第2話 涼の物語への欲

本の事を言わないまま2日が過ぎた。



僕の内気な性格からして、


涼が僕に秘密にしてる話を


僕から切り出すのは気が引ける。



『今日も本見てから帰るね。』


「りょー!(。•̀ᴗ-)」


『じゃ。』


「バイバーイ!今日も大学ファイト!」



隠し事があるってわかっていると何だか


普段、どう接していたのか


分からなくなってしまう。



涼の本は〈柔らかい窓〉の他に


3冊発売されている。


1冊目は〈天使の影〉と言う本だ。


この本の内容はけっこう残酷で、


フィクションだけど心にグサッと刺さる。



簡単に説明すると、


助ける事を仕事としていた天使が、


今までに助けた人を虐殺していくというもの。


天使は助けてあげたにも関わらず、


人々の愚痴は全て天使へ向き


助けてもらうことが当たり前になっていた。


そうして、天使は大量虐殺を行った。


そんな感じの話だ。


本には、天使の細かい心理描写が描かれていた。



僕が1番心に残っているのは、あとがきの


[人は誰しも天使であり、悪魔でもあります。

 

 そして、人間は残酷です。]だ。



あの明るい涼がこんな本を書くなんて


想像がつかない。



あと2冊は、まだ読んでないが


〈透明な壁〉と〈りんごの目〉だ。


題名が特徴的だが、内容はどれも残酷ならしい。



色々考えすぎてなのか、


ぼーっとし過ぎなのかは知らないが


最近知らない間に時間が進む。



そう。


もうあっという間に家に着いていた。



「おっかえりー!俊!」


僕が覚えているのは涼の物語の事ばかり。


「俊?どしたの?なんかあった?」


『ん?あぁ。ただいま。


 ちょっとぼーっとしてただけ。』


「そ?ならいい!٩(。•ω•。)و」



あぁ。


もっと涼の物語が欲しい。

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