第2話「彼女できました」

「おはよう。いつまで寝てるの?早く起きなさい」

昨日の出来事は夢ではなかったらしい。

いきなりの再婚話。そして相手の連れ子が学校1の美少女。しかし中身は鉄壁の女。

「私今日からこの家から学校に通うの。案内してもらわないとわからないわ」

「それはごもっともですね。今から準備するわ」

「朝食の準備はできてるから早く支度しなさい」

朝食を取り終え、俺たちは学校へ向かう。いつもの通学路も何か違うように感じる。だがずっと無言なのはさすがにつらい。何か適当な話題を…

「そういえば、入学してから何人に告白されたんだ?」

「そうね。入学式の日から毎日かしら?あまり覚えてないけど。それと帰りも一緒に帰ってくれる?私、道覚えるの苦手だから」

そんなモテてるのか。そんなやつと朝から一緒に登校してたらいやでも噂が立つんじゃないか?

そんなことを思いながら二人で教室に入ると

「おいトウヤ!お前とうとう春が来たのか?」

「相手があの秋山アカネとは…嫉妬しかない」

「すごいね~どっちから告白したの~?」

やっぱり、学園1の美少女と二人で登校したらこうなるよな。

あいつに助けを…と思ったが『あとはよろしく』といわんばかりに自分の席に向かっていった。

「みんな聞いてくれ。実は…」

俺はクラスのみんなに昨日の出来事をすべて話した。

「なんだよ~安心したぜ~」

「お前じゃつり合わないよなぁ~」

よかった。クラスのみんなも理解してくれ…

「でも二人一つ屋根の下で暮らしてるんだよね?」

振り返るとすごい満面の笑みのダイキがいた。お前には昨日のうちにすべて話しただろ!

その言葉を聞いたクラス中がまた騒ぎ出した。


昼休みになりひと段落がついた。毎休み時間、質問攻めはかなりつらい。

「トー君お疲れだね。だいじょうぶ?」

机に伏せていた俺に話しかけてきたのは中学から仲良くなった『春川ツバキ』だった。おっとりお姉さん系として結構人気があるらしい。

「あーツバキか。大丈夫じゃないよ。へとへとだよ。」

「一緒にご飯を食べながら話を聞いてあげようではないか~」

「ありがたき幸せ~。そういやダイキは?」

「ダイキ君はラブレターもらったからって校舎裏に行ったよ?」

「モテモテイケメンめ…」

「まぁまぁ昼休みが終わる前にお昼たべよ~」

昼休みはツバキに癒されながら過ごした。


放課後になり俺はあいつを待っていた。どうせまた告白をされているんだろうな。

そう思いながら校舎裏にぶらぶら歩いてきた。他意はない。ただの散歩だ。

「僕と付き合ってくれないかな?」

やっぱり告白だったか。相手は…1個上のイケメンな先輩じゃん。あの先輩かなり人気あったんじゃ?

「ごめんなさい」

やっぱり撃沈か。しかしあの先輩を振るとはなかなかだな。まぁ理由は知っているが。

「理由を聞かせてもらってもいいかな?」

「私には今付き合っている人がいます。なので付き合えません」

えっ...そうだったの?昨日話したときは別の理由だったような?

「その人をここに呼んでもらえないかな?」

「わかりました。ちょっと待ってくださいね?」

スマホを取り出し誰かに電話をかけている。しかし、あいつの彼氏を見れるんだな。どんな奴なんだろ?

するといきなりオレのスマホが鳴り始めた。スマホ画面を見ると『アカネ』と表示されていた。二人に目線を戻すとこっちを見ていた。というか先輩のほうは睨んでいた。

「あのー...どうも...」

理解ができないまま、俺はあいつのほうに近づいて行った。

「この人が、トウヤが私の彼氏です」

…その場の時間が止まった…。

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