僕の隣にいるのは彼女(仮)

@Hiro1Ken

第1話「高嶺の花」

暖かい春の木漏れ日。サクラが舞う並木道。俺は今日から高校生だ。

高校生になったら彼女の1人ぐらい作って高校生活エンジョイしてみせるぞ!


と宣言してから1ヶ月。なにも起こらないまま時だけが過ぎていた。

「どうしたトウヤ?朝から元気ないな」

こいつは小学校からの親友『雨宮ダイキ』。かなりのイケメンでこの1ヶ月で何回も告白をされているらしい。

「あぁ~高校生になってもなんもかわらないんだなって思ってさ。それにしてもダイキのモテ方は異常だよな。男として嫉妬しかないよ」

「まぁそういうなよ。俺のストライクゾーンは知ってるだろ?」

確かにこいつは極度のロリコン。身長140㎝以下、Aカップ以外は対象外なのだ。

「トウヤもいずれかはモテるはずだよ。クラスの人気者じゃないか」

「それは『友達』としてだろ?俺は『彼女』が欲しいんだよ」

そう、俺は今まで彼女ができたことがない。『彼女いない歴=年齢』というわけだ。

「気長に待ちなよトウヤ。でも俺より人気があるのはあの子じゃないかい?」

ダイキはふと目線を送る。その先にはこのクラス、いやこの学校1の美少女『秋山アカネ』がいた。

「今まで告ってきた男子をイケメンだろうと関係なくすべて振ってきた鉄壁の女だろ?あんな高嶺の花に恋をするほど俺は馬鹿じゃないよ」

「確かに。トウヤと秋山さんなら釣り合わなさ過ぎて笑えるわ」

そんな他愛のない話をして放課後を迎えた。

とはいえ、なぜ彼女はそれほど告白を受けないのか?まさか、(私みたいな美人がそんなレベルの奴と付き合うわけないでしょう)とか思ってたりして。

「僕と付き合ってください!!」

ふざけたことを考えているとどこからか告白をしている声が聞こえた。

悪いと思いながらも告白を覗きに行くとそこには秋山アカネがいた。

「お断りします。ごめんなさい」

さすが鉄壁。どんな男も玉砕か。

「そうか…ありがとう。さようなら」

あそこまで強く振るってやっぱり何か原因があるのかな?まぁ俺には関係のないことだけど。


家に帰り、夕飯の支度をする。うちはオヤジと二人暮らしで家事は分担して行っている。夕食の支度を終え時計を見る。あれ?オヤジいつもより遅くないか?

そんなことを思っていると玄関のドアが開く音がした。

「トウヤ遅くなってすまん。ちょっとお前に話があるんだ。」

「なんだよ急に?改まっ・・・」

オヤジのほうを見ると言葉を失った。そこには40代ぐらいの女性とあの秋山アカネがいたからだ。

「報告が遅くなってすまなかったが新しい家族が増えることになった。つまり再婚するってことだ。」

「初めまして。これからよろしくお願いしますね?ほらアカネも」

「これからお世話になります。アカネです」

「トウヤです。これからよろしくお願いします」

こうして、俺はオヤジの再婚を機に学校1の美少女と暮らすこととなった。


風呂上りにリビングに行くと秋山アカネがいた。

オヤジたちはこれからの予定を話あっている。

「急な話だったけど秋山さんは大丈夫だった?」

「私は全然気にしてないわ。お母さんには幸せになってほしいから。それより、あなた今日私が告白されているところ見てたでしょ?」

「気づいてたんだ。それよりなんで秋山さんは告白をあんな感じでバッサリ断るんだ?」

俺はあの時思ったことを直接聞いてみた。

「意味なんてないわ。あなたは外見だけで好きになりましたなんて人と付き合う?私は正直言ってもううんざりなのよ」

すごくまっすぐな目で彼女が言った。確かに外見で好きになりましたなら腹が立つよな。

「確かにそれはよくないな。俺はそんな経験ないからわからないけど」

「そうね。あなたは『普通』だもんね。それより私は今日から『秋山』じゃないの。だからアカネって呼んでもらえる?」

「いきなり呼び捨て?ア...アカネがいいなら。じゃあ俺のこともトウヤって呼んでくれ」

少し照れながら言ったが彼女は顔色一つ変えずに

「わかったわトウヤ。」

さらっと言ってのけたのだった。














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