第9話 回顧、始まりの日

電車に揺られて東へ。

ある地方都市に降り立つ。優しかったダンナ様と過した場所。

駅から歩いて市役所へ。同じ日、同じ時間に離婚届を出した。ダンナ様が離婚届を書いた。でも、話し合いがしたいと言った。私は離婚届を書くなら私も書く。話し合う必要は無い。お互いに署名捺印した。その時はそれが最善と思った。感情的だった。離婚届を書くほどに追い詰められたダンナ様。追い詰めた私。もう少しダンナ様の心に寄り添って考えればよかったのかな?今はそう想う。そう想ったら涙が零れそうになる。その場を立ち去った。中には入れなかった。ここが罰の始まりの場所……。

一緒に買い物をしたスーパー。一緒に食事をした飲食店の数々。そして一緒過したアパート。アパートの前に立つ。誰か住んでいるけどダンナ様では無い。会いたい。会いたいけど…、会ってどうしたいの?やり直したい。でも、どんな顔で逢えばいいの?判らない。謝りたい。謝れば少し気持ちが楽になれるかな?許してもらえる立場じゃないよね。楽しかったこと、嬉しかったこと有ったよね。想いを巡らせながら帰路につく。逢えることを期待しつつ………。

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