第24話 三者面談


陛下から召喚命令があった。

その次の日、目が覚める。可愛らしいエルフのサラさんにおはよう。


「おはようございます。」

「はい!おはようございます!」

「今日も可愛らしいですね。」

「え、いえ!」


それとなくセクハラ。年上のお兄さんからのセクハラをうまく流す彼女はすごいと思う。


服を着替えて朝食。

ミーナさんの起床が遅いと聞いて迎えに行く。部屋に入ると、ベッドで丸くなっている彼女。


「さあ、起きますよ。」

「あえー?あ、少年!」

「お!…はようございます。」


彼女は目をカッ!と開くと、俺に組み付く。いつものことだ。


「ほら、降りてください。女性がはしたないですよ。」

「少年だからいいの~。」

「良くないですよ。」


いいですよー。

息子には良くない。

その言葉を聞いてしぶしぶ降りるミーナさん。

彼女の朝食は俺の部屋に置いてある。


「さあ、朝食です。」

「あーい。」


先に廊下に出て彼女を待つ。

尻尾をずるずると引きずって部屋を出るミーナさん。あ、そんな閉め方したら…。


「あ゛!いったーい!」


盛大に尻尾をドアで挟んだ。尻尾を抱えて丸くなる。

ヒールでもかけてあげようかね。


「大丈夫ですか?回復魔法を掛けましょう。」

「ううー、大丈夫。」


と言ってはいるが尻尾を確認する。

しかし、彼女尻尾の先が無い。


「だ、大丈夫ですか!?切れているじゃないですか!?」

「うんー。いたた、よくやっちゃうんだぁ。」

「よくやる?」

「うん。尻尾を挟んじゃって、自切してる。」

「あ、なるほど…。少し安心しました。」


そう言って回復魔法をかける。尻尾が生えてきた。

ドアを開けて中を見ると、部屋の中でビチビチとのたうち回る銀色の尻尾が確認できる。

なんかシュール。あれっておいしいのかな。

その尻尾を拾う。うねうねと動くその尻尾は彼女の元体。

少し興奮する。

それを見てミーナさんは嬉しそう。


「少年が心配してくれて嬉しいよ~。優しいねぇ~。」

「いえ。当然ですよ。」


そう答える。

そう言えば、彼女を竜王国で始めていた時も尻尾が切れていた。

定期的にドアに挟んでいるんだろうな。彼女らしい。

腕に抱き着いてくる彼女を引っ張って自室に入る。


「遅くなりました。」


入りながら言うとリンネさんとサラさんにじろじろ見られる。

違うの。朝からイチャイチャしてた訳じゃないの。

そう目でリンネさんに訴える。

リンネさんのスキンシップも待っていますよ。はい。全裸待機です。


「知らない。」


そう言ってリンネさんは顔を背ける。まったく可愛いんだから。


やっと揃って朝食だ。

今日も頑張るぞ。




朝食を終えて、王都に向かうため、馬車に乗る。

皆に行ってきますと伝えて、出発。

今日は蜘蛛さんも同行だ。久しぶりの蜘蛛さんとの旅行。

甘やかしてやろう。

そう思いながら頭を撫でる。

かれこれ一緒にいるのが長いが、少し大きくなった気がする。ほんの少しだが。


蜘蛛さんの糸で遊びながら馬車に揺られる。

山岳地帯に差し当たったところで、問題が起きた。

馬車が停まる。何事?と外を見ると、人に囲まれていた。山賊イベントかな。

馬車を囲む人たちを見ると、肌は岩らしき材質に覆われている。馬車の通ることのできる道が、地面から生えた岩の壁で邪魔されている。


「食料を置いていきな!そうすりゃ何もしねえぞ!」


そう聞こえた。絶対嘘じゃん。

念のため、小窓から御者の人に聞く。


「彼らは?」

「ゴーレムです。めったにこの辺りには出ないんです。」

「護衛の方は?」

「あそこです。」


指の指す方を見てみると、護衛の人が倒れている。


「ゴーレムは好戦的な種族です。他の種族と見た目が大きく違うことから、外部とはあまり関わりません。このあたりの安全は確保していたのですが、隠れていたのでしょう。どうにかなりますか?」

