team MAK その先にあるもの
※お手数でもツールにて〔文字サイズ/小・中〕を選択の上、お読みください。
◆ ◆ ◆
煌めく星空が広がり清涼な森の風が頬を撫でる。
ここはキャンプ場に連なる温泉施設の露天風呂。
食後の運動でまみれた汗をサッパリと洗い流す。
(参考までに、バーベキュー大会の詳細はコチラ)
【I'm in love?】
第38話(上) https://kakuyomu.jp/works/1177354055560410117/episodes/16816452218520471176
第38話(中)
https://kakuyomu.jp/works/1177354055560410117/episodes/16817330651235186286
第38話(下)←ココから本話へと繋がる
https://kakuyomu.jp/works/1177354055560410117/episodes/16817330657661968774
全員「ざぶ〜ん! バーベキュ大会、おつ〜っ!」
A「なぁ、なぁ、見た? カノちゃん達の同じ癖」
K「見事に揃っていたのもそうだが、無意識という
のも、また―――」
全員「可愛らしいじゃないかーーいっ!」
K「友情も着実に芽生えたようで、何よりだな」
俺「カノちゃん達が仲良しなのは嬉しいね」
全員「うん、うんっ!」
A「それはそうと聞いてくれ。泊まりに来た彼女が
超絶可愛いんだが、どうすべき? でへ〜♡」
K「愛でるに限るが、いつまでもだらしねぇ顔を晒
すんじゃねぇ」
俺「滅多に無い機会だし
逆にぐうの音も出ないよう返り討ちにしてあげる
よ〜ん♪ さぁ、かかってこい!」
K「おい、程々にしておけよ。酔っ払いども」
俺「言う程、呑んでないし〜♪」
A「耳の穴をかっぽじって、しかと聞きやがれ!」
K「はぁ、面倒くせぇ奴らだな……それで、どちら
がより可愛いんだかなぁ?」
A「そんなの、ウチに決まってんだろ? 俺の服を
だぼ〜っと着て、抱き締めればスッポリと嵌る一
体感。眠い目を擦りながら俺の部屋着の裾を引っ
張って誘っては、きゅっと手を握って寝るんだ
ぞ? 朝が弱いからいつまでもぽやぽやしてるし
俺は目覚めが良いから
堪能出来る。これぞ
俺「ぶっぶー、カホの方がカワユイですぅ。貸した
スエットパンツの裾を引き摺らぬようクイッと持
ち上げて移動したり、男前な見た目の割に両手で
カップを掴んでお茶を飲んだり、後ろから抱きつ
いてきて背中におでこをつけて眠るんですぅ。朝
は超〜激甘な優しい声で起こしてくれて悪戯な顔
をしてほっぺを突つかれると、永遠に寝たフリを
して楽しみたくなるよねぇ〜♡」
K「むう……素材第一、飾り気もないナチュラル系
無地パジャマ。腰に手を当てての豪快な水分摂取
に、お泊まり初日からフェイスマスクを使う入念
なスキンケア。それらを終えての就寝かと思えば
おれ以上の早起きで身支度は勿論、気付けば洗濯
機を回し、朝食の準備を始めていて包丁の音で目
覚める事もしばしば……」
A「か、垣間見える生活感に、はぐぅっ?」
俺「な、謎に高まる敗北感に、うぐふっ?」
K「はぁ、残念だ。おれもお泊まり彼女の自慢話で
盛り上がりてぇのに、〈通いカレ〉の身としては
何ひとつネタが無ぇときた。入籍前に一つでも多
く
帰る度に『いってらっしゃい』を言って貰えるく
らいでは何の足しにもなりゃしねぇな」
A「お、お年頃な俺達が望む最たる事を……」
俺「サラッと流すように
K「おっ、会心の一撃を当てられたか?」
A・俺「許さん〜〜!」
K「ははは、悔しかったら一歩でも先に進めろや」
