春−5

<大野 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

⇒先日は失礼しました

 心配かけてごめんなさい

 あの日は浮かれてました


⇒二人から聞いたかな?

 もう少し落ち着いたら改めて

 話したいことが有るので

 一度会ってくれませんか?


⇒ご連絡お待ちしてます


 ◇ ◇ ◇


<守谷くん 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

⇒申し訳ないが……





 ◆ ◆ ◆

 

 幼馴染みから事情を明かされた直後、彼女から十年振りの連絡が入る。

 高校時代から背中を押し続けてきたあいつらには今回もしてやられたが、全てを知っていたら暴走しかねず、逆に幸いだった。

 我ながら、あの頃の儚い想いをこんなに引き摺るとは思ってもなく、ガラにもなく恥ずかしい限りだが、これだけ他人ひとを求めるのは後にも先にも彼女だけだったと改めて知り……良く良く考えれば相当イタい奴なのではと正直引いている。


 何はともあれ。


 これで互いを縛るものは何もない。

 綺麗な言葉も我慢も要らない。

 いまこそ十年越しの想いを伝えよう。

 これから映る景色に互いの温もりを感じながら。


 ◆ ◆ ◆


「申し訳ないが

 これ以上待てる自信がないので

 なるはやで頼む

 俺はいつもの所で待っている────送信」

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