「どうでしょう。話してみます。」


生き物、みんな友達でしょ?の精神で勇気を出す。

馬車を降りてゴーレムの皆さんに話してみる。蜘蛛さんは馬車の中。


「リーダーの方はおられますか?」


と、聞くと、ひと際背の大きなゴーレムが現れた。


「あ?なんだって?」


その、たぶん男は首を鳴らしながら言う。

ステータスチェック。



Status

名前 【 ゴル・サイ 】

性別 【 男 】

種族:種族値 【 岩石人 】:【 29 】

職業 【 主夫 】

LV 【 31 】

HP   2000/2000

MP   500/1100 

可動性 【 1600 】

筋力  【 2800 】

耐久性 【 4000 】

知性  【 800 】

運   【 19 】

技量  【 1900 】

啓蒙  【 0 】




うん。勝てる。この人盗賊じゃなくてパパさんだ。

交渉タイムだ。


「こんにちは。三条と申します。」

「サンジョー?人類族か?」

「ええ。そうです。食料は今ほとんど持っていません。」

「そうかよ。じゃあ身包みはがれても何も言えねぇな。」

「それはご勘弁願いたいですね。」

「はっ。」


そう笑うゴルさん。

こっちは礼儀を尽くしてるんだ。早まらないでください。


「私はプレウラ王国の男爵です。もしかしたら貴方がたのお手伝いができるかもしれません。」

「男爵?嘘つくなよ。」

「嘘だと思うのならそれはそれでいいです。なぜ食料を要求されるんですか?」

「は?関係ないだろ?」

「いえ。ここではゴーレムの皆さんをあまり見かけないと聞きました。なのにここにいらっしゃるということは、あなた方に何かしら問題が生じているのだと思います。」

「はあ、それで?」

「私は人類族ですが、違う種族の方を迫害など一切しません。あなた方に生じた問題も、何かお手伝いができると考えています。」


自分でもよく口が回ると思う。この人はパパさんだ。大方、食糧難で盗賊するしかないのだろう。好戦的と言われるのも、その武骨な見た目から判断されたりなど、いろいろあったのだろう。なぜなら今、俺たちは無理に襲われていない。最低限の被害で返してくれようとしている。


「変なやつだなあ?お前に何ができるってんだ?食べ物でもくれんのか?」

「食料の貿易などを行ってはどうですか?手配しましょう。」

「はっ。貿易か。豊かなやつが弱者から金を巻き上げるやつだな。俺たちはお前らの欲しがるようなものは持ってねぇんだよ。どうやって貿易しろって言うんだよ。」

「そうですね、鉱石などはどうでしょう?」

「あ?宝石か?それならこの一帯の宝石は土竜人のやつらが牛耳ってんだよ。」

「そうですか…。」


もぐらびとだそうだ。ゴーレムと聞いたから宝石とか持っていそうだと思ったが、そうではないそうだ。

貿易には元手がいるもんね。うーん、どうしよう。

サイウスさんは移民とかオッケーかな?


あ、あれあげよう。


「分かりました。ではこれを差し上げましょう。これをヒューニアのバードック商会で換金するといいでしょう。そして食料を買ってください。」

「あ?」


童貞はバードックさんのところで卸すつもりだった宝石を袋ごと投げる。

それを受け取ったゴルさん。


「お、おい、良いのか!?」

「ええ。それはバードック氏のところで卸すつもりでした。あなた方の問題はすぐに片付くものではありません。ヒューニアでお仕事を探すのもいいでしょう。私がそれを支援しましょう。」

「…なんでそこまでするんだ?」

「私は急ぎ、王都へ向かわないといけません。あなた方を殺して向かってもいいですが、それは気分が良いものではありません。どうせなら気分よく旅をしたいのです。」

「お前は金が惜しくないのか?」

「惜しくないといえば嘘になります。ですが、あなた方がもし、ヒューニアで働くことになれば、それによって多くのお金が動きます。それは、男爵として嬉しいことです。経済の発展は領地の発展です。」