A「言われなくても外堀を埋めてやるわい!〈この
出逢いは運命〉という事実に肯定しかねーんだ。
まーくんもそうだろ?」
俺「え?」
A「卒業と同時にプロポーズ、最高の展開だ〜♡」
K「いや待て、入社前に入籍が先だぞ」
A「確かに! 手続きが面倒だもんな」
俺「ちょっと待って、飛躍しすぎでしょ。カホは漸
く社会人だよ?」
A「四年も付き合えば十分じゃね?」
俺「思慮が足りないよ! 学生枠を飛び出した身で
社会の荒波に揉まれながら家庭を築くなんて、負
担が多すぎるでしょ。それに――」
K「それに、何だ。一言一句漏らさず言ってみろ」
俺「……卒業まで……続くか、わからないし……」
A「あれだけイチャラブ見せつけといて、どの口が
そんなセリフを吐きやがる! 成敗してやる!」
俺「むぐぐっ、痛いっ! 唇を
K「予期せぬ別れを幾度も経験したせいで、保険を
掛けたがるのも分かる。だが、それに囚われ過ぎ
る癖は、いい加減、直せ。別れる気なんぞ微塵も
無ぇのにつまらねぇ事を口にするな、バカたれ」
A「十歳も離れた娘の告白に乗る時点で、絶対に離
せない存在だと心は決まってたんだろ? だから
それ相応に愛を育んできたし、カホちゃんも応え
てくれる。何をそんなに不安がるんだよ?」
俺「だって……あの中性的なビジュだよ? ふにゃ
っと笑って顔を真っ赤にして照れる可愛さの中に
演奏中の煽るようなドヤ顔から垣間見えるカッコ
良さが同居するとか……反則でしょ! ともなれ
ば全人類を警戒しないでどうする、って話になる
じゃないのさ!」
K「だからといって、おれ達まで警戒対象にすると
は心外なんだがな」
A「絆と信頼は何処へ行ったんだよ、おろろ〜」
俺「バカじゃないの、そんな事してないし……と胸
を張って言えないのが悔しいところだよねぇ……
付き合い始めて知った己の新たな一面がつい顔を
出しちゃうんだよ……とほほ」
A・K「ほぅ、どんな一面で?」
俺「ずっと側に居たい、から始まって、誰とも接触
させたくない、何処にも晒したくない、に行き着
く、この異常なまでの執着心! 一体、何なの!
自分にドン引くとか初めてなんですけど……あれ
オレ酔ってるのかな?」
K「受け身ばかりの恋愛に終止符を打つ相手が漸く
現れて
たり相当酔ってるが、気にするもんじゃねえよ」
A「求める愛に目覚めたばかりで理解が追い付かね
ーのかもだけど、安心しろって。俺達だって当た
り前のように常日頃思ってるし。『俺だけを見て
くれ』ってさ」
K「愛しい存在は永遠に独占したいし束縛したい。
それは誰しも思うことで異常でもなんでもねぇし
怖がる必要もねぇ。どこまで態度で示すのか、の
線引きは必要だがな」
A「綺麗事ばかりで恋愛は出来ねーからな。早々に
醜い姿を曝して、全てを受け入れて貰おうぜ。
『いつか、その時が来たら』なんて考えている
うちに取り返しの付かない事態に陥ることだって
ある……俺の母ちゃんの件で、知ってるだろ?
いつかバレるならば、思い立ったが吉日! 俺も
現在進行形だから、一緒に頑張ろうぜ。頼むよ、
年下彼女持ちの同志〜!」
俺「はぁ……けんちゃんならばともかく、アッキー
にまで諭されるとは、俺もヤキが回ったなぁ。し
かも、まんまと口車に乗っちゃうし、二人とも察
し過ぎだし。本当に、酔っ払いは困ったもんだよ
ねぇ、ぐーすーぴー……」
A「おい、コラ、話の途中で寝るんじゃねーよ!」
K「真面目な話になると煙に巻く癖も早く直せよ」
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