトクリームやたこ焼きなどの軽食が買えるが、赤いうんこランドでは原材料不明のブヨブヨしたゼリーを買えるらしい。そのゼリーはこの世に存在する全ての食べ物が不味く思えてくる程には絶品なのだとか。


「もしかしてそれ、サクランボの店じゃないの?」


私は苦笑いをしながら尋ねてみた。うんこランドのみならず、県内の県道沿いには1対のサクランボを象った形の軽食屋が点在しているのだ。


サクランボというだけあって真っ赤っ赤な外観をしているので、見た人の記憶が混同して『赤いうんこランド』という認識になってしまったのではなかろうかと思ったのだ。


私の問いに対して細木君は「多分そんなことだよ」と頷いてギャハハと笑った。


「ていうか"うんこランド"とかいう名前よく考えたよなギャハハ」


「そういえば明野に昔サクランボの店があったの知ってる?あそこのカルチャー焼きがクソ美味かったのよ」


「あー知ってる知ってる!俺ピザ風が好きだった!アレ他のポ○ット○ークじゃ食えないの?」


「今度行ってみようかー」


「イェーイ!」


こうしてカルチャー焼きの思い出へと話題が移り変わった為に『赤いうんこランド』は私達の脳内から忘れ去られてしまった。




翌日、ライター仲間の木村さんから『色変だけどこれ懐かしくない?』とL*NEに写真が送られてきた。


写真には中身が白いメ○ーイエ○ーが載っていた。

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