雇用の活性化と経済の活性化は次の産業を生む。竜王様のせいで今はお金に困っていない。新しい種族の流入は、文化の発展を促すだろう。


「それが、お前か?」

「ええ。…良いのですか?急がないと貴方の大切な人が危険になっているかもしれません。早く帰って、たらふくご飯を食べさせてあげてください。」

「ああっ。分かった。」


そのやり取りを見て、周りのゴーレムさん達も動く。

俺の口車に乗ってしまったようですねぇ…。

精一杯働かせて、幸せにさせてやるぅ。


あ、そうだ。証人が必要だ。

護衛の人に行かせようかな?倒れてるけど大丈夫でしょ。完治させて働いてもらおう。


「ちょっと待ってくださいね。」


そう言ってゴルさんを引き留める。

倒れている護衛の人を治療し、起こす。


「う、うわあ!」

「大丈夫です。治療しました。」

「どうなってるんですか!?」


回りにいるゴーレムを見て、困惑している。


「訳あって仲直りしました。彼らをヒューニアまで連れて行ってあげてくれませんか?」

「い、良いですが…。」

「三条男爵の屋敷で、リンネという女性に会ってください。そこで、この方々の換金のお手伝いをするようにお願いしてください。そうですね、希少種の胃袋と言えば伝わります。」

「希少種の胃袋ですか?」

「ええ。きっと分かってくれますよ。貴方には大役をお願いするのです。きっといいことになりますよ。」


と、童貞はお願いする。

リンネさんと俺しか知らない、出会いのエピソードの情報だ。

リンネさんは頭が回る。信じよう。

護衛の彼も、たった今襲われた相手に囲まれて歩くのは怖いだろう。報酬は弾んでもらおう。

さて、


「分かっているとは思いますが、彼や町で何かあった場合は覚悟しておいてください。」


と彼に向けて話し、道を塞いでいる岩を見る。

現段階でできる最高火力の指パッチンを発動。

ピッ と音がして岩が切れ、崩れる。


よかった。切れてくれないと恥ずかしい。


「あなた方の集落がこの岩のようになるのは私も望んでいません。」

「わ、分かってるよ!」

「その言葉を信じます。お子さんのために戦うあなた達は勇敢だと思います。いつでも力になりますので、安心してください。」

「……。ああ。」


そんな会話をして、彼らはヒューニアに向かった。

何とか上手く行った。

新規の雇用者の獲得に成功した感覚を覚えた童貞は、自分の可能な最大限の安全策が取れたことをうれしく思う。

またこれで種族が増えたかな?みんなで作ろうエデンの園。




そんなイベントもありつつ、王都に到着。

バードックさんに軽く挨拶をして、王城へと向かう。


連れていかれた先は王様と密談をしたあの部屋。

中で待てと言われ、入るとそこには不思議なテーブル。

放射能マークのようなそれは3人分の人が座れることを表す。

ははーん。これはエメリーと陛下との三者面談だな?

