第22話 爵位授与 下


エメリーガチ恋勢から奇襲を受けた。

ヒョウモンダコおじさんの熱烈な握手からの毒針だ。

擬態の能力で俺に化けてエメリーエンドを迎えるらしい。すぐにばれると少し考えれば分かるだろうに、それが分からないくらいにはご執心だったということだろう。


すぐに追いかけよう。

とは思ったが、俺の手持ちのスキルでは、貴族の要人が多数いる中でスマートに対処できないだろう。他の貴族に流れ弾が行ったらまずい。

今のうちに新スキルを開放してしまおう。

ステータスはまた今度見よう。


Skill


死神の抱擁 :LV,1

【HPが全体の100分の一の時、ステータスに強力な補正がかかる。】

【即死の攻撃を受けた際にMPか精神力を消費してHP1で耐える。】

炎輝魔法  :LV,3               

【炎熱魔法の初級、中級の習得。(殺傷性)】 

【輝属性魔法の習得(非殺傷)】  

回復魔法  :LV,3

【生物の損傷や状態異常を癒す。】

【上記効果の回復速度上昇と抵抗力上昇。】

忍の誓い  :LV3

【隠密行動の効果上昇。】

【剣術の初級、中級の習得。】


未使用SP: 18



お、増えてるSP。

ここに新しいスキルが欲しい。できれば、何をしたか分かりにくいものがいいだろう。それでいてコントロールできる程度の習熟度。

うーん。紳士的でかっこいい感じの…。

あ、あれだ。


うーん!風魔法!来い!


死神の抱擁 :LV,1

【HPが全体の100分の一の時、ステータスに強力な補正がかかる。】

【即死の攻撃を受けた際にMPか精神力を消費してHP1で耐える。】

炎輝魔法  :LV,3               

【炎熱魔法の初級、中級の習得。(殺傷性)】 

【輝属性魔法の習得(非殺傷)】  

回復魔法  :LV,3

【生物の損傷や状態異常を癒す。】

【上記効果の回復速度上昇と抵抗力上昇。】

忍の誓い  :LV3

【隠密行動の効果上昇。】

【剣術の初級、中級の習得。】

風雷魔法  :LV,3

【風魔法の初級、中級の習得。(殺傷性)】

【雷魔法の初級の習得。(殺傷性)】


未使用SP: 15



お、いい感じのが来た。

風魔法であいつの腕くらいは捥いでやりたい。風なら見えにくい。

おそらく貴族で魔法に異常に詳しい人はいないはず。研究者は権力を嫌うのが通説だ。

これで素晴らしきサンジョーと言ってもらえるようになろう。

すぐ行ってやる。




部屋を飛び出すとガラの悪い人たちと遭遇。人数は3人。見た目は人類族だが、おそらくモーセンさんと同じだろう。たこさんこんにちは。誰からやられたいですか?

そのうちの一人、リーダーと見える人物が叫ぶ。


「お、おい!どういうことだ!?」

「少しチクリとしましたね。驚きました。」

「や、やっちまえ!」

「待ってください。」


と言って童貞は炎熱魔法をチラつかせる。

それを見て彼らは動きを止めた。よし、いい感じ。

そこに提案。


「できれば殺したくありません。ここで見逃してもらえれば、あなた方には助けられたと周りに伝えます。もし私がこの後で殺されたなら、魔法で眠らされたと言えばいいでしょう。」

「無詠唱か!? な、何言ってんだ?」

「お願いですから、殺させないでください。」


頼むよ?頼むよ?来るな。

その言葉を聞いてリーダーは一瞬逡巡する。


「あ、ああ。分かった。見逃す。」


そう言った彼らのリーダー。その言葉を聞いて、メンバーAとしようか、Aが反論する。


「見逃して大丈夫なのかよ!?」

「無詠唱の魔術師なんてこれまで見たことねえ。俺はまだ死にたくない。」

「あ、ああ。そ、そうだな。」


よし、話がまとまったようだな。


「もう悪いことはしないでくださいね?あなた方の顔は覚えました。私の耳に入れば即座に殺しに行きます。どこにいてもです。」

「ああっ。分かったから早く行ってくれ。」


少し凄んで脅してみた。

それにおびえたように、通行許可を頂けた。

よし。

あのエメリーガチ勢を懲らしめよう。




会場に向かってずんずんと進む。周りに変に思われないように、できるだけ事態を小さく留める。


お、会場のドアマン発見。さて、擬態して来たのかな?

