叔母さんに求婚する第三王子に引く
不味い!流石に魔王様の息子である第三王子のフーベルト様にタカエとサオリが聖女と知られたら!魔王城に連行され魔王様に殺されるのではないか!?
と俺は胃がキリキリしてきた。
「あの…わ、私は別に普通の人間ですよ…」
とタカエが言うが王子は
「何か隠しているな?俺は勘がいい。都合が悪いことなのか?ギルベルトの顔色でバレバレだぞ?」
と俺を見てニヤリとする。
お祖母様は頭を抱えた。父上はため息をついた。王族に隠し事など出来ない。
「実は…事情がありまして…」
とついに話を始めた父上。王子は真剣に聞いていた。
「…というわけです」
聞き終わると静かにタカエ達を見た。
モーリッツはサオリを庇うように抱き寄せていた。
「サオリンに何かしたら許さない!」
とモーリッツは杖を出す。
「異世界から来た聖女が3人もいるとは驚きだが…1番可哀想なのはタカエではないか。苦労したな。よく頑張ったなタカエ」
と王子は褒めた。
フランツは
「王子様!タカエを殺さないで!?モーリッツはどうでもいいし、役立たずだから殺してもいいよ?」
と言うとモーリッツは
「ひっ!何だと!?このガキ!何故俺が役立たずなのだ!失礼な!宮廷魔術師なんだぞ!?俺は!!謝れ!」
「ふん…ガキの前で何威張ってるの?宮廷魔術師でもうちじゃ手先が器用じゃないと奴隷以下だよ?奴隷の方が家事は得意だよ?人間の金持ちお兄さん!」
とフランツは皮肉った。
モーリッツはギリギリ歯軋りした。
「まぁフランツくんもあまり苛めないでやれ。この家畜はほっとくとして…」
と王子が言い、存在否定されるモーリッツは
「おおおい!!」
と突っ込んだ。
「俺はタカエ達を殺すつもりはないから安心しろ。むしろ…異世界とやらに興味が出た。戻れるかは判らないが魔王城の書庫の禁書に異世界について記されているかもしれない。もしや帰る方法や異世界への空間を繋げられるかもしれないな。俺なら調べられる」
とフーベルト王子は言った。
しかし叔母さんが
「タカエが帰っちゃうなんて寂しいわ!…でも私も異世界に行ってみたいわー!観光したーい!」
と言ったのでフーベルト王子は反応して
「美しい人!!旦那と別れて俺と結婚してくれるなら俺は君たちの力になろう!!」
と条件を出してきた!てかどさくさに紛れてプロポーズした!!
「ああ、済まない!こんな所で…花も用意せずに!!今度とても良い花を準備してくる!それまでに決めて欲しい!!」
母上は驚く。
この世界では男性から花を女性に贈るのはプロポーズや好きな女性にしか渡さない。
「王子様!本気でエミーリアを嫁にと!?貴方と歳も離れているでしょう!?」
父上が慌てる。
幾ら吸血鬼一族の見た目が若いからって。まぁエミ叔母さんは見た目だけなら20代くらいだからな。本当はもっといってる。
「問題はない。歳上でも俺は大丈夫だ!」
と言うとお祖母様が
「私でも大丈夫かね?」
と聞くと王子は
「済まない。幼女趣味ではない」
と断った。お祖母様は
「冗談ですじゃ。ですが、このエミーリアはだらしない女でして…」
と嘆くとエミ叔母さんは
「酷いわ!お母様まで!!私はそんなにだらしなくなくてよ?」
「ジャージ着ていつもだらだらと寝とるしな」
と暴露された。
「来週の夜に花を持ってくる!是非俺の愛を受け止めて欲しい!美しいエミーリアさん!」
と頰を染めて見つめるこの王子にエミ叔母さんは贅沢にも
「あらぁ!どうしましょうかしら?美しいとは罪ね!おほほほ」
と呑気に笑っている。
王子…何でこの叔母さんなんだ!?
王子はそしてフランツの部屋に泊まると言い出したのでどうしようベッドが無いよ…。
「俺ならソファーでも構わんぞ!」
と言うから
「ソファーもこの居間のヤツしかなくて…」
と申し訳なさげに言うと王子はまた爆笑して
「あっはは!もういい!床で!!」
「そんな!じゃあ、僕の棺桶に!」
とフランツが言うと
「いや、フランツくんの棺桶サイズでは俺は入らない。お祖母さんのもだ。エミーリアさんの所に婚前前に潜り込むのもはしたないだろう!?それにギルベルトと同じ棺桶だと男同士で流石に友達でも気持ち悪いし、ヴィンター夫婦は無理」
いやもう帰ってくれよ!!それなら!そこまでしてこんな家に泊まること無いのに!!
「あら一応元タカエの部屋…今はモーリッツとサオリの部屋が空いてるわ。昼間あの子達起きてるもの」
とエミ叔母さんが言うと王子は嫌な顔をした。
「…タカエはともかく他の家畜の匂いが染み付いたベッドで眠るのは流石にどうだろうか?」
と言い、モーリッツは怒る。
「何だと?魔族の王子!!俺たちを家畜扱いとは!
それに!べ、別に私達はいやらしいことなどしていない!清い関係で夜も健やかにすやすやと…」
と言っているがサオリは何故か少し顔が赤いので皆疑惑の目を向ける。
絶対少し手を出している!
「くっ!!」
とモーリッツは項垂れ王子は
「床で眠るのも良い!」
と言い出した。仕方なく俺は少し出かけてくると言い、近くにいた魔物…モコモコ兎を捕まえて毛をむしり取って戻り床にモコモコ毛と布をかけて即席のフカフカのベッドを作りその上に失礼ながらも寝てもらうことにする。
これでも不敬極まりないが仕方ない。流石にこんな時間にドワーフ達にベッドは頼めないし。
それでも王子は喜びそこに寝た。新鮮だとか言って喜んでいた。
変わったバカ王子と言うことが理解できる。あの叔母さんに求婚するくらいだもんな。叔母さんはどうするのだろうか?離婚するのかな?旦那と。叔母さんがここを出て行かなかったのはそれでもいつか旦那が迎えに来ると少なからず思っていたようだが。そんな気配全くない。
最近のエミ叔母さんはラジオタイソウやタカエと文字勉強したりで楽しそうにしている。まだタカエがいない時は初めて旦那が浮気したと怒って帰ってきて次の日には泣いたり無になったりとエミ叔母さんは酷く情緒不安定な時期があった。
今はすっかりそれも消えているが…。
夜明けが近くになり皆部屋に戻る。俺は叔母さんと少しだけ話してみる気になり戸を叩いた。
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