あなたの心にクマが有るなら。

日前みかん

第1話あなたの心に風が吹くなら。

ああ、そうか私は1人カラオケボックスで・・・。


飲み過ぎて倒れたんだ。


ああ、そうだたしか・・・。


倒れた時。


マイクに頭突き喰らわして。


あれれ、血がドバーって。

あれ?。


ここは何処、私は誰ってか。

カラオケルームって真っ白だったっけ?。

はてな。


えっと、マイク無いし。

機材も一切無いし。

真っ白だし。

床も天井も壁も無いし。

ってか、宙に浮いてる?。


お魚に成ったワタシ。

いやいや、神に成ったワタシ。

いやいやいや、仏に成った私。

『骸に成ったワ・タ・シ』


!!。

「だれ?」

『不様な死に方よのう』

「へっ、私死んだ?」

『カラオケボックスで酔っ払って、倒れた拍子にマイクで頭打って死んだ。本当に情けない。もっと死に方を考えろよ』


「大きなお世話よ。死に方なんて勝手でしょ」

『そうはいかんぞ。お前の様なアホな死に方したら、惨め部門で抽選が受けられるからな。しかも当たりくさって』

「じゃあ破棄して、地獄でも天国でも、さっさと送りなさいよ!」

『破棄出来んのじゃよ。破棄がな。しかもお前チートの引換券まで当ておって』



「・・・・・チトー大統領?」

『お前歳なんぼうじゃ』

「チェコスロバキアの大統領ぐらい知ってるわよ」

『ほう、ではチトーの意味を言えれば、もう1つチートの引換券やろうではないか』

「おい、君」

『・・・・・・さて、お前が逝く異世界じゃが』

「おい!、お前!!。チトー券」

『チート券じゃ』

「誤魔化すなチトー券」

『わかった、わかった』

「他に問題は?」

『このゴウツクが』



『5番街のマリーを歌ったのは』

「ペドロ&カブリコーン」

『・・・』

「やったあー、これでチトー券5枚だあー」

『いや、カプリシャスだからね』


かくして私はチトー5つを貰い異世界へ旅立つのだ。

『いや、4つやちゅうに。それにチートなっ』

『にしても、お前。悲しみとか未練とか無いのか?』

「んなもんメンドクサイ」



『1つ目、Iボックスは無制限収納で、生き物も物質も時間が止まり劣化しないし、変質もしない』

「変質者入れた場合は?」

『・・・殴るど』

「じょっ冗談よもう」

『2つ目、食い扶持に困らないお金や食糧が出てくる・・・ハア』

「うん、働くの嫌」

『もう一回死ね』

『3つ目、不老不死怪我も病気もしない体。・・・・・なっ!?なにぃー』

「文句有る」

『・・・くそっ』

『4つ目、人を救えるポーションか魔法・・・』

「・・・別にいいでしょ」

『まあ、良かろう』

「・・・・・5つ目!」

『4つじゃ』

「5つ目!」

『4つ』

「じゃあ行かない」

『・・・分かった5つな』

凄い形相で睨まれた。

これは本気で次を言えばやばい。

『こいつちゃんと目録に5つ目書いてやがる』

『こほん5つ目、・・・・・』

『本気か?』

「うん」

『5つ目、ユナちゃんみたいな友達が欲しい』

『・・・ユナって熊さんの?』

「そう、あのアニメの熊さん」

『これは別に構わんから5つを与えよう』

「神様ありがとう」

『ふっ、何か不思議な奴じゃ』

『行くが良いミンティアナへ』

「神様貴方の心に風が吹くなら、そして私の声が載るなら、何処にいても感謝の声を届けます」



『はん、しおらしい』



バッシャアー!!。

「・・・あの外道神めえ!、湖の真ん中に落としゃあがった」

「風邪引いて死んだらどうすんだよ糞爺」

まあ不老不死だけどな。

だからか、呼吸出来なくても水の中歩けてるし。



ある日森の中熊さんに出会った。

ってか本物だよね。

野生の本物だよね。

ユナちゃんじゃ無いよね。

ある日森の中熊さんに襲われた。

バギッ!・・・ドサッ。

え~と、勝手に熊が向かって来て勝手にのびてるんだけど。

『不老不死の付属結界に触れたからな』

「何それ?」

『外部からの物理攻撃や魔法をそのまま相手に返す結界魔法じゃ』

「それが不老不死の能力に含まれてるって事」

『そうじゃ、何せ不老不死なもんでのう』



盗賊が現れた。

「へっへへ、お嬢ちゃん一人かい。いけないねえこんな森に女の子一人なんて」

「おじちゃん達が世話してあげるよ。手取り足取り色々取ってね」

「これから楽しもうね。大丈夫優しくしてあげるから。へへへ」

「・・・私に触れようとすると死ぬわよ」

「「・・・・・ぶへへ。がっははは」」

「いいねいいね、じゃあ触っちゃうよ。グへへ」

!?。

私の前に出した男の汚ない手が蒸気の様に消えて行く。

「がっ、ひっ。ひえぇー」

「ひい、ひぃー。助けてえぇぇ」

蒸気は手から体へ移り終いには体の全てを消し去った。

・・・凄いな付与結界。



「「ばっ化け物だー」」

男達は逃げて行くが・・・。

あれ逃がしても良いのかな?。

「神様逃がしちゃ駄目よね」

『お主からは攻撃出来る魔法は無いぞ』

「・・・・・!。収納ー」

『あっ、お主賢いのう』

「出す時気お付けないとね。他の人襲うかも知れないし」

盗賊も捕らえたし町か村を見つけないとね。



「ねえ神様なんで腹減るの?」

『さっき湖で少し寒さを感じたであろう。死にはせんが少しは感覚が付与されておる。人間の感覚を忘れては可哀想じゃからのう。食べられるぞ、飲めるし出るものも出る。セックスも出来るし子も産める』

「そ・う・な・ん・だ」

『それが無いと恋愛感情が持てんのじゃ。恋は性的欲求だからのう。それに愛は母性と人を守る事に繋がる』

「恋が性的欲求って身も蓋もないね」

『子孫を残す人間の本能じゃ。いくら不老不死でも人間として暮らすなら不可避じゃ。精神が持たんぞ。ただし卵子の数は制限させて貰ったから、普通の子の数しか授からん』

「ありがとう神様」

『そこに礼を言われるとはな』



たぶん私はこれから、あの盗賊が言った様に化物扱いされる。

(人を愛せるし子も授かれる)