彼に話しかける。


「今ここに私が来ましたか?」

「え?ええ。え?入られましたよね?」

「ええ。その方はハパロ子爵です。」


ばっかもーん。そいつがルパンだぞ


「失礼します。」


と言って会場の扉を開く。

会場を見まわし、エメリーを発見。その近くには俺。いや、擬態したモーセン。

それとなく、普段の足取りで近づこう。

貴族が話しかけてくるが、無視。

人を掻き分けて進む。そして話しかける。


「楽しんでおられますか?エメリーさん。」


振り返るエメリー。モーセンもこちらに気付いたようだ。


「え?サンジョー?」

「はい。私です。」

「え、二人いるよ!二人?」


姫モードから戻るエメリー。

もう一人の俺を見ながら周りに聞こえるように言う。


「そちらの私はハパロ子爵が私に擬態したものになります。」


目が合う俺と俺。


「えっえっ。どういうことなの?」

「先ほどハパロ子爵に毒を打ち込まれました。彼は私に成り代わるようです。」


その会話を聞いてモーセンは反論。それに俺も反論する。


「何を言うのですか。私はサンジョーです。貴方はどなたですか?」

「諦めたらどうですか?」

「諦めるも何も、何を言っているのかわかりません。」

「勝敗は見えていますよ?」


あーめんどくさい。

エメリーに言う。


「モーセンさんは私に成り代わって貴方の寵愛を受けるつもりです。」

「え、あ、そ、そうなの?」


そう言ってモーセンに視線を移すエメリー。


「エメリー様、どのようにしたら私だと信じていただけますか?」

「え、じゃあ、サンジョーの周りの人について教えて。。」


おい、やめとけよ。多弁は良くないよ。

童貞はそれを静かに見守る。

モーセンは語る。


「そうですね。現在はオッドロッドさんやサラさんなどが居ますね。」

「他には?」


続けるよう言われて、焦りが見えるモーセン。

面白くなってきたけど、俺の振りをされるのは気分が悪い。

いいぞエメリー。もっとやれ。


「そうですね。私の家ではサラさんとリンネさんと暮らしています。そこに先日ヴィルヘルミーナさんがいらっしゃいました。なので今は4人で暮らしています。」


はい。ダウト。

俺はミーナさんをそんな呼び方はしません。彼女はダメなお姉さんなので。

しかも蜘蛛さんもいます。

口数は無駄に増やすべきじゃない。前世でそれを俺は学んだ。

そこで俺は口を開く。


「私はヴィルヘルミーナさんと呼びません。エメリーさんもご存じだと思います。あとアトラさんも一緒に住んでいます。」

「え?うん。そうね。ミーナさんと呼んでいたね。」


エメリー、いい子だぞ。俺の話を聞いててくれてありがとう。

モーセンに向き直って言う。


「さて、まだサンジョーだと言いますか?」


それを聞いてプルプルと震える目の前の俺。あ、髪が動いてる。そうやって擬態してたんだ。

もう無理だと感じたのか、モーセンは擬態を解いてエメリーの腕をつかんで引き寄せた。

俺もエメリーを引き寄せようとしたが、奴のほうが近く、俺の手は空を掴んだ。


「ち、近寄るな!離れろ!」


そう言ってモーセンはエメリーの首筋にナイフを突きつける。

それを見た周りの人たちは一気に距離をとる。いいよ。その判断。

エメリーは落ち着いて俺の目を見ている。信じていると、そんな目だ。


「エメリーさん。すぐに開放しますので、動かないでくださいね。」

「え、うん。」


そのやり取りをみてムカついたのか、モーセンが吠える。


