team MAK 不安と拗らせのビビリ共

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◆ ◆ ◆


M「柏葉様、それ以上はご遠慮ください」

A「な、何だよ突然!」

俺「視線が刺さりまくりで、邪魔くせぇ」

A「うぐっ!」

M「先ずはご用件を承ります」

A「うぅ……その、恋愛に関する、アレです」

俺「悪い、トイレに行きてぇわ。始めててくれ」

A「え、ちょっと、なる早で頼むよ〜」


M「先に伺いましょう、どうぞ」

A「うーん……おれって、兄妹と二つ三つしか違わ

 ないじゃん? で、歴代彼女とも、そんなに離れ

 てなくて……」

M「まぁ、一瞬で切れた縁も含めれば、そうだね」

A「余計なことは、言わなくて良いんだよ!」

M「まだるっこしいなぁ、相談事は何なのさ」

A「あ……のさ。まーくんのとこも年齢トシ、離れてる

 じゃん、どんな感じなの?」

M「どうって言われても……始まる前から割と弱音

 吐いたり、愚痴聞かせてたから、二人にはバレた

 くないくらい情けないもんだよ」

A「嘘だろ?」

M「スパダリ目指しても完璧には出来ないよ、当然

 でしょ。でも、その時したいと思うことは出し惜

 しみせず全部やってるかな。年の差が大きいし、

 無駄な遠慮が更に不安を煽り兼ねないからね」


俺「ほぉー、余裕綽々だな。さすがは〈冷笑の貴公

 子〉様だ」


M「ちょ……戻りが早い。もう少し見栄を張らせて

 よ。それと、その二つ名を出さないで!」

俺「ははは! で、実際はどうなんだ?」

M「むぅ……こう見えても不安ばかりだから、自分

 に言い聞かせる為にも全力投球してる、が本音。

 これで満足か〈最恐男子〉くん!」

俺「正直者でいいじゃねぇか。俺も負けじと甘やか

 し続けねぇとな。まだまだ不安で、なんねぇわ」

A「はぁ? やさイケメンと漢気アニキが不安とか

 フザけんな! おれが同様に全力出してやってみ

 ろ、完全にアウトじゃんよ。『いい年齢トシして』

 って絶対引かれるわ!」

M「確かに、トウコちゃんには些か苦行かもだけ

 ど、造作をどうこう言うじゃないでしょ?」

A「ディスる程じゃねーだろ!」

M「一言二言多いからでしょ、べろべろ、べー」

俺「互いに選び合った仲で変に着飾る理由も無ぇ、

 逆に全力でぶつからねぇでどうすんだよ?」

A「うるせーよ。おれはお前等みたいにニンゲンが

 出来てねーから、格好つけてないと怖いんだよ。

 些細な言動一つで幻滅されて、最悪干されたら

 どうしようって……」

M「始まったよ、ネガティブ逃避〜」

俺「その思慮深い慎重さと分析・判断力のお陰で、

 今の俺たち二人が在る事を忘れんなよ、ニンゲン

 以下」

A「……判ってるよ、考えすぎだって」

M「で、そんな姿を晒したくないから、カッコいい

 自分だけを見せて付き合っていくと。良いんじゃ

 ないの、誰も口出しはしないよ。では、これで

 万事解決、相談会は終了〜♪」

A「本当は……全てを知ってもらいたいし、何だっ

 てしたいに決まってんだろ」

俺「答えが出てるならば、腹括って早々に行動に移

 せ、どアホ」


A「でもさ……大丈夫かな。突然ガッツいても引か

 ねーかな?」

M「それは、本人に直接聞きなさい。必ず言葉にし

 て、OK?」

A「手を繋ぐのも、ヤキモチ妬くのも?」

M・俺「……はい?」

A「前カノは気が強かったし、そもそも恥ずいから

 そういう付き合い方の許容範囲が分かんねーんだ

 よ。どうしたらいいか、教えてくれよ」

M・俺「捻くれを通り越しての、拗らせ野郎だ」

A「うぅぅ……」

M「カノちゃんが現状に満足なら問題ないけど、

 固定観念をぶち壊して、年上としてのリードは

 程々に、歩み寄りで対等に近付ける努力は必須だ

 と思われまーす」

A・俺「だから、昨夏からのソフトツーブロか」

M「急に振らないで……外見だけでも二十歳に寄せ

 ないと、水弾きの良い健康的な肌のキリッとした

 眼力に勝てないでしょ」

A・俺「例の草食み坊や、か」

M「正直、オレだって助言する余裕なんて無いんだ

 よ……って話は置いといて、明日から実践しな

 よ。わかった、アッキー?」


A「ガ、ガンバリマフ……」


俺「そういえば、まーくんの呼び名問題は、その後

 どうなったんだ?」

M「そこもつつかないで……未解決だから」

A「それこそ、恥ずいとか? 心当たりは?」

M「ワカラナイ……見当モツカナイ……」

俺「きっと何処かで悪さでもしたんだろ、自業自得

 だな。いいじゃねぇかよ〈マサトくん〉でも」

M「身に覚えないし! それに、昔言ったでしょ。

 厳選した者のみに許す呼び方だって」

A「懐かしいなー、『彼女に呼ばせる名』論争!」

M「けんちゃんは、こまめに変える派。アッキー

 は、フル派。で、各々どうなの?」

A「アキ止まりは飽き飽きだから、呼んでくれてま

 すよ〈アキヒロさん〉って。ぐふふ〜♪」

M・俺「ダジャレも、色ボケも、飽き飽き〜」

俺「ウチはで半年経つから、そろそろ変え

 るとするか」

A「早過ぎじゃね?」

俺「一つに決める必要はねぇし、マンネリ防止だ」

A「たった半年でするかよ〜」

俺「不安を抱えた拗らせ屋のビビりにだけは、なり

 たくないんでな」


A・M「うぐふっっ!!」


M「け、けんちゃん達は、あと半年だね」

A「が、我慢も限界なんじゃないッスか?」

俺「前例は幾らでも有るから、大丈夫だろ。なぁ、

 〈冷笑の貴公子〉?」

M「そうですね! 手も繋げないウブなおっさんと

 ズッ友ですから、間違いないでしょうね!」

A「おれを引き合いに出すなよ! しかし、ゴール

 は目前かー」

M「今後の同居を見込んで、大野さんの部屋をワン

 ランクアップさせたんだもんね。しかも内密に」 

A「家賃の一部を負担してまで、な。アニキはやる

 ことが違うわ、本当に脱帽」

俺「リカコには、口が裂けても言うなよ。バレたら

 どうなるか……」

A・M「判ってるって……飛び火は御免だ」

A「でも、いよいよの時は喜んで見届人になってや

 るから、遠慮なく言えよな」

俺「おいおい、十年越しでやっと実った恋だぞ。

 もう暫く、甘い時間を楽しませろよ」

M「やだねぇ、思考が乙女で。カナちゃんの少女漫画

 読みすぎでしょ」

俺「良いじゃねぇか、未来は約束されてんだから」

A・M「はー、ご馳走様、腹いっぱいだわ!!」

俺「わはは!」


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