それはおそらく私には救い。

不老不死なんて化物でしか無い事に気付かなかった。

「あっ、神様ユナちゃんとは何時何処で会えるかな?」

『ちょっと前に会ったぞ。お前の付属結界でのびたがな』

「はっ?・・・」

『あの熊は雌じゃ』

「・・・ちがーう!」



「う~ん、付いて来てるよなあ」

クルッ、ピタッ。

・・・クルッ、ピタッ。

・・・クッ、スッ。ガクッ。

くう~ん。

いやいや、ユナちゃんがくう~んって、それ違うから。

あの娘は着ぐるみだから、神様違うからね。

『ひょっとして着ぐるみを着た女の子じゃったのか?』

「あんたね、召喚獣と間違えたでしょ」

『いやあ~あの召喚獣の方が可愛いじゃろ思うてな』

「私は友達が欲しいの!、だって不老不死なんだから。ボッチに成る事必至でしょ。不老不死の友達が欲しいの!」

『あの熊は不老不死じゃぞ』

「いや、だからね人間の友達が欲しいの」

神様はポンッと手を打った。

『ほれっ』

ぼわ~ん。

熊は着ぐるみを着た女の子に変身した。

「キャー可愛い~」

「名前ユナちゃんので良いよねユナちゃん」

「貴女の名前は」

「キャー喋ったあ~」

「私はね・・・あれ?」

「神様、私前世の名前忘れてる」

『駄目だコイツ』



「麻里布 毬よ、よろしくね」

「マリマリ?」

「マリでいいよ」

「ユナは魔法使えるの?」

「魔法?」

「知らないの?、ユナちゃんと言えば熊魔法。火とか水とか風とか、電撃も有ったし土魔法もね」

「こんなの?」

ドカーン!!。



「おい!、何だあれ?」

「キノコ雲だな」

「ヤバイな、スゲー爆発だぞ」

「ドラゴンでも出たか?」

「何にせよ報告して来い」

「ああ、監視を頼む」

・・・魔物でなけりゃええが。



「何か見えて来た」

「ん?、城壁ね」

「城壁?」

「多分あの中に人が沢山住んでる筈よ」

はあ~、やっとたどり着いたわ。

「止まれ!、何だその格好は?」

「何って熊の着ぐるみよ」

「そうじゃ無い、何でそんなに真っ黒なんだ。顔も服も煤だらけだぞ。さっきの爆発と関係有るのか?」



「魔法の練習でミスったって。・・・よく無事だったな?」

私たちは門の横の駐屯所所で尋問を受けている。

「と言うか、スゲー魔力だな」

「うちの町でもあんな攻撃魔法使える奴はいねーぞ。」

「で、そっちの真っ黒クロスケ嬢ちゃんは?」

ぼふっ・・・。

「わっ!、大丈夫かー」

「おい、あっちの水場で洗ってやれ」

「でも隊長、女の子でっせ」

「・・・自分で洗えるか嬢ちゃん?」

「洗えるよ」

「私が水魔法で洗えるよ」

「そっそうか、いちおう監視で兵士は行かせるが、見ない様にさせるから、嬢ちゃん達も変な行動はせんといてな」

「「しないよ」」ハモった。



ユナに水魔法と風魔法で、土魔法で作った浴槽で洗濯機の様に洗われた。

「わっ!わっ。熊の嬢ちゃん止めろ、死んじまう」

ユナが止めたので、服と一緒に洗われた私は、若い兵士に生まれた姿の体を隅々まで見られてしまった。

「ごめん、マリ」

「いや不可抗力だから」

「ワシもすまんかった。余りの事に思考が飛んじまった」



いちおう悪意も犯罪歴も魔法玉で無いと調べられ、私達は町で家を借りて住んでいる。

あの時素っ裸を見られた若い兵士と私は今日初デートだ。

神様は恋は性的欲求って言ってたけど、当たってるね。

私は裸を見られて彼を意識しまって、彼も多分そうだと思う。

でも相性なのか嫌な気がしない。

・・・私もしかしたらこの人に初めてを捧げるかも。



三ヶ月後の彼とのデートの日。

私はユナに今日は外に泊まると告げた。

