第15話

月日は流れ、あっという間に3月となった。

いよいよ卒業まで数日となり、学校の中もガヤガヤし始めていた。

あの初詣から、僕と有未さんは特に何も変わらなかった。

有未さんの学校までそう遠くはないので、学校が終わったら最寄りの駅で待ち合わせをしてデートを楽しんでいた。


「優希君。私たち卒業だねぇ☆」

「あんまり卒業の実感湧かないよね…」


相変わらずたわいも無い会話をしながら、就職の事を2人で語り合っていた。


有未さんは3度目の正直で受かった、食品会社のfoodsに就職。

僕は2回目に受けた大手広告代理店のCBAコーポレーションに就職する事にした。もちろん合格している。


「あんな大きな会社に入れるなんて…ダンナ凄いですなぁ☆」


有未さんは、何故か嬉しそうだが…僕は有未さんの就職が決まった事の方が余程嬉しいのだ!


「はぁ…未来の旦那が大手企業勤め…安泰ですよ私は 涙」


なるほど、そういう事か 笑

こりゃ仕事頑張らないと、未来の嫁にドヤされそうですね。


こんな、のんびりとした日常を終えて…

卒業式を迎えた。


何とも呆気ないもので、友人などロクにいない僕は両親と写真を数枚程撮って終了。

僕はその足で有未さんの学校に向かった!


「優希君!!」


校門まえで、有未さんのお出迎えだ!


「卒業おめでとう!!」

「優希君もおめでとう☆」


お互いに最後の制服姿をお披露目した瞬間…

僕は不思議と涙が流れていた。

自分の学校では何の感情も湧かなかったのに…有未さんに会ったら色々な思い出が蘇ってきたのだ。


「なんだろう…有未さんと過ごした時間が学生生活だったんだなって思ったら感動して…」


「そうだよね…色々あったからね。楽しかった…ね」


大して長い期間では無かったけど、充実した毎日を過ごせていたんだと…僕は有未さんに感謝していた。そんな涙している僕らに話し掛けて来たのは、有未さんのお父さんだった。


「2人とも卒業おめでとう。記念に2人で写真を撮りなさい。」


有未さんのお父さんが、デジカメで僕らの写真を撮ってくれた。2人の最後の制服写真は一生の思い出になるだろう…


「上条君。良かったら後で家においで。今日は寿司やピザでお祝いなんだ!」


「ありがとうございます!是非お邪魔させて頂きます。」


こうして僕は、一度家に帰宅し私服に着替えてから、有未さんのお家にお邪魔した。

有未さんのご両親も快く受け入れてくれて、とても楽しいお祝いの席だった!!


「上条君。有未。明日から君達は社会人だ!来月から初勤務だろ?頑張れよ!!」


「はい!」

「はい☆」


こうして、僕たちの学生生活は幕を閉じた。

入社手続きや、通勤用の定期券の購入、そして憧れのスーツと革靴を揃えた僕は…


いよいよ明日、初出社となる!!

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