第4話 世界の違い

教室に入ると多くの生徒が楽しそうに話している

椅子も机もない

みんな立ちっぱなしでバックも何も持っていない

髪もいろんな色に染めた人がいて

外国人も日本語を話していたり逆に英語を話している

日本人らしき人もいる


「キーン」

チャイムらしき音が鳴る


それと同時に床を足のつま先でポンとしだす学生が出てきた

すると机や椅子がポンとした床の隣から出てきた

そして何事もないかのように座る学生


次々と学生が床をポンとする

教室には僕と少女以外の人の分の机と椅子が

床から出てきた、

机も椅子もパイプ椅子や木の椅子ではなく社会人が職場で使うような

座りやすい疲れにくそうな綺麗な椅子

ローラーは見えないが座ったまま椅子ごと移動して友達と話している人もいる

机の上にはタブレットのようなものがあるだけで透明感のあるきれいな机だった


彼女が窓側の右端の後ろから2番目の席を指さし、口を開く

「君の席はそこよ、床に丸いマークがあるからそこを軽くつま先で触ってそしたら床から机と椅子が提供されるから、ちなみに本当はゼロリンクで細かい設定ができるの、つま先で触っても出てこないようにしたり踏んだだけで

出てくるようにもできるけどほぼみんなつま先に設定してるかな

履いてる履物にセンサーやICチップが組み込まれていて

ゼロリングとリンクしているの」


僕は世界の進歩が凄いと感じてしまった


僕の知っている世界は普通に木の椅子や机が最初からあって

靴も普通にスリッパのような履物で、体育の時体育用のシューズがあるくらい

ましてや鞄をもってこないでいいなんて考えたことさえなかった程

持ってくるのが当たり前の世界


僕が今いるパラレルワールドはあまりに色々なものが進歩しすぎているように感じた、便利なのだろうけど僕からしたら戸惑いがありすぎて不便さを少し感じる


僕はそう思いつつ床をつま先で触る

床から椅子と机が出てくる

そして僕も席に着く


少女は少し離れた場所に移動して席に着いた

少し僕は窓の外を眺めた

綺麗な海が見え海を挟んで都会のようなビルがいくつも立ち並ぶ場所が見える


この時僕は世界の地形が変わっていたことに気が付いた・・・

僕が今いる場所は東京のはず

なんでこんなとこに・・・海がなぜ見えるんだ?

少女に聞きたくてたまらなかった

しかし

先生らしき人が入ってきた

気付けばみんな席に着いていた


少しコワモテしそうな男性の体育会系のように見える先生が口を開く

朝のホームルームが始まったようだ


そして終了したようで先生が

「またあとでな」

と友達感覚で教室を去った


そして学生の一人が机の円の描いてある場所をタッチする

立体的な極薄のモニター画面が空中に浮くようにして出てくる

それをタッチ操作して画面に講師の方が表示され選択している

その人をタッチしてゼロリングといわれている

リングの輪っかを2つに分けた

そのリングの半分を指から外しそれを折るように半分に分け少し形が自動で変化した、どうやら耳にはめやすく自動で変動したように見えた

耳に着けるとVRの装置のように目だけを機械のようなものが覆う


ゼロリングをワイヤレスイヤホンのように使いながらVR体験をしているようだった

そしてモニターを見ながらオンラインで授業を始めている

ノートはタブレットに取っていた

モニターをいくつも複製できるようで

その画面で資料を表示して授業を個人で受けていた

タブレットについているタッチペンで書き物をしている

指で拡大したり縮小したりもしている

たまにタブレットにキーボードが立体表示されキーボード入力もしていた


VR装置のようなものをはめていてもモニターがみえている?

僕にはどんな状態なのかわからなかった


席を立ち机と椅子をしまい移動する生徒も何人かいた


少女が僕の近くによって来る

「色々驚いていると思うから順に説明するね」


僕は頷く


彼女が口を開く

「まず、窓の外を見て分かったと思うけど地形は変わっているは

大規模な地震が起きて日本の関東は2つにわかれたそのとき東京も2つに分かれた、

そして境目に海がある状態になっている

その境目の海で新しい新種の動物がみつかったの・・・

その話はまた今度するから、とりあえず学校のことを説明するね


あなたの元の世界でVR機械を使った体験はしたことある?」


僕は一度だけ友達とVR体験をしたことがあったので頷く


彼女がそうかと納得したような顔をした

「なら話は早い、そのVR機能を使ってリモート授業をまるで実体験している

ことのようにしているの、だけどVR機能も進化して

ゼロリングに設定されているものに関しては

実物のものが触れられるようになっているの

だから表示されたモニターやタブレットを触ったり見ることが可能になっているの

VRの世界で感覚だけでなく現実のものまで操れるようになっているの


ゼロリングは万能でねその一つのリングがVRの役目を果たしたりもする


生徒の中にはVRでもいやだって人がいてね

本物と会ってやっぱり話したいって人がいて移動している生徒は

そういう人たちってことになる

この学校は生徒の要望に最大限に答えようとするから

強制VR授業ではないの


それに自宅で授業も本当は可能なんだけど

VRではなく直接ひととはなしてほしいっていう学校の要望でみんな学校に登校しているの

だから休み時間が少し多かったりコミュニティの時間があったりする

でも学校が自宅VR授業の日も多く取っていて2月は学校登校で3月はVR授業とかって

感覚で生徒の数がバラバラにならないようにある程度は決まっている


VRの機能も上がっていて感覚だけでなく体に影響も与えられるようになってきて

日光に浴びているときや自然に本当に触れている時と同じ体験ができるようになってきたの、日焼けしたければできるし、ストレス解消効果も検証結果がでていて正確なことが分かっている


だけどVRではなく、人は人と話したりその場所に行くことで感じ取れるほかの感覚があるみたいなの

VRがどんなに進んでもやっぱり実体験が一番大切だって学校側は常に言っている

だから自宅だけでなく学校にきてほしいって要望を生徒に出しているの


それでも移動が大変だったりどうしても精神的に登校したくないってひともいて

そういう人は自宅でVR授業を受けていたりする


生徒の自由は優先させてもらえている


他にもまだわからないことは多いと思うけど少しずつ教えるから

とりあえず授業を受けるために移動しましょう

私はVRより移動したいから移動するけどVRしたい?」


僕は今までの話に納得はあまりできないが少しは理解できた・・・

僕も正直VRを体験したいが、少女の言ったように実体験の方がいい気がした

「僕も移動するよ」


そして僕は教室を出た

渡り廊下を使ってビルのような学校内に移動する


学校なのにエレベーターがあった

エレベーターで移動する


102階と表示されている


「は?」

つい僕はその言葉を発してしまった


彼女が笑う

「この世界であたなの常識は常識ではないと思うよ

でも面白いでしょ?世界には色々なパラレルワールドが存在してこんなにも発展した世界も存在するし、これから起きる未来なんて何があるかわからないものよ」


僕は少しだけ本当に面白いなんて思ってしまった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る