第3話 僕の結末。
僕はあの後、
〈透明の壁〉と〈りんごの目〉も読んだ。
涼の物語は毎回毎回
僕の何かを壊していく感じがする。
『ねぇ涼。新しい本まだ出来ないの?』
この時、涼が僕に秘密にしていたことなど記憶になかった。
「え?し、知ってたの?」
『うん。涼の物語が欲しい。』
「ま、まだだよ…?」
『なんで?』
「えっと、、
『涼の物語は僕の何かを壊していく。
僕さぁ、こんな自分を変えたいって
ずっと思ってきたんだよ。』
僕の気迫に涼が少し怯える。
『だから、僕は、考え方から生き方までを
壊すような衝撃的な物語をもとめてた。
涼の物語が、僕には必要なんだよ。』
この時の僕は記憶が曖昧で別人のようだった。
『僕が壊れていく感覚が!恐怖が!物語が!
もっと!もっと!もっと欲しい!』
涼は怯えながら口を開いた。
「しゅ、俊?」
その声は心無しか震えていた。
『記憶が曖昧になっていってるのは知ってる。
記憶なんかいらない!
記憶より涼の物語が欲しい!
涼の物語さえあれば!それでいい!』
俊は涼の肩を掴み訴える。
『ねぇ!僕を物語にしてよ!』
涼は恐怖に従い1日で物語を完成させた。
それと同時に俊の前から消えた。
〘物語感染症。100万部突破!〙
物語を求めすぎた、のめり込み過ぎた、その人の考え方から生き方まで全てを覆した、感情が入り過ぎた時、物語感染症になる。恐怖の物語。
それは、涼の最後の物語となった。
『ほらね?
ほら。
僕自身が物語なんだ。』
俊は1人で呟き、笑った。
『僕が求めていたのは物語でもあり、
僕自身でもあるんだ!』
僕は物語感染症に感染した。
物語感染症 通りすがりの学生 @toorisugarino_gakusei
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