今回はそこまで構えなくてもよさそう。


待つこと数分。

部屋の奥のドアから物音が近づき、人の気配がする。

ガチャリと開けられて入ってきたのは二人。その二人を見て童貞は全身が凍り付く。

一人目はプレウラ王国現国王、イルトール。

二人目は竜王国現国王、クラウス。

地獄の三者面談の始まりである。



プレウラ王国と竜王国の国王が俺の前にいる。サイウスさん、こんなこと聞いていません。

二人はなぜかニコニコ。

二人が話し合ったとなれば浮き上がるのは俺の嫁候補にされた二人のことだろう。

そしてこの童貞はどちらも断っていると言う。

自分の孫と娘がかわいい王様たちはどのように動くのか。

二人は立ち尽くす俺に、座るように促す。

蜘蛛さんをテーブルの上に置き、俺も座る。

言葉は選ぼう。


「召喚に応じて参上しました。」

「うむ。よく参った。」


そう言うエメリーグランパ。


「本日は竜王陛下もおいでとは存じませんでした。」

「んむ?つい来てしもうたわ。」


ミーナパパは笑いながら言う。

来ちゃった♡じゃねえよ。フットワーク軽すぎ。


「さて、サンジョーよ。イルトールに聞いたぞ?おぬし、ヴィルヘルミーナ殿下も嫁に貰うそうだな?」

「いえ。ヴィルヘルミーナ殿下は呪いの影響で友人を持つことが非常に難しいと聞きました。私はその呪いが効かないらしく、友人として過ごすようにしております。」


プレウラ国王が聞いてくる。

よし、友人をアッピル。


「ん?友人というにはおぬしの家には女が多いのう。」

「偶然だと考えています。人の縁というのは難しいものです。」


うるさいぞー、竜王様。絶対この状況を楽しんでるだろう。

前、嫁に貰わなくてもいいって言ってたじゃん。

童貞の醜い言い訳を聞いて、大体の事情を把握してくれたであろう、陛下が言う。


「まあいい。それは後々であろう。本人の努力を見る方が楽しい。」

「そうじゃな。娘が色気づくのは見ていて楽しいの。」


両陛下の考えはまとまっているらしい。

見て楽しみたいだけじゃんか。もう知らん。邪神に会って色々終わったら考えよう。


「そう、ですか…。…して、今回の召喚はどのようなご用件で?」


王様に質問するのは礼儀的にダメとか聞いたけど、話が進まない。

パパモードの二人にはいいだろう。


その話を聞いて、おっと、といった表情のエメリーグランパ。

そして口を開く。


「クラフト伯から話は聞いておる。なんでも呑み込みが早く、おおかたのことは学んだ聞いた。」

「お褒めに預かり、光栄でございます。」

「儂の方でも、いろいろと動いてな。おぬしの手腕を試してみたいと思う。」


手腕…、か。


「何をすればいいでしょう。」

「うむ。竜王国とクラフト領の国境の交差する地にて町を作れ。」


表情を変えずに言う王様からとんでもない提案が来た。

男爵になりたての若造に領地を与えるとのこと。それも二つの国の国境上で。

正直自身が無い。


「大変申し訳ありませんが、私にはまだ力不足であると愚考します。」

「それは知っておる。補佐の者は配属しよう。」


担当の部下を下さる予定。美人さんとオフィスラブの予感がビンビンするが、それどころではない。

先ほどから黙っているミーナパパの考えはどうなんだ?