「調子に乗るなよ!私は死ぬ覚悟はできている!エメリー様が手に入らないのならここで一緒に死ぬ!」


その言葉を聞いて固まるエメリー。

出たよ。心中系サイコ野郎。

俺もさすがにこいつにはムカついてきた。エメリーは物じゃない。


「そうですか。死ぬのは構いませんが、あなた一人でお願いします。…お手伝いしましょうか?真っ二つになるかもしれませんがね。」

「や、やれるものならやってみろ!」

「分かりました。」


そう言われて発動を準備するのは、先ほど獲得した風魔法。出来るだけ見えないように薄く、そして距離もイメージする。

狙うはエメリーの開放。

童貞は右と左の親指と中指を強く合わせる。いわゆる指パッチンのモーションだ。

腕を前に突き出し、

そして弾く。


パチン。


その瞬間、モーセンの腕が落ちた。

肩からは青黒い血がシャバシャバと流れ出る。一瞬モーセンは何が起きているのか分かっていない表情だ。


しかし、それにやっと気づいたモーセンは絶叫。


「ああああああああああああああああああああ!!!」


その絶叫を聞きながら童貞は彼に距離を詰め、突き飛ばす。突っ張りで彼を後ろの壁まで。

そしてエメリーを救出する。とても軽い体だ。


使った技は指パッチン。

そこで発生する小さいながらも強力な風の力を魔法で増強、コントロールして相手の両肩口に飛ばす。

当たった後の魔法はすぐに解除。


男として生まれたら一度はやってみたい、指パッチンのかまいたち。

童貞は出来る限りの格好を付け、周りに言う。

様にはなってはいないだろうが。


「社交の場ですから、少し華麗にやってみました。貴族の方たちはこのような催しはお好きではありませんか?」


その光景を見た者はこう思うだろう。マジックのように相手の両腕を落としたと。


モーセンの絶叫を聞きながらエメリーを抱き寄せる。


「大丈夫ですか?お怪我は?」

「え?うん!無いよ。」

「よかったです。」


と聞きつつも童貞は彼女にヒールをかける。

後の処理はうるさいあのモーセンだ。


「ああああああああああ!」

「少し静かにできませんか?あなたは紳士なのでしょう?」

「ふざけるな!何なんだお前は!」

「三条です。」


目の前で苦痛にあえぐモーセンに対して童貞は炎熱魔法を行使。

手のひらに熱を集め、そのまま傷口を触る。

ジュウウウウウウと音をさせて止血をする。


「あ゛あ゛あ゛!!!!!」

「静かにしてください。ただの止血です。周りの皆さんも迷惑していますよ。」

「お、お前は回復魔法が使えるんじゃないか!?」

「ええ。」


よく知ってるな。いろいろと情報を集めたのだろう。そのことはサラさんたちの情報を持っていることからも明確だ。

童貞の返答を聞いてモーセンは叫ぶ。


「だったら治療しろ!金はいくらでも払う!」

「ええ。、お断りします。あなたはあまりに不快ですから。」

「な、何を言う!」

「先ほどあなたもおっしゃっていたではありませんか。」


そう話しながら止血を終えた彼を無理やり立たせる。


「さあ、お帰りください。お出口と牢獄はあちらです。」

「ふざけるな!せめて治療をしろ!それが魔術師の義務だ!」


そう言って俺にぶつかってくる。こいつは嫌いだ。

できるんだろ?やれ。と命令してくる上司。なおボーナスは出ません。

とでも言っているのだろう。


「エメリー様に触れるには、あなたはあまりに穢い。エメリー様に触れたあなたの腕は贅沢が過ぎています。ここに置いていくのがいいでしょう。」

「な!」

「さあ、出口へ。」


そこでやっと事態を収拾しに来たのか、兵士のご登場。

