第2話 飛んでくる
まだ薄ら寒い春の夜だというのに、同居人の秋沢圭佑が「黄昏れたいんだ」などと言ってベランダに出てしまった。
寒さに耐えかねすぐに戻ってくることだろう。いつでも温かいお茶を淹れられるようスタンバイして秋沢を見ていると、秋沢は思ったよりもずっと早く居間に戻ってきた。それも慌てたように。
「空に変なの飛んでる!」
そう言うと秋沢はベランダの戸を鍵まで閉め切り、私の背後に回った。
直後、ベランダの向こうを黒いビニール袋のような四角形のヒラヒラしたものが滑空していった。
一瞬なので何とも言えないが、四角形の四隅から手足のようなものが突き出ていた気がする。
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