第7話 おでかけ【前編】

「お兄ちゃん!朝だよ!起きてよぉ…」


 朝、目を開けるとベットの横で嘆く妹の静がいた。

「…ん?もう朝?」


「もう昼だよ!ずっと起こしてたのにお兄ちゃん起きないから…」


 昼という言葉に驚きベット横の時計に目を向ける。

「は?もう12時半じゃん!何で起こしてくれなかったさ!」

 静に強い口調で不満を言った僕はタンスから服を取り出す。


「だから何回も起こしたって!んー。大丈夫とか言って起きなかったのおにいちゃんでしょ!」


 なにが大丈夫なんだよ僕!

 起きれなかった自分を心の中で叱りながら着替えるからと静を部屋から出す。

 それにしても、静がUFMOをやりたがるなんてびっくりしたよ。

 彰人ももう届いてはいるみたいだけどまだログインしたことないし…


 着替えを済ませた僕は荷物をそろえて階段を下り、静の待つリビングへ向かう。

 そう!今日は静用のフルダイブ用機器とゲームディスクを買いに行くのだ。


 リビングを通り「おーい行くぞー」と声をかけた時には静は準備万端のようだった。


「お兄ちゃんに私をせかす権利はないよ!だって私朝からずっと待ってたもん。」


 少し不貞腐れたような静の言い方に「アハハ」とその通りと言わんばかりに苦笑いをする。だってその通りだから。

 そばに置いてあったらしい鞄を手に取ると静は玄関へ小走りで来た。


『行ってきまーす!』と二人で台所にいるらしい母親に声をかけた後、僕たちはVR専用ショップ「Virtuality」へ向かった。


向かいながら僕はずっと気になっていたことを静に聞く。

「なぁ静。なんでVRゲームしたいの?」


僕の質問を受けてこちらを向いた静の顔は晴れ晴れとした今日の天気のようにまぶしい笑顔だった。


「ん?それはね、お兄ちゃんが…やっぱり内緒!」


なんだその意味ありげ言い方は。そこまで言ったなら最後まで言えばいいのに。

そう心では思ったが詳しく詮索すると静にくどいと思われかねない。

「ふぅん」と返事をした後は話す話題もなくただ無言が続いた。

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