第3話 姉、アリアナ・ロッソの受難
『 以下の者、本日付けで退学処分とする
第二学年 アリアナ・ロッソ 』
は、え、何で……ええっ!?
呆然と、壁を見上げていた。
その、壁に張り出されたものを何度見直したことか。
何度見たところで、書いている内容は変わらない。
この場で自問し続けたって説明してくれる誰かがいるわけでもなく、らちが明かないから学長室へ向かうしかなかった。
ノックの時間ももどかしくて扉を押し開けたかったけど、何とか冷静に許可を得て入室する。
「学長、納得できません。いきなり、退学だなんて。理由は何ですか」
壮年の女性学園長は、面倒だと言いたげな視線を向けてくる。
「貴女が本学院に相応しくないと、創設者でもあるエラージュ王家から直々に処分が下されました。規定により、本日中にこの国から退去しなければ、不法滞在で処罰されます。私からは以上です。早く荷物をまとめて出て行きなさい」
「出て行きなさいって……待ってください、私は……」
「出て行きなさいと、伝えました」
部屋の入り口にいる警備員に睨まれ、退室を余儀なくされる。
本当に、良家の子女が通うこの学園を退学となったの?
とにかく、一度国に帰って、ギルドを通じて話してもらわないと。
依頼を放り出していく事になるけど、今の私にはどうしようもない。
一刻も早くここを出なければ、不法滞在で犯罪歴が残ってしまうのは困る。
それは、妹にまで迷惑をかけてしまう。
「お姉様!」
顔を思い浮かべたタイミングで、一緒に留学してきた妹のアニーが駆け寄って来た。
エリュドラン特有の銀髪に紫の瞳の容姿は、私とよく似ている。
「アニー、ごめんなさい、心配をかけて」
「お姉様が、どうしてこんな事に」
アニーはすでに泣きそうだ。
「私のことは心配しないで、貴女はここで勉強を頑張りなさい。私はギルドマスターもついているから、国に帰ればどうにかなるから。ね?」
「はい、連絡をお待ちしています」
大慌てで大事な荷物だけを持って、残りは妹に頼んで学園を後にしてする。
何故と、今はそれどころじゃなくて、早く国境を越えなければならなかった。
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