第4話 渇望




あたしは愛がほしかった


言葉にするとなんて陳腐な欲望

それでも切実に愛を求めていた

与えられた財も備わった美貌も

あたしに愛を与えてはくれない

それをはっきり認識したその日から

いつだってあたしは飢えていた

どうしたって満たされない

空っぽの心を抱えていた


欲しても欲しても手に入らないなら

奪ってしまえばいい


それはひどく名案のように思えた

財もなく美貌もなく

人並みの身体すら備わっていないのに

あたしが一度たりと手にしたことのない

愛だけは手に入れている女

その女の持つ愛を

あたしが奪えばいいのだ


そしてあたしはほくそ笑む

あたしの望む愛は、もうすぐそこにある


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