ユナはまだ人間の思惑がよく分からないのか、「そうなの」とだけ言って私を送り出した。

町の外でデートして帰って来た私達は、宿を取って夕食をする。

2人とも少しお酒を飲んだ。

部屋に入ってベッドに座り、少し話をして外が暗く成る頃、彼は私の肩を抱いて口づけをした。



そっとベッドに押し倒された私に彼はもう一度口づけをする。

今度は舌を絡めるディープキッスだった。

少し長めのディープキッスの後、彼の手は私の胸の紐を緩め服をすっぽり頭の上から脱がした。

暖かい季節も有り、私もそんなに胸が大きく無いので、何も着けない露な上半身に成った。

私は両手で乳房を隠した。

彼は私の脚を取りスカートのボタンを外した。

スカートが床にふわりと落ちる。

ごめん、ちょっと腰を浮かせて。脱がしにくいと言ったので、恥ずかしいけど、腰を少し浮かせた。

今度は下着がふわりと床に落ちる。

彼もシャツとズボンを脱いだ。

下着を脱いだ時、私は生まれて初めて男性の勃起したものを見て驚いた。

そして彼は私の上に被さりディープキッスをする。

彼の唇は私の首筋を愛撫し、胸へと移るけど、同時に乳房を手で揉んだ。

「あっ、あっ」私は声が出た。

それは揉まれた乳房では無く、もう一方の手が女性器に触れたからだ。

隙間に入った指は小さな突起を触っていた。「あっあっあっ」今度は少し声が大きく成って恥ずかしかった。ちょっといやらしい音で濡れているのが分かる。

「あっ、!」

クンニされてびっくりしたけど、感じてしまう。

さすがに小さな突起を舐められると、体がピクッ・・・ピクッと反応した。

もう天井も回り始めて何が何だか分からない精神状態だ。

そこで一瞬痛みが走った。

彼のゆっくり始まったストロークの間に指で触ってみた。

ストロークで揺れる体の、うっすら開けた瞼から、指先に少し血が付いているのが分かる。

何もかも彼にこのまま捧げよう。

私は彼の子供がほしいなあ。



徐々に彼のストロークは速くなり、胸を揉んだりしている手も少し力が入った。

彼も気が付いて乳房から手を放し、腰を動かす方に専念した様だ。

大変だなあと思ったら、またストロークが速く成った。

「あっ、ああ」

ちょっと激しく突かれて声が出た。

するとびっくりするぐらい彼は腰を速く動かし始めた。

少しの間速く動かしたので、思わず私も「あっ、あっ、ああ」って声が出ちゃった。

その時彼は私の乳房に顔を埋めて「あっ、うっ・・・ああ」

今まで荒い息の声とは違う声を出した。

その時私にも彼のピクッ、ビクビクと痙攣の様な動きが感じられて、彼は「はあはあと息を荒くしていた。」

微かに押し当てられた膣の奥、子宮に温もりを感じた。

・・・ああ、彼の子種。

できたらいいな赤ちゃん。


その日は二回彼とした。



私達は7日後に教会で正式な夫婦に成る。

筈だった。

その日正規兵の建物に連絡が入った。

隣国が兵を向けて来たらしい。

彼も国境へ出兵した。

ここは国境に近い町だった。

最初は小競り合いで終わったが、彼は遺体で帰って来た。



「悪いがお前は駄目だ」

私の志願兵は却下された。

色々有るが、妊娠しているかも知れない。それが理由だった。

私とユナは彼の両親に別れの挨拶をして町を出た。

慌てて兵士が五人追って来たが、ユナに気絶させて貰った。



私とユナは対峙する二軍を望む崖にいる。

「行くわよ」

「そのまま行くの?」

「不老不死付属結界が有るから、そのまま真っ直ぐ敵将を叩く」

「わかった。私は邪魔な敵兵を吹き飛ばしてあげるね」

「ありがとうユナ」



味方の斜めから回り、真っ直ぐに敵陣へユナ(熊)に乗って突っ込んだ。

