第5話 戦闘
あれから俺は、【竜化】のスキルについて検証と練習を繰り返した。その結果、今のスキルはこんな感じである。
【竜化】Lv2 特級
神竜ドラグニルの力を引き出し、自身の体を竜の体にする。
Lv1 竜燐
Lv2 竜腕
所有するスキルによって、発動できるアーツは変わってくる。どうやら俺の【竜化】は、全身を竜そのものにするアーツが使えるようだ。
Lv1アーツの"竜燐"は発動すると全身の皮膚が鱗のようになり、恐ろしく硬くなった。その硬さは鉄の剣の一撃を受けても傷一つつかないほどだ。
"竜腕"は発動すると、腕が鋼色のやたら強そうな竜のものになった。爪は鋭く伸び、筋力も上がる。腕全体を竜化させることもできるし、手だけを竜化させるといったこともできた。
今日もスキルの練習にと王都の外にある森へとやってきたのだが……
「グガア!」
目の前にはオーガが6体。俺の後ろには3人の冒険者がいる、1人は傷だらけで倒れ、もう2人も疲労困憊といった様子だ。
何でこんなことになっているのか。それは今は置いておく。とりあえずこの人たちを助けないと。
「俺が倒します。あなたたちは安全なところに隠れていてください」
「な、早く逃げろ。オーガの群れだ、とても我々だけで勝てる相手じゃない! そして、王都の人たちに知らせてくれ。異常な事態が起きていると!」
冒険者の1人が言う。オーガは人間を超える膂力を持つ強い魔物だ。1級から5級までの分類の3級に分類される魔物であり、同じ3級のスキルを持つものでなければ対処が難しい。そんな魔物が6体ともなると、かなりの脅威だ。
「俺なら大丈夫。早くその人を手当てしてあげてください」
全身に鱗を纏い、左腕を【竜化】させる。鋼色の竜腕に変わり、爪が鋭く伸びる。
右手には長剣を持ち、構える。後ろから冒険者たちが驚く声が聞こえる。
「はあっ!」
気合いを入れて突撃する。目の前のオーガが棍棒を振り上げるが、遅い。その首を長剣で切り飛ばす。
左右から棍棒が振り下ろされるが、これは避けるまでもない。
「あぶないっ!」
もろに食らったように見えるだろう。だが、竜燐を纏った俺にはなんの痛痒も感じない。
「ふっ!」
竜腕を左から右に一閃。それだけでオーガたちの胴は切り裂かれ、後ずさる。そこを確実に、長剣によってトドメを刺していく。
「す、すげえ。なんだよあの腕」
「とんでもない強さね……」
「うう……俺らは、助かったのか?」
「ええ、みたいね。あそこまで圧倒的なら、もうなにも心配いらないと思う」
「竜の腕……」
目の前で繰り広げられるありえない光景。3級の魔物であるオーガ6体が、1人の少年によってなす術もなく蹂躙されていく。
仲間の手当てが終わる頃、すでに戦いは終わっていた。
「ふう、終わりました。大丈夫ですか?」
微笑みながら言う少年。左腕を竜化したその姿に、冒険者たちはなにか神々しいものを感じた。
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