国境上に構えるということは町の運営は共同経営になるということだ。

めんどくさいよぉ。ゴタゴタが起きる気がするよ。


「竜王陛下の考えもお聞きしてよろしいですか?」

「儂はそれでよいと思っている。儂の国からも担当の者を派遣するからの。」


共同経営が決定だ。

この王様たちの事だから、裏でしっかりと話を付けているとは思う。


童貞はその言葉を受けて考える。

国同士の中継点を作ることで貿易の発展を促す。しかし、治安の悪化も招くだろう。

うーん。

町を作るのはまず金がかかる。それはどうするつもりか。人員、資材、などなど。

まずは村から始めようかな。


「提案があります。」


その言葉を聞いて静かに聞こうとするパパとグランパ。


「まず村から始めてはどうでしょう?人員や資材は一朝一夕では集まりません。貿易の中継地点としての発展を目指し、それが確立したら規模を広げるべきかと。」

「気にしなくてもいいのだが…。まあいいだろう。」

「そうじゃな。」


いくら二つの国から支援があるとはいえ、大きすぎるリスクは取れない。うまく行かないようであれば、小規模な宿のある村としての運営もできる。

ああーもう考えるのが嫌になってきた。

知恵熱で仕上がりそうになっている童貞のことは無視して、両陛下は進めるつもり。


「詳細は追ってクラフト伯と調整するがいい。」

「分かりました。」

「竜王国からも使者を送るからの。安心せい。」


と言って二人は部屋を早々に退出していった。

そこに立ち尽くす童貞。

はあ、大変なことになった。町を作るのは決定事項のようだ。

邪神様を探しに行くのがどんどん遅くなっている。

東の国に行って早いところ黒海に向かいたい。

けど、そこまでのアクセスが出来ない。東の国は排他的で有名だと先生が言っていた。聞いていた感じ、まるで昔の日本。

いっそのこと人類の国に潜り込むか?今の関係を放置して出るにはリスクがでかい。




三者面談を終えて部屋を出ると、そこにはエメリー。

1か月間会っていなかった間に髪が随分と伸びている。女の子らしい姿になっている。胸も大きくなった気がする。微乳な感じが最高にイイ。

緊張しているのか、少し顔が赤い。

そんな彼女に話しかける。


「お久しぶりですね。髪を伸ばされましたか?」

「うん!どうかな?」

「とても似合っていると思いますよ。魅力的になられていますね。」

「そうかな…えへ。」


それを聞いて笑顔になるエメリー。

随分と良い表情だ。女性のイメチェンにはひと声かけるのがマナーだと、前の世界で言っていた。効果は抜群だ。


「これから帰るところでした。歩きながらお話でもされますか?」

「あ、うん。」


二人で廊下を歩いて話す。

エメリーが積極的に話してくれる。


「聞いたよ。サンジョーは町を作るんだって?」

「ええ。そうですね。使命を優先したいのですが、仕方ありません。」

「そうだよね…。私も行きたいな。」

「是非いらしてください。いつでも歓迎ですよ。」


王女という立場は大変だろう。そんなにホイホイ来れるものでもないだろうに。


「おじいちゃんに相談してみるね。」

「そうですね。無理なさらないように。」

「うん!」


話しながら歩く。が、先ほどから視線がすごい。

さっき来たときは人とすれ違わなかったのに、今はすごい。


貴族の人とすれ違うと挨拶されるが、その回数が多い。領地にいるはずの貴族様たちが王城に集まってらっしゃる。絶対に見に来た腹だろう。

ワークアウト公爵に関してはすれ違うのが二回目。完全にわざとだ。

エメリーに気づかれないように振り返ると、後ろで貴族の一団が曲がり角から顔を出している。え?手を繋げ?いやー、きついですわ。

高校生かよ。


「そのうちサンジョーの屋敷に遊びに行くね。」

「ええ。分かりました。」


王城の出口まで向かい、エメリーと向き直る。


「それでは、またお会いしましょう。」

「うん。頑張ってね。」


そう言われ、奥を見ると、貴族の方達の白い目。

やめろよ、そう言うの悪ノリってやつだぞ。

はあ。


「エメリーさん、手を。」

「え?うん。」


エメリーの出した右手を手に取り、膝をついて手の甲にキス。

不意な行動にエメリーは動転。あたふたと顔を赤くしている。

スズリさんに教えてもらった。

本来、忠誠を表す手の甲へのキスは女性側から手を出された場合のみ、許される行為だという。

しかし、親しい関係の場合のみ、相手への忠誠と信頼、好意を表すものとして男性から手を出すようにお願いできるらしい。それを女性が受け入れることで男性は手の甲にキスできるのだとか。

元の世界とは違った文化だ。


俺はきちんと厚意があるよ。という意味でやったつもりだ。エメリーの気持ちには応えたい。

エメリーは反射的に手を出したのだろうが、その意味に気づいて顔真っ赤。顔を抑えてうなっている。

どうだ?貴族の皆様。俺はやるときはやる男だ。

そう思って奥を見ると、貴族の皆様は外人4コマのように大はしゃぎ。どうやって静かに騒いでるんだよ。貴族の奥様方は「もう無理…。」みたいに悶絶している。

エメリーは罪な女だね。


「では。」

「あっ…。じゃあね!」


そう告げると彼女は満面の笑みで送り出してくれる。

前世に比べて随分と愛されている。今手を出したら児ポ法に引っかかる。

我慢。

やめて、蜘蛛さん。チクチクしないで。


そうして王城を後にした。

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