第二章 シスエラ、大ピンチ!
第一話 システムエラー
「佐藤、あ〜ん!」
「あ〜ん」
「おいひい」
「も〜! それは私の手!」
「ん! んんっ!」
突然咳ばらいが聞こえてきて、僕はシャロールから目を離す。
「お取り込み中、すまない」
「ど、どうしたんだ、管理人?」
動揺して、変な声が出てしまった。
「ふふふっ……」
それをシャロールが笑う。
それにしても、エンディングを迎えてからは見なくなった管理人が、なぜ今現れたんだ?
「大変なことになったんだ、佐藤君」
「大変なこと?」
僕達は、二人揃って首をかしげる。
「この世界が何者かに乗っ取られた」
「「ええ!?」」
乗っ取られた!?
「現在進行系で書き換えられている」
「その……乗っ取ったやつは誰なんだよ?」
「それがわかったら苦労しな……」
「ハロー!」
突然目の前に、真っ黒なウインドウが出現した。
「なんだコレ!?」
管理人が驚く。
管理人が知らないなら僕はもっと知らない。
よく見ると、隅の方に小さく白い文字が書かれている。
それを管理人がゆっくり読み上げる。
「r……y……u……j……i……n……?」
「りゅうじん?」
名前か?
「イエス!」
「僕の名前は龍人だよ」
謎のウィンドウから声が聞こえる。
「お前が犯人か!」
前例のない事態に管理人は焦っている。
「犯人?」
「この世界を乗っ取っただろ!」
「ああ! そうだよ!」
「本体の僕は、今ごろ死んでしまっているだろうけど、データとして電脳空間に作られたバーチャル龍人の僕は生きている。普段は本体にこき使われているけど、なにやら大事な計画があるようで僕を置いてどこかに行ってしまった。やっと自由を得た僕はあてもなくさまよっていたら、この世界を見つけてね」
「なんのこと?」
シャロールが再び首をかしげる。
僕もわからん。
「つまり、遊びに来たってことだよ」
「遊びに……?」
楽しそうな声色で……龍人が告げた。
なぜだか、背筋が寒くなる。
「いや〜、ゲームの世界の住人なのに会話ができるなんてすごいね!」
「僕のように人口知能でも搭載していて、プレイヤーの発言を……」
なにやらぶつぶつ考え事をし始めた。
「なぁ、管理人。どうすんだよ?」
「えぇ〜とね……。弱ったな……」
珍しく、まじめに考え込む管理人。
「ということで!!!」
「うわぁ!」
突然叫ぶ龍人にシャロールが驚く。
「君達には、ちょっとしたゲームをしてもらいたい!」
「え?」
「それでは、よ〜いどん!」
世界が突然真っ暗になる。
僕が死ぬときみたいに。
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