第4話 妹、アニー・ロッソの憂い
お姉様……
どうしてこんな事に……
アリアナお姉様が向かった方角を見て、何度も何度もため息が出る。
お姉様を見送ってすぐに、この国に滞在している連絡員さんに、お姉様の事を知らせにいった。
国とギルド、両方への連絡を任されている方で、これもお姉様から頼まれた事の一つだ。
連絡員さんはとても驚いており、各所とこれから必要な事を調整すると仰っていた。
学園から下されたお姉様の処分に、思い当たることが何もないから余計に頭を悩ませていた。
私達がこの国に留学してきたのは、今年の一学期からの話だ。
学園は全寮制で、王都に何らかの住まいがある王侯貴族の子息子女も、寮から通っている。
私達姉妹は環境の変化に戸惑う事も体調を崩す事もなく、周囲の人達も親切にしてくださる方ばかりで、今まで何一つ困ることはなかったというのに。
困ったことになったのは、今回の件で、初めての長期休暇に入った10日後のことだった。
寮生活を送っていた子息子女は、それぞれの家に戻っており、寮に残っている学生はそんなにいない。
だからまだ、お姉様が退学処分となった事を知るのは、わずかな生徒だ。
寮に残っている、事情を知った一年生の友人が、慰めの声をかけてくれるのは有り難いけど、お姉様が無事に国に戻るまでは安心できない。
お姉様の荷物の整理をしながら、連絡を待つことしかできないことが、もどかしかった。
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