第8話 虚無感
夢が叶うときというのは
こんなに静かにやってくる
胸の高鳴りも
満たされた心のうちも
今は凪いでその時を待つ
ついに来たこのときを
あたしは決して逃しはしない
あの壊れそうな細い体を
この手で終わらせてあげる
ナイフを握る手はもう震えていない
ただひたすら静かに約束の時を待つ
それなのに。
終わらせる瞬間を
あの娘を終わらせる瞬間を
こんなに待ちわびていたはずなのに
こんなにも虚しいのはなぜ?
胸に空いた穴に気づかぬふりをして
あたしは古びた階段を上がる
待ち受けるその時が
喜びであると信じて
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