第2話 仕事①

昼間の歓楽街は静か、味気無い。そう感じるのは私の心が動かないからかな。

一画の雑居ビル。仄暗い階段を降り、曖昧な照明の彩る場所。私の職場。職場なんてご立派な所では無い。ただオトコのモノからヌク所。オーバーステイの私にはこんな仕事した回ってこない。でも仕方無い。今は生活費の為に仕方無い。生活費…。


「あのね……」

「うん?どうした、ユエ?」

優しい顔で見つめてくれるダンナ様。

「お金、生活費」

「うん。わかった。ちょっと待てね」

自分の財布からいつも決まって2万円くれる。

「はい」

「ありがとう」

「別にいいよ」

ダンナ様は優しく微笑んでいる。私は当然の様に受け取る。私の面倒を見るのは当たり前。2万円の後ろにある事情を考えなかった……。もう少しくれてもって思ったことも……。だから後悔。ダンナ様にもう少し関心があれば後ろの事情も考えていた。私の一番の笑顔で「ありがとう」、言葉だけでなく好意・行為でも表現する。前はやらなかった。ダンナ様に関心が薄かった。だから知らない。なぜいつも2万円なの?自宅近くに職場が有るのは知っている。でも…どこで働いてるの?どんな仕事をしてるの?知らない。知ろうとしなかった。なぜだろう……。もう少し優しかったダンナ様の方を向いていれば、今とは違ってた。だから後悔……今は後悔する。

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