第2話 手平町民大会編②
参加シートを書き終え、雪野マフユ(何故か一緒についてきた)と共に入り口へと向かうとアタシ達に気付いたヒバナ達がコッチにやってきた。
皆、入り口の騒動が気になって様子を見に来たようだ。ハナちゃんはアタシの隣に雪野マフユが居るのが解ると顰めっ面をした、何故?
「何でや!? なんでダメなん!?」
おっと、今は入り口で起きている騒動の確認だ。
入り口で江良博士と、アタシの予想通りの人物、雷を連想する金色のメッシュを入れた黒髪の少年が言い合いをしていた。
「何度も言っているが、ユウマくんに肖りたいという人が多く来てね。それでトラブルが起きて町民限定になったんだ。遠くからの参加は嬉しいが規則に従ってもらわないと次から自分もと言ってくる人が居るから認める訳には・・・・・・」
「だ~か~ら~、今回だけって事にすりゃあ解決やろ!? アンタ、頭堅すぎちゃうんか!?」
「兄さん、落ち着いて下さいな。急に来た自分らが悪いんですし」
「せやかて、あの勇気ユウマと戦うチャンスなんやで!?」
「兄さん、何度も言いますけど今回の大会の優勝者は勇気ユウマさんと戦う権利やなくて貰えるのはトロフィーや」
興奮している金色メッシュの少年を緑髪の糸目の物腰柔らかそうな少年が宥めている。彼もアタシが予想した人物の一人で間違いない。
入り口で騒いでいる金色メッシュの少年は
ちなみに実況者のジン・キョー(本名は陣京介)の甥っ子でもある。
って、悠長に説明している場合じゃないな。
なんで中盤に登場する彼らが此処に居るの!? なんで!? マジでなんで!?
まさか原作改変されてるとか? いや、それは流石にないと思いたいけど、すでに主人公がアタシの時点で改変してるようなもんか。
「彼らは陣グループのご令息じゃないか」
「留学していた兄様は知りませんよね、彼らは去年からデビューして、今じゃ、西日本では彼らに敵うバトラーは存在しないと言われる程の実力者ですよ」
「・・・・・・そうか、彼らも強敵という訳だね」
横で雪野兄妹が話している、陣兄弟は全国で展開しているタコ焼きチェーン店・タコ
雪野兄妹といい割とテノヒラロボは金持ちが多い、例えば・・・・・・。
「騒がしいわね、控え室まで聞こえてたわよ」
騒がしい中、それでもハッキリと聞こえる凜とした声が通る。
声がした方、モーゼの如く、人が道を開けるとコツコツを靴を響かせながら江良博士達の元へとその人はやってきた。
艶やかな長い黒髪、白い肌、黒で統一した服を着こなした美女だ。
こんな綺麗な人、原作には居ない。
誰なんだろう・・・・・・?
「うそ、あの人は・・・・・・」
「ハナちゃん、知ってるの?」
「知ってるも何も、勇気ユウマと肩を並べてると言ってもいいバトラー、
ハナちゃんが嬉しそうにアタシに言った人物の名に衝撃が走った。
大麓マオ。
勇気ユウマのライバルと称されるバトラー、二年連続日本大会準優勝者であり、勇気ユウマが太陽ならば月のような存在。性別は・・・・・・、男だ。
そう女じゃない、原作では男だ、それなのに、アタシの目の前に居る人はれっきとした女性。
大きすぎる衝撃で固まっていると大麓マオだという女性と目が合い、その瞬間、ビリリと電流のようなものが体を流れた。
もしかして、彼女はアタシと同じ存在?
「マオさん! 久しぶりや!」
「・・・・・・・・・・・・」
「マオさん?」
「ごめんなさい、少しボーとしてしまって。それより、この騒動はライガくん、貴方ね」
「いや~、マオさんに一目会いたくて~」
「兄さん、ユウマさんと戦いたくて来たんじゃなかったんですの?」
「それもあるけど、マオさんが大事や。マオさん! この後、もし時間があったら俺とデートしませんか?」
「お断りするわ」
うわ~、あの陣ライガが超デレデレじゃん。
陣兄弟いや陣ライガが此処に来た理由が解った。大麓マオ目当てだったのか、勇気ユウマとのバトルは二の次いや只の建前だったのかも。
デートの申し出をハッキリと断られて凹むが直ぐに立ち直った陣ライガは江良博士の方を向き、大会の参加を懇願する。
「なあ、江良博士。頼む、俺はマオさんの前でカッコイイ所を見せたいんや!! この通り、頼む!!」
今度は土下座までしての懇願。
これには流石の江良博士も言いよどむ、威勢良く土下座されたら断りづらいよね。
「君の気持ちは解った、だがね・・・・・・ 「江良博士、参加を認めてあげたら良いじゃないですか」
周りの女子達がキャ~と黄色い悲鳴を上げる。
大麓マオと同じように道を開けられた所から現れたのは、二年連続世界大会優勝者、皆の憧れ。
「ユウマ様だ~♡」
妹のヒバナが歓喜の声を上げる唯一の相手、勇気ユウマのお出ましだ。
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