その場で聞き込みを行い、モーセンを引っ張っていった。

もちろん、モーセンの部下については良いように話しておいた。


会場は騒然。がやがやと荒れている。俺を称賛してくれる声も聞こえる。


ルッコラ食べたいな。

少し大きな声を出す。


「少々見苦しいものをお見せしてしまいました。失礼いたしました。」


おお、と声がして解散ムード。

エメリーが寄ってきた。


「大丈夫でしたか?」

「うん!ありがとう。」

「いえ。今回は私の不徳の致すところです。エメリー様に危害が及ばなくてよかったです。」

「ううん、いいよ。今回も守ってくれたね。」

「当たり前ではないですか。格好はつきませんがね。」

「ふふ。かっこいいっ。」


そう言って笑顔になるエメリー。

彼女のメス度が止まるところを知らない。

今回はムカついたとはいえ、少しやりすぎてしまったかもしれない。サイウスさんに怒られるかな。




その後、会場はお開きとなり、皆帰っていった。

俺はサイウスさんと反省会。

彼の自室で、執務机に座った彼に頭を下げる。


「今回は申し訳ありません。」

「何を言いますか。上手く事態を収拾したと思いますよ。」

「そうですか?子爵に傷を付けてしまいました。」

「ハパロ子爵に関しては、もう先がありませんでした。エメリー殿下擁立派の最後の御仁ですからね。」

「ですが…。」

「いずれ彼は同じようなことになっていたと思います。時間が早まっただけです。あの場にいたすべての人が貴方の味方に付くでしょう。」

「そうですか…。」


サイウスさんは朗らかな表情でそう言う。

童貞は聞く。


「子爵はエメリー殿下に異常な執着を持っておられました。それはクラフト伯爵が昼におっしゃっていた事と関係しているのですか?」


聞きたいその真意。それはなぜ三条という正体不明の男を、多くの貴族達が味方するのかだ。


「子爵の一件で気づくと思っていたのですが…。お話ししましょう。」

「お願い致します。」

「まず、エメリー様は皆様に愛されています。幼いながらにすべてに努力されるその姿と容姿は貴族たちを魅了しました。しかし、だからこそ対立が生まれてしまいました。」

「ふむ。」


よくわからん。

静かに聞く。


「その対立は3つの派閥で別れました。第一王子の元に集まったのがエメリー殿下を静かに見守る者たち。第二王子の元に集まった人達も、静かに見守る者。しかしここには男色家の方が多く集まりました。」

「はあ…。」


話の方向がおかしくなってきた。


「そして当時の第三王子の元に集まったのが、エメリー殿下を我が物とせんとする者たちと、それを阻む者たちです。王族の特性、転還が元になってこの構図が生まれてしまいました。ここまでの説明で分かりましたか?」

「少し整理してもよろしいですか?」

「ええ。」


そう告げて童貞は考える。

つまり、ショタの頑張る姿がみんな大好き。そこから対立が生まれた。

エメリーを女の子として見守りたい第一王子派閥と、エメリーをショタとして見守りたいホモオォな第二王子派閥。そしてエメリーを嫁として迎えたいガチ恋勢と、それを邪魔する第三王子派閥。

国の裏が見えてくる。


要するに、エメリーのお婿さんが見つかったから、それを応援したい第一王子派閥の皆さんと、男の娘として嫁に行く姿を応援したい第二王子派閥が俺のバックについた。エメリーの心が決まって勢いの衰えた第三王子派閥は、妨害派が第一、第二派閥に吸収された。ガチ恋勢の力も削がれて行って、最後の残党が先ほど腕を吹き飛ばされたということだろう。


