第3話 見える景色
村山弥生という霊感持ちの友人と喫茶店でお茶をしていた時の話。
私の真向かいでカフェオレ片手に流行のアニメの話をしていた村山が、一瞬だけ視線を私からずらしたかと思うと、唐突にこんなことを言い出した。
「こんな何の変哲も無い普通のカフェのド真ん中に、純白のウェディングドレスを着た花嫁さんが1人で立っていたら、君はどう思う?」
なぜこんな時に。訝りつつも「見間違いかと思う」と返すと、村山はカフェオレを一口啜り、それから「そうだろう、そうだろう」と頷いた。
「それが今、私に見えている景色だ」
そう言うと村山は再び私から視線をずらし、それからまた私の方に視線を戻してアニメの話を再開した。
しかし私は村山の話に耳を傾けられなかった。彼女は視えたものをいちいち報告してくる人間ではないからだ。
もしかして花嫁さん、私の後ろにいるのだろうか。考えて、背中が薄ら寒くなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます