カレーパン

「で、あなたに出会ったの」


「俺にか」


「色のない景色で出会ったあなたに」


「街角でパン咥えて突っ込んでくるのなら、まあ、漫画みたいな表現でいいなとは思うけど。おまえ、ご飯茶碗に箸持って俺に突っ込んできてるからね?」


「朝はご飯派です。昼はパンかカレー」


「色のない景色か」


「カレーパン。今日の昼はカレーパンにしよう」


「俺には色のある景色だったよ」


「え、カレーパンが?」


「いや、なんでもない」


 あなたのいるところだけ、色があった。色彩豊かだった。それは、会っても変わらない。あなたがいる。それだけで、世界に色が付く。きれいに見えるようになる。


「よし。カレーパン買いに行くか。美味しそうな色のやつを」


「行きましょう。こんがり焼き色カレーパンを探しに」

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色のない景色、夢と幻想、カレーパン 春嵐 @aiot3110

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