一言でまとめると、

見守り隊とガチ恋勢の戦争が先ほど終わった。


どれだけエメリーが皆に愛されているかがよく分かった。通りで第一王子と第二王子がエメリーを大切にするわけだ。彼らがその筆頭なのだから。

貴族たちの派閥争いの内容がくだらなすぎてため息が出る。

物事の理解が追いついた童貞はサイウスさんに向かい直った。


「やっと理解できました。」

「おお、そうですか。結論を教えていただいても?」

「はい。エメリー殿下を見守りたい方々と、我が物にしたい方々の争いが先ほど終わったということで間違いありませんか?」

「そうですね。」


よかった。当たりのようだ。

いや、これがいい結果とは言えない。


「これは責任重大ですね。」

「そうですね。エメリー殿下を泣かせるとこの国が敵に回ります。」

「困りましたね…。大切にさせていただきます。」


エメリーの失恋=国が敵。という構図が出来上がる。

なんて難易度の高い恋愛イベントだろうか。

男爵位の授与に反対が出ないわけだ。


その事実を理解した童貞は諦めたように、サイウスさんと今後の打ち合わせを行うのだった。




打ち合わせが終わって童貞は帰宅の途に就く。

時刻はかなり遅い。23時くらいだろうか。


家の玄関を開けようとノブに手を掛けた時、内側から開かれる。いつものようにそこにはリンネさん。


「今帰りました。待っていて下さったんですね。」

「うん。……毒は大丈夫?」


俺の目を見て理解してくれたのだろう、体の心配をしてくれた。

彼女はモーセンに刺された俺の手に触れて、静かに撫でてくれる。

最近、スキンシップが多いですね。


「少々荒事になってしまいましたが、上手くいきました。」

「…そう。」

「サラさん達は?」

「彼女たちの私室にいる。もう寝る。」

「そうですか。汗を流してきますね。」

「うん。」


そう言ってシャワールームに移動。タオルで体を拭き、全身を流して出る。

水を拭きとり、リビングに戻る。

戻ると、そこにはサラさんとミーナさんも居た。


「起こしてしまいましたか?」

「いえ!お帰りなさい。」

「帰りました。」


サラさんは元気に迎えてくれたが、ミーナさんは眠そう。

変温動物らしいミーナさんは風呂上がりの俺にぬくもりを求めて引っ付く。


「少年―?おかえりー。」

「帰りました。気にせずに眠っていてください。」

「うんー。」


ミーナさんをソファに移動させて童貞もそこに座る。

彼女に膝枕をせがまれ、恥ずかしながらもそれをする。

最近いろいろと慣れてきている気がする。

童貞なのに。


「さて、本日あったことを話しておきたいと思います。良いですか?」

「はい!お聞きします!」


リンネさんとサラさんに今日あったことをすべて話す。

クラフト伯、ハパロ事変、王国貴族の裏。

サラさんはとても心配してくれたが、俺は無事。ミーナさんもその時には少し起きて、「だいじょうぶー?」と言っていたが、すぐに寝た。

そして気を付けておきたいのが、この家の情報が流れていた事。

それを聞いてサラさんは不安そうに言う。


「怖いですね…。」

「そうですね。リンネさんがいるので、大丈夫だと思っていたのですが、人伝手に情報を手に入れたのでしょう。」

「…ごめん。」

「リンネさん、気にしないでください。貴方は悪くありません。」


彼女は申し訳なさそうに謝罪した。

リンネさんは悪くない。監視が付いているということではいだろう。まず、リンネさんが気付かないのはよほどのことだと思う。彼女の耳は足音で人を判断するほどだ。

リンネさん、俺はリンネさんが居るだけでいいんです。


「これからはクラフト領に向かいますが、安全と情報には気を付けましょう。私の屋敷が建てられているそうですが、そこには注意を払ってくださるそうです。」


それを聞いてサラさんは少し安心したようにしている。リンネさんは無表情。

サイウスさんの領地ではサンジョー男爵としての屋敷が建てられているそうだ。なんでもドワーフとサイクロプスの精鋭が手掛ける急ピッチ作業とのことだ。サラさん達の住居も立ててもらっている。財布の中身が不安だ。


「王都にいるのもあと少しです。今のうちにやりたいことがあったらやっておきましょうね。」


今後について話して夜は更けた。

蜘蛛さんが寝ぼけながら降りてきたのを確認して、全員寝ることになった。

ミーナさんが俺から離れず、俺の部屋で一緒に寝た。

何も起きないのが辛い。何もできなかったの間違いであるが。

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