町民大会開催!! 狙うは優勝!!(訳・妹の為に頑張ります!!)
ホビアニにおいて主人公の妹は最強である(訳・妹のお願いは断れません!!)
第1話 手平町民大会編
「うわぁ~、人がいっぱい!」
ヒバナが目を丸くして今のロボセンターの状況に驚いている。
アタシと妹のヒバナ、着いてきてくれたチヨちゃんとハナちゃんでいつものロボセンターに来ているのだが、いつも以上にロボセンターは混み合っていた。
その原因は・・・・・・。
「今回の
ハナちゃんが呆れたように周りを見ながら、吐き捨てるように言う。
――手平町民大会。
毎年、四月末、手平町のロボセンターで行われるテノヒラロボのバトル大会だ。
勇気ユウマが最初に参加した大会でもあり此処から伝説が始まったと言われている大会で、ファンの間では「始まりの大会」と称されている。
彼が世界チャンピオンになった年に、勇気ユウマに肖りたいと他方から多くの参加者が来たせいで手平町民限定になってしまったとか。
今回は二年連続世界チャンピオンである勇気ユウマが優勝者にトロフィーを授与する事になっており、例年以上に混み合っているという訳だ。
「でも、参加出来るのは手平町民限定なんでしょ? それにしたって混みすぎじゃない?」
「チヨさん! 勇気ユウマ様はすっごいバトラーなんだよ! だから、一目でも見に来てる人が沢山いるんだ!」
チヨちゃんの疑問にヒバナが元気よく答える。
そう、今回は大会参加者だけでなく勇気ユウマに一目でも見たい人、つまり、勇気ユウマのファン達も来ているのだ。
まあ、完璧超人のイケメンだしファンが多いのは原作通りだしね、こんだけ混むのは仕方ない。本当は大会に参加したくないんだけど・・・・・・。
「大会参加者のみにゃさ~ん! 此方で受付を始めますので来て下さいにゃ~!」
「あっ、そろそろ行かないきゃ!」
「お姉ちゃん! 頑張ってね!」
「うん、勇気ユウマのサインが欲しいヒバナの為に頑張るよ」
そう、全ては妹の為。
ヒバナが勇気ユウマのサインが欲しいという願いを叶えるためにアタシは参加する事に決めたのだ。
話は数日前に遡る。
商店街で買い物をしていたら手平町民大会のポスターが至る所に張られていた。
爽やかに笑う勇気ユウマと彼のパートナーロボが映るポスターに彼の大ファンであるヒバナの目が釘付けに、大好きな人が映ってるんだから仕方ないよね。
「・・・・・・お姉ちゃんはこの大会に、ううん、なんでもない!」
じっと眺めていると思ったら、アタシの方を振り向いて何か言いかける。
どうしたんだろうとポスターの内容を見ると、優勝者には勇気ユウマがトロフィーを授与すると書かれていて、ヒバナはアタシに出場してもらいたいのだと悟った。
ヒバナはアタシが余りバトルが好きじゃないと思っているから(実際は好きだけど主人公になりたくないからバトルしたくないだけ)、言うのを止めたんだろう。
妹よ、お前は本当に姉思いの良い子だな!!
それでは逆に参加しなければならないじゃないか!!
「ヒバナ、勇気ユウマに会いたい? 会いたいなら、お姉ちゃん頑張るよ」
「お姉ちゃん、それって・・・・・・」
「ヒバナの為なら、お姉ちゃんはバトル頑張るよ」
「お姉ちゃん!!」
嬉しさの余り抱きつくヒバナ、うん、可愛い!!
こうして、アタシはヒバナの為に参加することを決めた。
可愛い妹のお願い断れます? 断れませんよね!!
ヒバナの嬉しそうな顔を思い出しながら受付に並ぶ、それにしても遅いな~。
「なあ、今回は遅くないか? チェックに時間が掛かってる?」
「ほら、寧々子さんに付きまとってた不良の違法改造の件で、いつもは五体一気にやるのを今回はロボを一体一体チェックしてるらしいぜ」
「マジかよ。でも仕方ないか、近くに違法改造屋があったんだからな」
アタシの耳に近くに並んでいる人達の会話が入ってくる。
どうやら、あのストーカーヤンキーの件でチェックが慎重になってるから遅いらしい、あの不良、本当にろくな事しないな。
それはそうと、彼奴、今はどうしてるんだろう・・・・・・。何だろう、何か嫌な予感がするんだけど、思い過ごしだよね。
そんな事を考えていたら、どうやらアタシの出番が来た。
「ホノオちゃん、久しぶりにゃ~。元気だったかにゃ?」
「お久しぶりです、寧々子さん。見ての通り元気です」
「うん、元気が一番にゃ。さて、パートナーロボをチェックするから赤い円の中心に置いて下さいにゃ」
寧々子さん、ストーカーヤンキー事件の後、少しやつれていたけど元気になって良かった。
寧々子さんに言われたとおりにロボホルダーからネコノコバンことムギを取り出して赤い円の中心にセットすると赤い円が輝き始めチェックが開始される。
その間に住民カードで正式な手平町民か確認される、以前、住民カードを偽造してまで参加しようとした人が居たらしい、どんだけ勇気ユウマに肖りたかったんだ、その人。
『チェック完了。異常なし』
「はい、チェック完了しましたにゃ。この参加シートに名前を書いて・・・・・・」
――おい、あれ。
――嘘だろ?
――きゃ~! カッコイイ!!
ん? なんか騒がしいぞ。入り口の方がやけに賑やかだ、誰か来たみたいだけど、これだけ騒がしいと有名バトラー?
「入り口の方、騒がしいですね。勇気ユウマさんは?」
「彼は既に控え室に居ますにゃ」
もう勇気ユウマはもう居るのか、いや、居てもおかしくないか。参加シートを書いたら行ってみるかと考えていたら。
「ホノオさんじゃないか!」
雪野マフユに声をかけられた。お前、なんで居る!? 原作では低レベルの大会には参加しないって、この大会には出ないハズなんですけど!?
「ゆき、ま、マフユくん。久しぶり」
「あの日以来だね。君もこの大会に?」
「大会にって事はマフユくんも出るの?」
「ああ、ボクはあの勇気ユウマと同じ学校なんだ、それで親しくして貰っていてね。この大会のゲストとして出るから君も出てみないかと言われたから参加を決めたんだ。
それに、君とまた会えると思ったのもあるんだ」
「はあ・・・・・・」
もう本当にお前誰だよを何回言えばいいんだろうか、とにかく慣れなきゃ。それはそうと、ハナちゃん、雪野マフユにアタシが参加するって伝えてなかったんだ、なんでだろ?
「態々、遠くから来たのに参加出来ないのはどういう事や!?」
「兄さん、落ち着いて下さい。周りの皆さんがビビってますやろ」
今度は怒鳴り声とそれを宥める声が聞こえる。
関西弁だ、原作で関西弁を話すキャラは・・・・・・居る、しかも兄弟キャラが。
でも彼らが出てくるのは後のハズ、まさかね。彼らじゃないよね? とりあえず、参加シートを書かなきゃ。
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