粗方の敵はユナの風魔法で吹き飛び、私に槍や剣を近付けた者は霧に成った。

敵は恐れを成し道は出来た。

ユナあれが本陣よ。

一際高く大きな旗の下テントが見える。

前には大薙刀を構える将と、脇には屈強そうなの槍持ちが構えているけど、関係ない!。

一直線に総大将に突進する。脇の将はユナの風魔法で倒され、私は総大将にぶっつかる。

大薙刀は霧の如く消え、総大将も消えた。


「まだ私達とやり合う者はおるか!」

「・・・・・命が惜しくば兵を退け」

その時、「「「「「おおおー」」」」」と味方が突進して来た。

敵は散り散りに逃げて行った。

私はユナ(熊)に乗ってその場を離れ隣国へ入った



「ぐわ!」

「ぎゃあー」

ドカーン。

ドーン。

ドガが、ガラガラ、ズドーン。

「陛下早くお逃げ下さい」

「この熊娘がー」

バゴーン。

「がはっ、へっ陛下・・・はや」

「逃がさないよ」

「なっ何者だ貴様!?」

「おのれ慮外者!」

ふわぁ~、しゅうぅぅ。

「なっ何だこいつら」

「くそ、でやあー」

ふしゅうぅぅ~。

「おっおいマディーラ」

「マディーラ?、勇敢だったねえ」

「さあ、観念しなノーランド国王陛下様。そして私の夫の仇」

「おのれえぇー、小娘があー」

フッ、シュウ~・・・。

「うっ、あっ、ああぁ~」

シュウゥゥ~ゥ。



「そこを退きなさい」

「さもなくばこの国ごと滅ぼしますよ」

「マリ、殺っちゃっていい」

「戦を仕掛けた張本人は死んだからいい」

「言っとくけどね、今度何処かに戦を仕掛けたら、本気で国ごと民ごと消すからね。あの山をご覧」

≪ユナ頼むわ≫

≪解った≫

ズゴゴゴゴー・・・ドオォーン。

「見たでしょ。この町くらい一瞬よ。この国も一夜あれば・・・」

「滅ぼされたく無くば道を開けよ」



それから私とユナの世直し旅は始まった。

「マリもう千年近く悪者退治してるけど、居なくならないねえ」

「そうねやってもやっても、出てくるわね」

グシャッ。

ユナが公爵の頭を土の塊で吹き飛ばした。

「この町の悪も死んだね。ありがとうユナ。」

「あ~マリが返り血でベチョベチョだあ。ごめんね、もうちょいスマートに殺りゃ良かった」

「ふふふ、後で洗ってね」



「マリはもう子供出来ないの」

「まだ半分卵子残ってるよ。もう5人産んだからいいかな」

「でももう皆いないよ」

「そうね5人目産んで300年経つかな?」

「寂しくないの」

「大丈夫ユナが居るから」

「私達結婚しちゃおうか」

「あはは、それいいね・・・」

「・・・やっぱり最初の男(ひと)忘れられないの」

「そうね、2人目も3人目も良い人だった。でもあの人はどうしても忘れられないの。特別な始めての人。だって思い出を創る前に死んじゃったから」

「・・・・・そっか」



あなたの 心に 空があるなら

 そして それが青い空なら

「それよく口ずさんでるね」

「前世の歌なの。彼氏の心を読みきれ無い。そして別れて行くの。あの人は死と言う別れだった。」

そして それが涙の海なら

 私一人で泳いでみたいな

  いつまでも いつまでも

「人の世の悲しみを無くす為に、頑張りますか私達。いつまでも。いつまでも」

「そうね。いつまでも。いつまでも」

・・・・・

「「うふふ、あはは」」

















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あなたの心にクマが有るなら。 日前みかん @hikumamikan

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